「ファンビジネス × IT」サービスにグローバル規模で取り組む

株式会社Fanplus
取締役CTO 齋藤 磨悟 氏
急拡大する"推し活需要"に応える技術力とクリエイティビティ

-株式会社Fanplus様(以下、ファンプラス様)の事業内容について教えてください。
「主にファンサイト・ファンクラブの運営がメインになります。音楽アーティストをはじめ、アイドル、声優、俳優、そして最近ではK-POPアーティストのファンクラブ運営を手掛けております。また、ファンクラブを通じてグッズや限定アイテムを販売するEC事業も大きな柱の一つです。」
-ファンクラブ運営に関する御社の強みは何でしょうか。
「何といっても国内での圧倒的なシェアです。現在、国内で数百以上のアーティストの公式ファンクラブアプリやファンサイトを運営しております。たとえば、毎年恒例の紅白歌合戦に出演するアーティストのうち3分の1程度が弊社サービスを利用しているような状況です。具体的にはあいみょん、JO1、Vaundy、GLAYなどが挙げられます」
-御社のサービスが広く利用される理由は何だと思いますか。
「弊社は映像の撮影やデザイン制作などのクリエイティブ機能も有しておりまして、例えばファンクラブ用動画の撮影や、会員向けのデジタルコンテンツ制作、特設サイトのデザイン、ファンサイトの多言語対応なども対応しております。このように、プラットフォームとコンテンツの双方でアーティストのファンクラブ運営をサポートできる点を評価いただいております」
「また、これまでファンクラブの運営は、アーティストや事務所からヒアリングをしながら1つ1つ作る形式が基本でしたが、私たちが提供するプラットフォーム「FanplaKit」では、アーティストご本人や事務所スタッフ自らがファンクラブサイトを立ち上げることができます。特に新人や規模の小さいアーティストや地方で活動する方々にとって大きな助けになっており、年間100以上の新しいファンクラブが作られるようになっています」
国内外グループ企業との相乗効果で多彩なサービスを生み出す

-ファンクラブサービスを運営する上で、大変な点は何ですか。
「一つ例を挙げるとすれば、サーバー負荷への対応です。アーティストが新しいブログ記事や動画を更新したときに、アプリからプッシュ通知を送ります。このプッシュ通知こそサービスの売りなのですが、人気のあるアーティストだと通知から一瞬で数十万アクセスが発生しますので、その負荷をしっかりと処理できるかどうかが重要です。ファンの皆さんの「今すぐ見たい」という気持ちに応えるために、サーバー負荷への対応の技術力やノウハウこそ弊社の大きな強みになっていると思います」
-ファンクラブ運営を主軸に、ほかにも様々な事業を手がけられていますね。
「コロナ禍をきっかけに生配信サービスやオンラインくじ、さらにはNFTやメタバースといった最新技術を取り入れたサービスを提供し、業界内での競争力を高めています。また、近年では国内アーティストの海外進出をサポートする事業も手掛けておりまして、特に中国圏市場に注目しています。日本の数倍以上のスケール感がありますから、非常に魅力的なマーケットだと思っています。具体的には山下智久さんの中国ファンクラブ運営などに取り組んでいます」
-国内外にグループ企業を保有されていますが、主な事業内容を教えてください。
「グループ企業の株式会社Tixplus(ティックスプラス)ではファンクラブと連携した電子チケットサービスを提供していて、ファンの皆さんがイベントやライブをより簡単に楽しめる仕組みを作っています。さらに、韓国との合弁会社bubble for JAPAN(バブルフォージャパン)では、アーティストとファンをつなぐメッセージングアプリ、bubble(バブル)を展開しています。例えば、アーティストが「今日はこんなラーメン食べたよ」といった日常のつぶやきを投稿して、ファンがそれをプライベートチャット感覚で楽しむことができるサービスです。このアプリは特に人気が高く、月額課金で多くのファンが利用しています。また、グループ内でEC(電子商取引)プラットフォームも運営していて、ここではファンクラブ限定のグッズやアイテムを販売しています」
-ファンコミュニティの運営に欠かせない機能を、グループ全体で提供しているんですね。
「グループ全体として、ファンクラブ、電子チケット、グッズ販売など複数の事業が連携しながら、アーティストとファンをつなぐ強力なエコシステムを構築しています。それぞれの事業が相互に補完し合い、ファンの満足度を高めることを目指して取り組んでおります」
人手不足の課題をエクストリームのデジタル人材が解決

