ネットワーク機器世界最大手「シスコシステムズ」による認定資格「CCNA」。シスコシステムズ製品に関する知識だけでなく、ネットワークエンジニアにとっての基礎知識を求められる内容になっており、認知度、評価ともに高い資格です。
このコラムでは、CCNAとは何か、取得するメリットはどのようなものかを詳しく解説するとともに、CCNAの取得を目指している方に向けて、難易度や必要な勉強内容など資格取得に役立つ情報も紹介します。
まずは「CCNA」とは何かを解説します。
CCNAは、正式名称を「Cisco Certified Network Associate」といいます。コンピュータネットワーク機器の世界最大手「シスコシステムズ」による認定資格です。
ネットワークに関する基本的な知識が求められるものになっており、合格するためには無線接続やセキュリティなども含めた広範囲な知識が必要です。その特性から、ネットワークエンジニアを目指す人にとっての登竜門的な存在となっています。
なお、これまでのCCNA試験は「Cloud」や「Security」「Date Center」など8種類に分かれていましたが、2022年2月に改定され「CCNA」1種類に統合されました。
シスコシステムズが設けている認定資格はCCNA以外にもあり、それぞれの資格にはグレードが与えられています。
グレードは4種類あり、易しいほうから「エントリー」「アソシエイト」「プロフェッショナル」「エキスパート」となっています。
CCNAは易しいほうから2番目の「アソシエイト」に位置づけられており、これは初級レベルとなります。CCNAは、ネットワークに関する基礎知識を広範囲に求められ、より難易度の高い資格の土台となる位置づけとイメージするとよいでしょう。
続いてCCNAの基本的な情報を紹介します。
資格によっては、実務経験を求められることや、受験に他の資格が必要なことがありますが、CCNAにはそういったものはありません。
そのため、CCNAを取得したいと考えたら、受験に必要な資格を取得する必要もなく未経験者も受験できるため、就職を有利にするために取得するのもよいでしょう。
CCNAの資格は3年ごとの更新が必要です。一度取得すれば半永久的に有効というものではないため、更新忘れに注意が必要です。
CCNAを更新するには、再び試験に合格する必要があります。CCNA試験は定期的に内容が改訂されており、難易度はアップしていると言われています。保持し続けるためには常に最新の知識をキープする必要があり、このことがCCNAの価値に繋がっているといえます。
CCNAの試験は、全国の指定の会場で受験できるほか、オンラインでの受験も可能です。
会場での試験は随時受付けており、日曜・祝日を除いて、空き枠があればいつでも受験できます。試験には会場に設置されているPCを使用し、合否は試験終了後すぐに発表されます。
オンラインで受験する場合は、PCにWebカメラが備わっていることや、安定したインターネット通信が可能なことなどいくつかの条件がありますが、全国どこにいても受験できるため、大変便利です。
出典:https://www.pearsonvue.co.jp/cisco/onvue
シスコシステムズでは、CCNAの合格点を公式に発表していません。しかし、目安として「1000点満点中、800~900点」が合格ラインになるといわれています。
CCNA試験は、たとえ同じ会場で受験しても、出題はランダムで問題が異なります。そのため、出題によって難易度や合格ラインが微妙に変わりますし、定期的に試験内容が改定されており、徐々に難易度がアップしているともいわれています。
CCNAは民間資格ですが、業界最大手のシスコシステムズの認定資格であり、認知度、評価ともに高い資格です。ここでは、CCNAを取得することで得られる代表的な3つのメリットを紹介します。
CCNAの試験内容は、シスコシステムズ製品に関する知識だけでなく、ネットワークエンジニアにとっての基本的な知識とスキルも問うものです。
そのため、CCNA試験を取得することで、ネットワークに関する基礎知識を学ぶことができますし、知識やスキルの証明にもなります。
こうした特性の試験のため、CCNAがスタートして以来、世界中のネットワークエンジニアがCCNAに挑戦しており、また、多くの企業もCCNA取得者を求めています。
シスコシステムズは、ネットワーク分野において世界最大のシェアを保っています。現状、ほとんどのインターネットトラフィックがシスコシステムズ製品によって構築されたネットワーク経路上を通過しているといっても過言ではありません。
