エンジニアの年収を考える Vol1:海外と日本の違い

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エンジニアの方や、エンジニアを志望している方は、日本より海外のエンジニアのほうが年収が高い、という話を一度は聞いたことがあるはずです。実際、日本のエンジニアの年収は世界で18位。トップクラスではありませんし、エンジニアがもっと高い収入を得られる国が他にあります。

 

では、日本のエンジニアの年収があまり高くないとされる理由は、どのようなところにあるのでしょうか。今回は、「エンジニアの年収を考える Vol1:海外と日本の違い」と題し、海外と日本のエンジニアの年収の違いや、日本人エンジニアの年収が低いといわれる原因を詳しくみていきます。

 

海外と日本のエンジニアの年収の状況

 

まずは、海外のエンジニアと、日本のエンジニアにどのような違いがあるのか、年収を中心にみていきましょう。

 

米国のエンジニアの年収が高く、米国・インドは社会的地位も高い

現在、世界でエンジニアの平均年収が高いのは、スイスとアメリカ、そしてイスラエルです。このうちスイスは国民の平均年収が大変高く(約850万円)、エンジニアだけが特別高いわけではありません。また、イスラエルは、外国人に自国民の2倍の給与を払わなくてはいけない決まりがあり、外国人エンジニアが平均年収を押し上げています。

 

一方、アメリカではエンジニアの平均年収が10万ドル(1$=115円で1,150万円)を超えたとされており、アメリカ人の平均年収(約560万円程度)とは2倍近い差があります。アメリカにおけるエンジニアは、大学や大学院でコンピューター工学などを学んだ者が目指す職業であり、社会的地位も高くなっています。

 

エンジニアの給与が飛び抜けて高い国にインドがあります。国民の平均年収は180万円ほどですが、エンジニアの平均年収は500万円ほどです。カースト制度の影響もあり、西側諸国と同列で考えられない部分もありますが、国内におけるエンジニアの地位の高さはアメリカと同じか、それ以上のものがあります。

 

出典:世界のIT技術者の給与ランキング|ヒューマンリソシア

 

日本のエンジニアの年収は世界で18

一方、日本のエンジニアの平均年収は500万円弱と考えられています。これは世界で18位となっており、日本のひとりあたりのGDPが世界で19位であることを考えると、妥当ともいえます。ただ、日本人の平均給与が約430万円であることを考えると、エンジニアの地位が米国やインドほど高くないことはわかります。

 

世界を席巻するGoogleやApple、Amazon、Microsoftなどは、いずれもアメリカのIT企業であり、世界中から優秀なエンジニアが集まります。一方、日本には世界トップクラスのIT企業はなく、トップクラスの優秀なIT人材は、海外へ流出していると考えてよいでしょう。こうした状況には、日本企業のITへの理解が十分でないことも根本にあると考えられます。

 

日本のエンジニアの地位が高くならない構造的な理由

 

 

ではなぜ、日本のエンジニアの地位は高くならないのでしょうか。まずは、企業のITに対する姿勢など、構造的な理由からみていきます。

 

エンジニアを正しく理解できない企業が多い

日本において、エンジニアの仕事は単純労働のように思われがちです。ソフトウェアの開発において単純な作業は少なく、企画と開発プロセスは一体となっており、実際には高度なスキルが求められます。しかし、PCの前でひたすらプログラムを打ち込むイメージを持っている経営者は、いまだに少なくありません。

 

アメリカでは、マイクロソフトのビル・ゲイツ、Amazonのジェフ・ベゾス、Facebookのマーク・ザッカーバーグ、テスラのイーロン・マスクなど、名だたる企業の創業者がエンジニア出身であることが知られており、コンピュータープログラミングの知識が現代においていかに重要で、可能性のあるものかを多くの経営者が理解しています。

 

しかし、日本の多くのレガシー企業において、このことを理解できる人は残念ながら多くありません。そのため、エンジニアに対して正しい評価が行われず、エンジニアの地位も高くならない状況があると考えられます。

 

多くの日本企業が「IT=コスト削減」の概念から抜け出せない

アメリカにおいてITエンジニアは、その技術でサービスを生み出す職業と捉えられています。しかし日本では、現在もシステムインテグレーターがIT業界の大きな位置を占めていることからもわかるように、「ITは外注して安く行うもの」という感覚から抜け出せないままです。

 

