エンジニアの年収を考える Vol.3:収入をアップする方法とは

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エンジニアの収入は、エンジニアとしての能力や経験だけでなく、職種や環境によっても大きく変動します。では、収入をアップするための選択肢には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?

 

今回はエンジニアの収入に影響する要素や、収入をアップするいくつかの方法をご紹介します。求められる能力や、需要の多いプログラミング言語、有用な国家資格なども紹介するので、自身のキャリアを見直すヒントにしてみてはいかがでしょうか。

 

エンジニアの収入に影響する3つの要素

 

エンジニアの収入に影響する要素として、自身の能力や、携わっている職種や環境などがあげられます。ここでは、代表的なものを3つ紹介しましょう。

 

1.エンジニアとしての能力・経験

エンジニアの収入にもっとも大きな影響を与える要素は、エンジニアとしての能力と経験です。エンジニアとしての能力には、プログラミングなどの基本的なスキルはもちろん、新しい技術を積極的に学習する意欲や、得た知識を開発に取り入れていく柔軟性・応用力なども含まれます。

 

企業に所属して働く場合は、エンジニアとしての経験が重視されるでしょう。これまで多くのプロジェクトを率いた経験があるエンジニアは、メンバーと円滑にコミュニケーションを取る能力や、チームをまとめる能力、クライアントとの折衝能力などが期待され、その分、提示される収入も高くなります。

 

2.職種や扱えるプログラミング言語

エンジニアは職種によっても収入が変わります。例えば、開発プロジェクトを率いる責任者「プロジェクトマネージャー」や、IT戦略で企業の課題の解決を行う「ITコンサルタント」などは、収入の高い職種の代表格です。

 

一方で、ウェブサイトを作成する「コンテンツクリエイター」は、なり手が多く価格競争も激しいことから、収入が安くなりがちです。また、企業のサポートデスクを担当するヘルプデスク業務の収入も高くありません。

 

その他に、扱えるプログラミング言語も収入に影響します。例えば、産業機械などで広く利用されている「C言語」のエンジニアは、習得の難しさもあり平均収入は高くなっています。その他に、今後さらに伸びていくと考えられるロボットやAI、機械学習に関連するプログラミング言語を扱えるエンジニアも、高い収入が見込めます。

 

3.勤務先や携わる工程の違い

勤務先や、携わる工程によっても収入は変わってきます。

 

例えば、システム開発の最初の部分である「上流工程」は、一般的にクライアントから直接受注した企業が行います。いわゆる元請けと呼ばれるこれらの企業は、予算を管理する立場にあり、大きな企業も多い傾向です。そのため、基本的に収入は高くなります。

 

一方、その先の下流工程は下請け企業が行うケースが多くなります。下請け企業は、元請け企業に比べると予算が限られるため、構造上高収入は難しいでしょう。さらに孫請けとなると、低賃金かつ長時間労働が必要になるケースも考えられます。

 

エンジニアが収入をアップする5つの方法

 

 

では、エンジニアが収入をアップするためには、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。ここでは、具体的な方法を大きく5つに分けて説明します。

 

1.エンジニアに求められる基本的な能力を磨く

エンジニアには、次の3つの能力が共通して求められます。

 

  • 技術力
  • コミュニケーション能力
  • マネジメント能力

 

技術力

ここでいう技術力には、スキルの高さ、知識の幅広さ、そして経験が含まれます。必ずしもフルスタックエンジニア的な動きができる必要まではありませんが、スキルの追求や新しい知識の習得は継続的に行う必要があるでしょう。また、多種多様なプロジェクトに携わり、経験値を積むことも収入アップには有効です。

 

コミュニケーションスキル

一般的な仕事と同じく、エンジニア職も責任を伴うポジションほど収入が高くなります。そして、責任を伴うポジションはチームや部署を率いる立場が多くなり、そこではコミュニケーション能力が求められます。仕事を円滑に進めて結果を出すためには、クライアントや他部署、チームメンバーとスムーズな意思疎通をはかれる能力が求められるでしょう。

