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国内3,400万ダウンロードを突破したヒットタイトル「逆転オセロニア」のプロデューサー香城 卓氏インタビュー

株式会社ディー・エヌ・エー

ゲームサービス事業本部

運営事業部 プロデュース室 室長 香城 卓 氏

株式会社ディー・エヌ・エー様(以下、DeNA様)が運営するスマートフォン向けゲームアプリの中でも、特別な存在感を放っているタイトルが『逆転オセロニア』です。

『逆転オセロニア』は、オセロとトレーディングカードゲームを組み合わせたシステムの対戦型ゲームです。「負けてる時ほど面白い!」高い戦略性が話題を呼び、「オセロニアン」と呼ばれる熱狂的なユーザーを生み出しました。

2023年2月にはリリース7周年を迎えると同時に、国内3,400万ダウンロードを突破。スマートフォン向けゲームアプリとしてロングヒットを続けています。

そんな『逆転オセロニア』にはリリース当初からエクストリームのスタッフが参画し、業務をサポートしています。

今回は「けいじぇい」の愛称で知られる『逆転オセロニア』のプロデューサー 香城 卓様に、エクストリームのスタッフに依頼するメリットやその印象、『逆転オセロニア』が目指す展望などをお聞きしました。

7年間の運営を支えた、ファンコミュニティの存在

- 改めまして「逆転オセロニア」リリース7周年おめでとうございます!

「ありがとうございます。7年間も運営できるなんて、リリース当初は全く想像できていませんでした。これも全てゲームを楽しんでくれているオセロニアン(オセロニアをプレイされているプレイヤーの呼称)のおかげです」

- 7年間で様々なできごとがあったと思いますが、印象的な思い出は何ですか?

「やはり、オセロニアンとの交流ですね。私はこれまでリアルイベントを通じて、約1万5,000人のオセロニアンとお会いしています。今では『札幌にはあのユーザーさんが、福岡ならあの人が』と顔が浮かぶくらい、親密な関係を築けていると感じます」

- 「逆転オセロニア」は、ファンコミュニティを重視する運営手法「コミュニティマネジメント」の先駆者としても注目されています。

「限られた予算の中でタイトルの魅力を伝える方法を試行錯誤した末、草の根的にコミュニティを育てる戦略に行き着きました。結果的にコミュニティマネジメントの実践例として評価していただいていますが、このような運営スタイルになるなんて、リリース当初は全く想定していませんでした」

- たくさんの苦労もあったのではないでしょうか?

「コミュニティ作りのためのリアルイベントも、最初はネットカフェの一角をお借りする程度の規模でしたし、来場者が1人のみだったこともあります。『本当に意味があるのか』と葛藤することもありました。それでも段々とコミュニティが成長し、2016年の後半からユーザー規模が一気に拡大しました」

- DeNA様内部から見て「逆転オセロニア」はどのような位置付けのタイトルなのでしょうか?

「完全に弊社オリジナルのタイトルなので、企画・開発、運営手法からブランディングの方向性まで、核となる要素がDeNA内部から生まれた点が特長です。だからこそコミュニティマネジメントなどの先駆的な施策にも挑戦できました。その意味で『逆転オセロニア』は、DeNAのゲーム事業における『開拓者』的なポジションにあたるのではないでしょうか」

会社の垣根を超えた「戦友」? ヘビーユーザーでもあるエクストリームのスタッフがプランナーとして参画

- 「逆転オセロニア」運営にはエクストリームのスタッフが参画しています。

「プランナーが4名参画していただいており、うち1名はリードプランナーを担当してもらっています」

- どのような業務を担当しているのでしょうか?

「社内チームメンバーと連携して、キャラクターのスキルなどの各種数値設計やステージ設計、大会のルール作りなどを担当しています。『逆転オセロニア』は対戦型ゲームなので、これらはユーザーのプレイ体験を左右するとても重要な業務です」

- 重要な業務を担当させていただいている理由は何でしょうか?