こうした状況のため、シスコシステムズの製品に関する知識やスキルは、ネットワーク業界において世界標準となっています。ほとんどのネットワークエンジニアがシスコシステムズの製品に触れることになるため、その認定プログラムであるCCNA取得者には、高い市場価値があります。
先述のとおり、CCNAを取得することは、業界最大手であるシスコシステムズの製品に関する基礎知識があることの証明になるとともに、ネットワークに関する基本的な知識の証明にもなります。
そのため、CCNAを取得することで、ネットワークエンジニアの就職・転職において、よりよい条件で雇用される可能性が高く、同じ企業に属している場合、給与がアップする可能性もあります。
ネットワークエンジニアを含むIT人材は世界的に不足していますが、とくに認知度、評価ともに高いCCNA資格の取得者は引く手あまたの状況といえ、就職・転職に有利に働くことでしょう。
CCNAは人気の資格のため、参考書などの書籍が多く出版されています。まずは、そうしたものを購入して、体系的に勉強することをおすすめします。
書籍を使って勉強する際に注意したいのは、内容のバージョンです。CCNAは定期的に内容が改訂されるため、常に最新版を使って勉強する必要があります。
また、書籍だけで理解できない部分はネット教材で補うのもおすすめです。そうすることで、CCNAの出題範囲をカバーできるはずです。
参考書やネット教材を使って、CCNA試験の内容を体系的に学習できたら、次は問題集を購入して何度も解くことをおすすめします。
CCNAは定期的に内容が更新されているとはいえ、過去の問題を解くことで、どのような分野の問題が、どのように出題されているかの傾向がつかめます。
また、Web問題集を使うのもおすすめです。CCNA試験はPCで行う「CBT方式」のため、その練習にもなるでしょう。
CCNAの試験の中には、シスコシステムズ製品のコマンド入力など、独学では理解しづらい出題もあります。また、独学で勉強を進めていると、挫折してしまうこともあるでしょう。
そういった場合は、専門のITスクールや、オンライン講座の活用がおすすめです。わからない部分を講師に質問できることもあり、学習時間を大幅に短縮できる可能性があります。独学で学習を進めていて、進捗が思わしくないのであれば、ぜひ検討しましょう。
CCNAは、ネットワークに関する知識が広く出題されます。そのため、いわゆる「一夜漬け」での合格は難しく、大まかに100~300時間程度の学習時間が必要と考えられます。ここでは、現在の知識やスキルのレベルごとの学習方法や学習時間の目安を紹介します。
ネットワークに関する知識がない初心者の場合、ネットワークの仕組みなどのごく基本的なところから勉強を行う必要があります。また、シスコシステムズの製品に触れたことがないことがほとんどでしょうから、身につくのに時間がかかる内容もあるでしょう。学習時間は大きく余裕を持って、300時間以上必要になると考えましょう。
情報系の学生や、ITエンジニア(非ネットワークエンジニア)の場合は、ネットワークに関する基本的な知識はある程度あるはずです。しかし、CCNAではネットワークに関する基礎知識を広く求められるため、今まで触れてこなかった部分も出題されると考えましょう。
また、シスコシステムズの製品に触れた経験があるかどうかでも学習の難易度は変わってきます。学習時間は完全な初心者よりは短くなるものの、200時間以上は見込んでおいたほうがいいでしょう。
ネットワークエンジニアとして既に業務に携わっている場合は、試験対策が主な勉強になります。そのため、100時間前後の学習時間で合格できる可能性があります。
しかし、実務で経験のない分野がある場合は、その分野に関する勉強が必要になりますし、苦手分野があれば集中して学習する必要があるでしょう。CCNAはネットワークに関する知識を広く求められるため、わからない分野をなくすことが非常に重要になります。
CCNAは、一企業の認定資格ではありますが、主催するシスコシステムズ製品が業界の世界的スタンダードであることや、合格のためにネットワークに関するごく基本的な知識を求められることから、ネットワークエンジニアの登竜門的な位置づけとなっています。
また、前提となる資格がないため、現在ネットワークエンジニアとして活躍している人はもちろん、これからネットワークエンジニアを目指す未経験の人でも受験できます。ネットワークに関する知識を広く身につける必要があるため、受験勉強には一定の時間が必要ですが、資格に対する評価・認知度は高く、受験するメリットは大いにあるでしょう。