日本企業にとってのITは、コスト削減のための手段であり、IT化を安く下請けに発注するという状況が繰り返されてきました。そのような理解度では、ビジネスモデルを変革するDXまで考えが至ることもなく、いかに安くエンジニアを使うかが議論の中心となります。

 

最近は、日本でもエンジニアが正しく認識されはじめ、その地位も向上しつつありますが、まだまだ正しく理解していない人は多く、そのことが、エンジニアの地位と年収の低さに繋がっています。

 

日本のエンジニアの年収が上がらない原因

 

日本のエンジニアの年収が上がらない理由は、構造的なものだけではありません。平成28年に経済産業省が行った「IT人材に関する各国比較調査」のデータを中心に、エンジニアの姿勢から来る原因もみていきましょう。

 

 

スキルアップ意識、スキルレベルともに低い

日本のエンジニアが諸外国のエンジニアに比べて、スキルアップに関する意識が低いことが調査データから見えてきます。

 

例えば、「業務以外でどのくらい勉強しているか」という問いに対し、「業務上必要かどうかに関わらず、自主的に勉強している」と答えたエンジニアの割合は、回答した6カ国で日本が最下位です。

 

出典:IT人材に関する各国比較調査|経済産業省

 

また、その勉強の仕方にも特徴があります。日本のエンジニアの自己研鑽は「WEB上での情報収集」に極端に偏っており、e-ラーニングなどによる学習や、研修・セミナーへの参加、社外の勉強会への参加などをしているエンジニアはほとんどいません。

 

出典:IT人材に関する各国比較調査|経済産業省

 

自主的に技術を身につけるエンジニアは全体の20%未満であり、しかも、手段はWEB上での情報収集がメインです。e-ラーニングに取り組むエンジニアの多いインド・中国・アメリカ、研修・セミナーや、社外コミュニティへの参加に積極的なインドネシアとは、明らかに傾向が異なります。

 

経済産業省が定める「ITスキル標準(ITSS)」のレベルは、7カ国の中で下から2番目。日本の平均レベルが「3.17」なのに対し、トップのアメリカは「4.05」となっており、大きな開きがあります。また、ハイエンドプレーヤーと定義されるレベル5以上が締める割合も、アメリカ・インドと比べ、非常に少ないものです。

 

出典:IT人材に関する各国比較調査|経済産業省

 

自己研鑽に積極的に励むエンジニアが少なく、相対的にスキルが低いエンジニアが大多数を占めています。その結果、平均年収も低くなっているとも言えそうです。

 

理系専攻者が少なく、博士号・修士号取得者も少ない

 

エンジニアの学歴、専攻分野についても、日本のエンジニアに特徴的な傾向が見られます。

 

最終学歴については、日本は大学卒未満のエンジニアが20%とかなり多くなっています。これはアメリカも同じですが、一方で米国は、修士号取得者が約2割とかなり多くなっています。

 

出典:IT人材に関する各国比較調査|経済産業省

 

また、エンジニアの専攻分野を見てみると、日本はさらに特徴的です。情報系分野の専攻者が、他国は最低でも40%のところ、日本はわずか23%です。また、日本では理系を専攻していたエンジニアは50%に満たず、他国に比べてかなり少なくなっています。

 

出典:IT人材に関する各国比較調査|経済産業省

 

日本のエンジニアは、諸外国に比べて文系や芸術系出身者が多い状況です。それ自体は門戸が広く開かれているという意味もあり良いことなのですが、一方で、世界で通用するハイエンドプレーヤーの少なさは、理系人材の少なさと無関係ではないかもしれません。

 

まとめ

日本のエンジニアの年収と地位や、年収が上がらない構造的な原因、エンジニアの姿勢に見え隠れする問題点などを見てきました。

 

後半で触れたように、海外のエンジニアは自己研鑽に積極的であり、スキルレベルも高いものになっています。それらの点で、日本はもう一歩及ばない状況です。また、日本のITを取り巻く環境も、諸外国に比べると遅れており、それも日本人エンジニアの評価が上がりづらいひとつの原因となっています。

 

しかし、今後、本質的なDXが進むことでエンジニアの価値が正しく認められるようになると考えられますし、それに伴って、エンジニアを目指して理系学科を専攻し、エンジニアとして働き始める人も増えることでしょう。ここで示したデータは、日本のエンジニアを取り巻く環境が、過渡期であることを示しているとも考えられます。

 

次回、Vol2では、「年収から見えるキャリアの考え方」をテーマに、日本で働くエンジニアに求められるキャリアのあり方を詳しくみていきます。

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