多様な人材で、生成AI時代の”食”事業を支える

株式会社ぐるなび
開発部門 開発統括室
開発推進グループ グループ長
開発部門 技術戦略室
Developer Engagement グループ
コーポレート部門 人事部 部付
河合 大輔 氏(左)
開発部門 開発部
Media Service Developmentセクション
セクション長
開発部門 開発部
Reservation Service Devグループ グループ長
川原 太輔 氏(右)
飲食店検索サービスからEC、店舗向けシステムまで、株式会社ぐるなび様は、食を軸に多角的なサービス展開を進めています。事業成長を続ける同社の河合様と川原様に、エクストリーム人材の強み、今後の事業展望を伺いました。
“食”を軸に進化する、ぐるなびの多角的事業

ー御社の事業について教えてください。
河合「株式会社ぐるなびは、食を中心に事業を展開している会社です。創業当初から『日本の食文化を守り育てる』というスピリットを掲げており、『食でつなぐ。人を満たす。』というパーパスのもと、さまざまなサービスを展開しています。
コンシューマー向けの代表的なサービスは『楽天ぐるなび』です。ターゲットを絞ったサービスとして、『大人のレストランガイド』や、訪日外国人向けの『LIVE JAPAN PERFECT GUIDE TOKYO』、選りすぐりの一品を家庭に届ける『ぐるすぐり』、『ぐるなび Premium Meal Kit』などといったECサービスも提供しています。
さらにBtoBの領域でも、飲食店のモバイルオーダーシステムや予約台帳など、店舗の業務改善に資するプロダクトを多数提供しています。そのほか農業関連事業や、食文化の啓発に関するサービス、商業施設での店舗運営なども展開しており、非常に幅広い取り組みを行っています。
共通しているのは、これらすべてがデジタルテクノロジーの上に成り立っているという点です。『食』は農業から始まり、最終的に消費者が食べるまでに非常に長いプロセスを経ます。そのさまざまなフェーズに少しずつ関与しているのが当社の特徴です。
1996年の創業当時は、全国的に外食文化が一気に拡大していった時代でした。またインターネットユーザーが増え、誰もがネットを使いやすくなってきたタイミングでもありました。そうした時代背景と、私たちが立ち上げたサービスの相性が非常に良く、そこから爆発的に成長できたのではないかと感じています。」
ー御社の強みや特徴を教えてください。

河合「当社は、各飲食店舗に営業担当者が付き、現場の声や課題を日々直接ヒアリングしている点が大きな特長です。営業担当者は得た情報を社内に持ち帰り、サービスの改善に活かしています。店長やオーナーといった飲食店経営者の方々にとって、“課題を共に解決するパートナー”としての役割を果たしている点が強みだと思います。
もう一つの強みは圧倒的なデータ量です。当社はデジタル事業を展開しているため、ユーザーのアクセス履歴など、オンライン上のデータを豊富に保有しています。さらに、現場の営業担当を通じて得られる対話ベースの情報、いわば一次情報も蓄積されている点も、他社にはない特長だと思います。たとえば『今月の売上はどうですか』『最近の集客状況はいかがですか』といったやり取りを通じて得られる現場の声は、単なる数値では捉えることができません。リアルとデジタル、双方のデータを活用し、プロダクトやサービスを開発できることは、当社ならではだと思います。
また、当社は飲食店に限らず、生産者や卸業者、食品メーカー、商業施設、さらには自治体とも連携しています。これらのお客様からは、さらに多様なデータが日々集まっており、データを横断的に活用する試みも進めています。株式会社ぐるなびは、リアルとデジタルの両輪をしっかりと回しながら進化を続けている会社なのです。」
新サービス『UMAME!』スピード開発の裏側
―『UMAME!』の概要をお聞かせください。

川原「サービス名『UMAME!』は、”うまい”を”私”にという意味を込めて名付けられました。自分にとって最適な飲食店を見つけるというコンセプトが由来です。従来の飲食店検索サービスは、エリア・料理ジャンル・予算などを入力して検索するスタイルが一般的でした。『UMAME!』はAIを用いて、まるで友人に相談するように自然な会話の中でお店を探せるサービスです。」
―『UMAME!』開発の背景を教えてください。
川原「発端は、およそ2年前の2023年ごろにさかのぼります。当社のCTOである岩本が、『生成AIが誰にとっても身近な存在になった時代に、その技術を使えばもっと手軽にお店探しができるのではないか』と考えたことがきっかけです。
飲食店探しは、ユーザーの検索リテラシーに大きく左右される側面があります。『UMAME!』は、そのハードルをAIの力で取り除き、誰でもスムーズに自分に合ったお店を見つけられるようにするという試みから生まれました。」
―実際にプロジェクトが始動してからの期間について教えてください。
川原「プロジェクトとして本格的に動き始めたのは、2024年2月頃です。そこから1年ほどでサービスリリースに至りました。検証期間を除くと半年で開発したことになるので、かなりスピード感のあるプロジェクトでした。」
―開発を進めていく中で、大変だった点や苦労されたことはありましたか。
川原「プロジェクトを立ち上げる際は、エンジニアやデータサイエンティストなど、さまざまな職種のメンバーを10人ほど集めてチームを編成しました。ただ、その多くのメンバーが他のプロジェクトを兼務しており、『UMAME!』専属という体制ではなかったのです。限られたリソースの中で、短期間でリリースしなければなかったため、当社の中でも特に大きなチャレンジだったと思います。
そのような状況の中で、開発スピードを維持するために、プロジェクトの遂行にもAIの力を積極的に活用しました。たとえば、ソースコードの生成やドキュメントの作成、資料作成といった作業は生成AIによって大きく効率化することができました。
エクストリームの『柔軟性と提案力』でプロジェクトを加速