「シンプルに、エクストリームのスタッフが『逆転オセロニア』を深く理解しているからです。オセロニアンとしても、ランキングトップ100に入った経験があるようなヘビーユーザーなんですよ。以前、全国大会の模擬戦として社内大会を開催したのですが、優勝者はエクストリームのスタッフでした(笑)公式リアルイベントに運営スタッフとして参加してもらうこともあります」

- ヘビーユーザーであることのメリットは何ですか?

「特にバリューを発揮していると感じるのが、キャラクター設計です。キャラクター設計は各種スキル設定のバランスが難しく、ただ強いキャラクターではオセロニアンから『運営はわかっていない』と判断されてしまいます。その点、エクストリームのスタッフはユーザー目線を保ちながら、運営としての最適解を導き出してくれます」

- 熱狂的なファンの「勘所」を捉える必要があるということですね。

「エクストリームのスタッフはプレイ歴も長いため、オセロニアンに好評だった施策はもちろん、不評だった事例も知り尽くしています。そのようなバックボーンがあるからこそ、弊社のスタッフも安心して業務を任せられます。特に運営初期から参画してもらっている二人は、もはや会社の垣根を超えた『戦友』という印象ですね」

エクストリームの参画スタッフ・Masayukiさんインタビュー

Masayuki:ゲームプランナー

 

エクストリーム在籍8年。 その内、7年間は『逆転オセロニア』のプランナーとして参画し、現在も活躍中。

 

オセロニアの運営初期から参画している『戦友』の1人。

ゲーム内イベントも常に上位にいる生粋のオセロニアン。

チームのリーダー的存在として、周りからも頼れる存在。

食べる事も好きで美味しいお店はリサーチしてよく行く。

 

 

– 業務の魅力はどのような点ですか。

チームで議論して作ったキャラクターや、自分が考えて作ったステージ等が形となっていく工程が魅力です。また、それらが実際にリリースされた際、TwitterやYouTubeの配信やコメントなどでユーザーの反応をすぐに確認できるのも嬉しいですね。たくさんのユーザーから反応をいただける点は、『逆転オセロニア』のような大型タイトルに携わらなければ経験できないと思います。

 

– やりがいを感じたエピソードを教えてください。

ある周年施策にて、エンドコンテンツである高難易度ステージを担当した経験が印象に残っています。設計から難易度調整まで全ての工程を担当し、半年程かけて約50ステージ以上を作成しました。大変でしたが、周年施策の目玉である重要なステージを任せていただいたことが非常に嬉しく、とても楽しく取り組むことができました。

 

– 今後の目標について教えてください。

『逆転オセロニア』チームに参加するまではゲーム運営の仕事が多かったのですが、改めてゲーム作りの楽しさを知ることができました。今後はキャラクターやステージ設計の精度を上げていき、タイトルの成長に貢献していきたいです。

「ビッグデータだけではわからない」オセロニアンの声を運営に還元する、エクストリームスタッフの工夫とは

- エクストリームスタッフの働きぶりに関するエピソードはありますか?

「ひとつ驚いたエピソードがあります。エクストリームのスタッフの方々は自身が設計したコンテンツがリリースされた際、他のオセロニアンが配信するプレイ動画を視聴するんです。実際に遊んでいるユーザーの生の声を聞くことで、次の業務に活かすサイクルを作ってくれています」

- ユーザーデータを細かく取得できる昨今、非効率的な作業のようにも思えますが……。

「もちろんビッグデータも活用しています。ですが7年間の運営で、定量的な計測だけでは、ユーザーが喜ぶサービスを提供できないという事実を痛感しました。例えば『コアユーザー』『ミドルユーザー』のようなセグメントでは、そのプレイヤーがどんな人たちなのかよくわからないと思いませんか?」

- 確かに1人のユーザーではなく、数値のように捉えてしまいがちです。

「この課題に対し、私たちは『この意思決定で喜ぶユーザーの顔を具体的に思い浮かべられるか?』という判断軸を重視しています。その点エクストリームのスタッフは『このキャラなら福岡の◯◯さんが喜ぶはずだ』『この設定を仙台の△△さんならどう思うだろう?』などオセロニアンの顔を思い浮かべられるという、高いバリューを発揮していただいていると感じます」