 

マネジメント能力

エンジニア職でもっとも収入が高い職種のひとつが「プロジェクトマネージャー」です。そして、プロジェクトマネージャーに求められるのが、プロジェクトやメンバーを管理(マネジメント)する能力です。

 

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの進捗や予算を管理しながら、他部署との連携を調整するといった、多岐に渡る管理(マネジメント)能力が必要です。他に、エンジニアリングマネージャーやテックリードといった職種でも、マネジメント能力が重視されます。

 

2.収入の高い職種に就く

エンジニアは職種によって収入が異なります。そのため、平均年収の高い職種に就くことも重要です。収入の高い職種には以下のようなものがあります。

 

  • プロジェクトマネージャー
  • プリセールスエンジニア
  • ITコンサルタント
  • データサイエンティスト

 

プロジェクトマネージャーには、技術力、コミュニケーション能力、マネジメント能力のすべてが求められます。プリセールスエンジニアは、エンジニアとしての能力に加え、案件を受注できる優れた営業力が問われます。

 

ITコンサルタントとデータサイエンティストは、どちらもビジネスにおける経営課題の解決をサポートする職種です。それぞれ求められる能力やアプローチの方法は異なりますが、ビジネスについての高度な知識が求められる点で共通しています。

 

収入の高い職種は、エンジニアとしての基本能力を高いレベルで求められ、それ以外の知識や能力も求められる傾向にあります。こうした能力の習得には時間がかかると考えられるため、早くからキャリアパスを描き、段階的なステップアップを目指しましょう。

 

3.需要の多いプログラミング言語を習得する

扱えるプログラミング言語によっても収入は変わります。エンジニアの平均収入が高いプログラミング言語として、次のようなものが挙げられます。

 

  • ロボットや産業機械などの開発に使われる「C言語」
  • AIや大規模な業務システムの開発で使われる「C++」
  • IoTシステムの開発に利用される「Java」
  • 機械学習やAI開発に強い「R言語」や「Python」

 

エンジニアの収入が高いプログラミング言語は、活発に開発が行われている分野で使われてる、もしくは、難易度が高く習得が難しい言語であるといった特徴があります。収入アップを狙うなら、需要が多くしかも長続きしそうなプログラミング言語を習得することも大切です。

 

4.収入アップに強い国家資格を取得する

エンジニアとしての能力を客観的に証明できる資格を取得することも、収入アップのための方法のひとつです。ここでは、代表的な3つの国家資格を紹介します。

 

基本情報技術者試験・応用情報技術者試験

「基本情報技術者試験」は、経済産業省が認定する国家試験で、IT業界で働くために身に着けるべき基本的な知識・スキルが問われます。合格することで、デジタル人材に求められる基本的な能力があることが証明されます。

 

「応用情報技術者試験」は、高度IT人材に求められる知識とスキルが問われる試験です。上流工程に携わるために必要になる知識を問う試験も含まれるため、特に上流工程に携わりたいエンジニアはぜひ取得したい資格となっています。

 

出典:基本情報技術者試験|IPA(独立行政法人情報処理推進機構)

出典:応用情報技術者試験|IPA(独立行政法人情報処理推進機構)

システムアーキテクト試験

「システムアーキテクト試験」は上流工程向けの国家資格です。システム開発に必要となる要件定義と、それを実現するためのアーキテクチャ設計・開発を行う能力が求められ、合格することで、自身が高度IT人材であることを示せます。

 

合格率が10~15%程度と低く、難易度の高い試験です。しっかりとした試験対策が必要になりますが、上流工程を目指して収入アップを狙いたいエンジニアにとっては挑戦の価値がある試験といえるでしょう。

出典:システムアーキテクト試験|IPA(独立行政法人情報処理推進機構)

 