―エクストリームとの関係についてお聞かせください。
川原「私自身がエクストリームと直接お取引をさせていただくようになったのは、ここ1年ほど前からです。ただそれ以前から社内の別のチームで取引があり、紹介いただきました。
現在は、私の担当するセクションの4つのグループに、エクストリームから参画いただいています。職種としては、ディレクターが5名、エンジニアが6名、計11名の方に参画いただいている状況です。」
―具体的には、どのような業務を任せていただいていますか。
川原「ディレクターの方には、仕様書の作成やプロジェクト全体のディレクション業務を担当いただいています。エンジニアの方には、機能の設計から実装、テスト、そして本番リリースのサポートに至るまでの一連の開発業務をお願いしています。基本的には、社員と同じ立場で、各プロジェクトにおいて重要な役割を担っていただいています。
多くの場合、企画フェーズや要件定義といった工程は当社の社員が中心となって進めておりますが、エクストリームの方々はすでに当社の各サービスに参画いただいているのでサービスのイメージを早期にキャッチアップし、その後の、設計・実装フェーズへもスムーズに入っていただけるため、非常に助かっています。」
―御社の中で、現在特に人材が必要な領域はありますか。
川原「エンジニアは、フロントエンドやバックエンドを問わず全体的にリソースが不足しがちです。採用活動も積極的に行っているのですが、なかなか思うように体制強化ができないところがあります。そうした中で、エクストリームにご参画いただき、リソース面で非常に助けていただいています。」
―エクストリームの人材の強みは何と感じられていますか。
川原「大きな強みは、多種多様な人材をご提案いただける点だと感じています。当社は多様なサービスを展開しているので、領域によって求められるスキルセットは大きく異なります。また、チームの文化によってもマッチする人物像が変わることがあります。そうしたニーズに対して柔軟に対応していただける点がありがたいです。
また、レスポンスが非常に早く、短期間に多くのご提案をいただける点も非常に助かっています。先ほど触れたように、当社は採用活動においてマッチする人材の確保が難しい上、サービスによっては開発スピードが求められます。そうした中で、エクストリームは短期間で多くの人材をご提案をいただけるので、スピード感をもって開発環境を整えることが可能になりました。
今後も、チームごとに求められるスキルセットや人物像が異なる中で、引き続き多様なスキルやバックグラウンドを持つ方々をご提案いただけると大変ありがたく思います。」
AI時代の事業成長を担う即戦力人材

―御社のサービスは今後どのような進化を見込んでいますか。
河合「『UMAME!』のAIは、リリース後も学習を続けています。今ではユーザーが『ザギン』と入力しても、きちんと意図を汲み取り、『銀座』として認識するようになりました。一方で、自然言語を扱うサービスであるがゆえに、細かい課題も抱えています。たとえば、飲食と親和性の低い文字列が含まれた単語は、料理名であったとしても無視することがあるなどです。こうした不具合を解消するために『UMAME!』は週に1回アップデートしています。AIの便利さを担保しながら、お客様にとってより便利なサービスとなるよう、今後も日々努力を続けていきます。」
―御社が今後目指す事業の方向性や、ビジョンをお聞かせください。
河合「当社のメイン事業は、ユーザーとお店との出会いを創出するサービスの提供です。まずはこのサービス自体の進化が、大きな方向性の一つであると言えます。たとえば『楽天ぐるなび』に加え、『UMAME!』のように、生成AIを活用した新たな出会いの創出を加速させていきたいです。
また当社が強みとする ”飲食店経営者との密接な関係性” を活かしたサービスや、SNSで店舗のPRを代行するサービス、インバウンド需要に対応したサービスなどにも力を入れていきます。
さらに、ぐるなびは楽天グループとの連携も強化しようとしています。楽天IDとぐるなびIDの連携が1000万を突破し、当社のサービスのユーザーが、『楽天経済圏』でどのように行動しているのかというデータも蓄積中です。今後は『楽天経済圏』を前提としたサービス展開や、行動データを元にした新たなサービスも企画していけると思います。
ぐるなびには、リアルとデジタルの双方から収集された膨大なデータブックがあり、そこから新たなサービスやプロダクトが生まれていくという循環を大切にしています。一方で、世の中の変化は非常に速く、AIの進化やモデルの高度化も日進月歩です。そうした変化に対応し、次のサービスを生み出すには、それを形にする人材をどう組織していくかが重要です。その点で、エクストリームにご提供いただいているスピード感と、多様な人材の選択肢の多さは、当社に非常にマッチしていると感じています。」
ー河合様、川原様、ありがとうございました。今後も弊社のサービスで最大限のサポートをさせていただきます。
※本インタビューは2025年4月に実施されました。インタビューの内容は取材当時のものになります。