-エクストリームとの関係性について教えてください。
「2~3年前に技術者を増やす必要があった際にご相談したことがきっかけです。山之内すずさんが出演するエクストリームのテレビCMが印象に残っており、私が問い合せをしました」
-現在、エクストリームから10名のスタッフがプロジェクトに参画しています。どのような業務を担当していますか。
「エンジニア9名、デザイナー1名の方にネイティブアプリの開発と運用でご活躍いただいています。ネイティブアプリとは、ファンクラブアプリと電子チケットアプリが一体となった、大規模アーティスト向けの公式アプリのことで、スムーズに使っていただくためにはメンテナンスが欠かせず、新曲のリリース情報やライブ告知のタイミングではアクセスが集中するため、サーバー負荷にも対応しなければなりません。こうした運用面でのサポートをお願いしています。」
-エクストリームに依頼するメリットをどんな点に感じますか?
「一番は、私たちが求めるスキルセットを持つ方を迅速にご提案していただける点です。プロジェクトの特性に合わせて、最適なスキルを持ったスタッフをサッと集められるところも大きな魅力ですね。もちろん自社エンジニアの採用活動も行っていますが、それだけでは間に合わないことが多いんですよね。その点、エクストリームに相談すればすぐに人材を集められるので、ファンクラブ運営やコンテンツ制作に注力できます」
「また、相談してから実際にスタッフをご提案いただくまでのスピード感も魅力に感じています。エクストリームの場合はすぐに複数の候補者をスキルシートとともに提案してくれます。『こんなにたくさん提案してくれるんですか?』と驚いてしまうくらいですよ(笑)」
-エクストリームのグループ会社、エクストリームベトナムにもご依頼をいただいていると伺いました。
「先ほども話に挙がったネイティブアプリの保守や、サーバー関連の業務をお任せしたく動いているところです。人材不足やコスト面の課題解決につながりますし、国内の技術者とうまく役割分担することで効率的な開発・保守ができると考えています」
-先ほどお話に挙がっていたグローバル展開にもつながってくるのでしょうか。
「その点もありますね。例えばiOSやAndroidの仕様変更といった課題はグローバルルールですので、国境は関係ありません。ほかにもECシステム関係の業務は、キャリア決済など日本独自の仕様を除けば基本的な仕組みは世界共通なので、グローバルな人材を活用することでスピーディーに対処できると考えています」
プラットフォームとコンテンツの双方でファンビジネスに貢献したい

-今後、エクストリームに期待することは何ですか。
「臨機応変な対応力に期待します。というのも、アーティストや事務所からは様々な企画が生まれています。例えばファンクラブアプリ内で遊ぶことができるミニゲームなどのデジタルコンテンツです。それらをスピーディーに具現化する対応力があるとありがたいです」
-アーティストやファンの期待に応え続ける必要があるということですね。
「そうですね。特にファンの方にとって、ファンクラブアプリは推し活の「相棒」のようなものです。ファンの皆様が推し活を楽しんでいただくためには、アプリのトレンドの変化や端末の進化、OSのバージョンアップなどの課題に対応し続ける必要があります。今後もお力をお借りできれば嬉しいですね」
-最後に、御社の今後の展望について教えてください。
「プラットフォームはあくまで”ハコ”でしかなく中身であるコンテンツこそが重要です。その一方で、機能的なプラットフォームがあるからこそ多くのファンにコンテンツを届けられます。つまり、どちらも欠けてはいけないんですよね。これからもプラットフォームとコンテンツの両面で、ファンの皆様、そしてアーティストの方のメリットになるようなサービスを提供していきたいです」

齋藤様、ありがとうございました。今後も弊社のサービスで最大限のサポートをさせていただきます。
※本インタビューは2024年11月に実施されました。インタビューの内容は取材当時のものになります。