プロジェクトマネージャ試験

「プロジェクトマネージャ試験」は、エンジニアのなかでもっとも収入が高い職種のひとつである、プロジェクトマネージャーとしての適正や能力が求められる資格です。

 

プロジェクトの責任者として、プロジェクトを計画・実行・管理できるマネジメント能力や、チームを編成して統括する能力が求められます。なお、プロジェクトマネージャーとしての経験がなくても受験可能なので、キャリアアップのために挑戦してもよいでしょう。

出典:プロジェクトマネージャ試験|IPA(独立行政法人情報処理推進機構)

 

転職・独立する

エンジニアが年収アップを目指して転職する場合、以下のような方法が考えられます。

 

  • 上流工程・元請け企業に入る
  • 外資系企業に入る
  • スタートアップ企業で役員を目指す
  • 経営者・フリーランスとして独立する

 

上流工程・元請け企業に入る

上流工程はシステム開発における最初の部分で、企画、要件定義、外部設計などが該当します。一般的にクライアントから直接受注した元請け企業が行い、この元請け企業は大企業も多くなります。

 

そこから先の下流工程は、下請け企業への外注が一般的です。下請け企業は限られた予算で開発を行うことになるので、構造的に収入アップはしづらくなります。エンジニアが収入をアップするためには、上流工程を行える元請け企業を選ぶ必要があるのです。

 

外資系企業に入る

外資系企業に入るのもひとつの方法です。この場合の外資系企業には、海外企業の日本法人や、海外企業に買収された日本企業も含まれます。

 

外資系企業は、日本の企業に比べると成果主義で個人の能力を重視する傾向が強くなります。成果で報酬を決める評価システムが確立されていることも多く、経験年数が浅くても実力があれば収入アップが見込めるでしょう。

 

また、近年は円安が進んでいるため、外資系企業のほうが収入の水準が高い傾向があります。特に、海外で働くことになれば収入が数倍になることも夢ではありません。

 

スタートアップ企業で役員を目指す

まだ事業をはじめて間もないスタートアップ企業に入社して、企業の成長に賭けるのもひとつの方法です。創業期は、フルスタックエンジニアとしての活躍が求められるケースも多く、1人で多くのことをこなさなければならないでしょう。しかし、結果を残せば、CTOになることも夢ではありません。

 

また、スタートアップ企業であれば、役員になれなくてもストックオプション制度で大きな収入が得られる可能性があります。しかし、スタートアップ企業に入社したからといって、必ず年収が上がるわけではありません。長時間労働が続くことや、倒産してしまうこともありえるので、リスクも含めて検討する必要があります。

 

経営者・フリーランスとして独立する

エンジニアとして収入アップするために、起業して経営者になる方法や、フリーランスとして独立する方法もあります。

 

経営者の道に興味がある人は、起業をおすすめします。1人で事業を請け負うフリーランスでは受注が難しい大型案件に携わる可能性や、スケールの大きな仕事に挑戦できる可能性が高くなります。事業が軌道にのれば、自身は経営に集中できるようになることもメリットです。

 

そこまで大規模な事業に興味がなければ、フリーランスのエンジニアとしての活動がよいでしょう。仕事を得るために営業活動は必要ですが、自分のペースで働きやすくなります。会社員として働いているエンジニアと比べて、時間単価も高いとされており、効率よく働けるでしょう。

 

最後に

エンジニアの収入アップにはさまざまな道があります。スキルを磨いて需要の高い言語を習得する、国家資格を取得して有力な企業に転職する、得意分野を生かしてスペシャリストとして独立するなどの方法があり、自身の適性に合った方法を選べます。

 

収入アップに大切なことは、日ごろから自分の市場価値を意識することです。目標を立て、将来へ投資し、着実に前進することが大切になるでしょう。また、あらたな分野やプログラミング言語が誕生することも考えられますから、アンテナを広く張っておくことも重要です。

 

このコラムを参考に、収入アップへの第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

 

掲載日:2024年5月14日

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