- リアルイベントなどでオセロニアンとリアルな交流を重ねてきた運営手法と通じるものがあります。

「その通りです。正直な話、外部から参画しているスタッフは決められた業務領域を遵守すれば良い、という価値観もあると思います。そのような考え方では、わざわざ他のユーザーのプレイ動画配信やSNSの投稿まで調べようと思わないですよね。エクストリームのスタッフは一段深くコミットして、自分の業務がどのように事業貢献したのかを追求してくれます。この、我々との距離の近さ、オセロニアンと同じ熱意で事業にコミットしてくれる姿勢が、エクストリームの大好きな点ですね」

- エクストリームから参画しているスタッフは全員プランナーですが、ゲーム業界におけるプランナーの採用に関して、人材不足を感じることはありますか?

「あくまで私の所感ですが、人材の流動性が低下しているように感じます。おそらく昨今のゲーム開発が大規模化しているため、優秀な人材を各社で囲い込んでいるからではないでしょうか。その意味でもエクストリームのスタッフは貴重な存在です。私としては、現在参画しているスタッフと永年契約したいくらいです。『逆転オセロニア』の運営が続く限り参画していただきたいと思っています」

オセロニアンたちが面白いから続けてこられた。7周年を迎えた「逆転オセロニア」が目指すもの

- 「逆転オセロニア」運営が求める人材像について教えてください。

「これまでの運営を通して、コミュニティの存在がサービスのスケールに大きな意味を持つことがわかりました。この経験から、今後はコミュニティを育てて事業をスケールさせる『コミュニティドリブン』のスキルを持つプランナーが求められるのではないでしょうか。だからゲームやアイドルなど何らかのファンコミュニティに造詣が深い方は、実務経験が浅くてもプランナーとしてのポテンシャルを秘めていると思います」

- 7周年を迎えた「逆転オセロニア」ですが、今後の展望について教えてください。

「アクティブユーザー数やダウンロード数も大切な指標ですが、私としては『逆転オセロニア』で発生したオセロニアン同士の人間関係が末長く続くことを願っています。オセロニアンコミュニティが広がっていけば、結果的にサービスもより良いものになると信じています」

- 今後のリアルイベントに関してはいかがでしょうか。

「新型コロナウイルス感染症に関する各種規制の緩和を受けて、昨年から徐々にリアルイベントを復活させています。2023年2月には公式リアルイベント『オセロニアンの祭典』を約3年ぶりに開催し、日本全国から500名以上のオセロニアンに集まっていただきました。久しぶりに顔を合わせるオセロニアン同士が交流する姿を見ることができ、運営側としても感慨深いものがありました。今年は東京以外でもリアルイベントの開催を予定し、7周年イベント等で熱気を日本各地に届けていきたいです」

- とても楽しみですね。最後の質問ですが、「逆転オセロニア」がこれほどまでに愛されている理由は何だと思いますか?

「そうですね……。『逆転オセロニア』そのものの魅力が半分。もう半分は、オセロニアンたちが面白いからだと思います。オセロニアンたちはゲームをプレイするだけではなく、その何倍もオセロニアンコミュニティでの交流を楽しんでいます。10代のオセロニアンがDiscordのコミュニティを主催して、30代や40代の仲間たちと一緒に遊んでいることもあるそうです。オセロニアン同士が活発に交流している事実こそ『逆転オセロニア』の運営が続いている最大の理由ではないでしょうか。運営の努力で7周年を迎えられたと考えるのがおこがましいと思うくらい、オセロニアンコミュニティの影響力は大きいですね。これからも『逆転オセロニア』から生まれたオセロニアン同士の人間関係が長く続いて欲しいですし、私たち運営はその動きをサポートしていきたいと考えています」

香城様、ありがとうございました。
今後も『逆転オセロニア』の運営にお力添えをさせていただきます。


*本インタビューは2023年4月に実施されました。本文中の情報は取材当時のものになります。

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