近年、IT業界の急成長により技術革新が繰り返されていく中で、多くの新たな職種が生まれています。エンジニアについても同様で、職種の多様性が増えることにより、キャリアの可能性は拡大しつつあります。しかし、これまではなかった職種の選択肢が増えたことから、キャリアビジョンを再認識する事が求められているとも言えます。特にエンジニアの場合、そのキャリアに合わせて求められるスキルが異なってくるため、早い段階からキャリアについての考え方を見直すことも必要となるでしょう。
■エンジニアのキャリアについて
一般的なエンジニアのキャリアパスは「プログラマー→システムエンジニア→プロジェクトリーダー→プロジェクトマネージャー」となっております。しかしながら、近年では「ITアーキテクト」、「フルスタックエンジニア」、「フリーランスエンジニア」といった新たな可能性も出てきています。そもそも、エンジニアのキャリアを方向性で分けたときに、大別すると、スペシャリスト、ゼネラリスト、マネジメントに分ける事ができます。
スペシャリスト寄りのキャリアでは技術的な知見が豊富で、技術力を用いてチームをリーダーとして導いていくスキルが必要となります。ゼネラリスト寄りにキャリアアップをしていきたい場合は、複数分野の知識を用いながら幅広く物事に対してアプローチを行うスキルを身につける必要があります。マネジメント専門にシフトする場合は、プロジェクトを円滑に進めるために複数の部門とのコミュニケーション能力やスケジュール管理力が求められます。
それぞれ志向の違いはありますが、基本的な開発のスキルに加えて、さらに高度な応用スキルが求められるようになります。
■これからに必要なキャリア志向
これからのキャリアを考える上では、より自分のスキルや経験に対して意識的になる必要があります。ただ、プロジェクトに関わっていく中で、プロジェクト毎に自身の目標設定をしたとしても、その時だけの目標になってしまうと得られるスキルや経験が少なくなってしまいます。まずは、自分のなりたい理想像(ゴール)を設定してプロジェクト毎にその理想に近づくために目標を立てる必要があります。いずれにしても、重要なことは像をより具体化していく作業となります。
具体化する方法として以下が挙げられます。
・自分の市場価値の理解
自分の現在地や市場価値を把握する必要があります。過去の経験や成功体験、失敗体験を思い出しながら、自分の価値観や考え方がどのようなものを重視しており、どの事柄の影響によってそのような考え方が生まれたのかを考えてみましょう。また、現状の自分を客観的に判断することも必要となります。周りの人に聞きながら、自分の能力や人間関係について考え、今の自分は何が得意でどのような事を好むのかしっかり分析してみましょう。
・キャリアビジョン(理想)の再確認
次に、どの方向に歩んでいくのかについて確認する必要があります。多くの職種を見ていきながら、今の自分の理想と5年、10年後になりたい自分の位置を考えながら、キャリアの方向性を決めましょう。同じ職場の先輩や業界の中で有名な人をロールモデルにすると、その人に近づくためのより具体的な目標を設定しやすくなるためおすすめです。
・キャリアプランの明確化
最後にキャリアプランを明確に計画していきましょう。キャリアビジョンとしての理想像として設定した、ゴールとなる人のスキルや、人柄などを細かく項目に分けて書き出していき、今の自分と比べてどのような違いがあるのか分析します。その中で参考にしていきたい項目を選んで、その項目を実現する方法について考えていきましょう。方法を調べた後に、習得するまでの期間を設定し、短期的アクションプランを作るとキャリアビジョンへの到達までのロードマップが完成します。
ロードマップを具体的に設定することにより、今までの一貫性がなかった目標設定とは異なり、どのような環境下においても自分のキャリアプランに沿ったアクションを取れるようになり、5年後、10年後の自分の立ち位置が大きく変化することへとつながります。
■まとめ
今回はエンジニアのキャリア志向について説明しました。普段、立ち止まってキャリアについて考える機会は決して多くはないのではないでしょうか。時間をとって一度しっかりと考えてみると自分に足りない事柄が明確となり、何に取り組んでいけば良いのか明確になっていきます。常に目標を意識して取り組むことによって、自分のワークライフがより充実し目標達成がとても楽しいものとなっていきます。
昨今では、自身のやりがいや好きなことを重視し、特に管理職へのキャリアアップ志向のある人が減少している傾向にあるようです。こうした志向の変化も個々のライフスタイルの中の仕事・職種の多様性がもたらした動きの一つなのかもしれません。だからこそ、自分がどんなエンジニアになりたいか、どのようなエンジニア人生を送っていきたいのか、この機会に一度考えてみると良いでしょう。