UI/UXとは? 役割・重要性や、UI/UXエンジニアに求められるスキルを紹介

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近年、UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)といった言葉を耳にする機会が増えました。この2つは、一緒に語られることが多く、互いに密接な関係がありますが、それぞれ異なるものを指す言葉です。

 

また、UI/UXの構築や最適化、改善などを行うUI/UXエンジニアという職種も登場しています。その仕事内容はマーケティングやWebデザインなど、広い範囲にまたがっているのが特徴です。

 

ここでは、UI/UXとはなにか、UIとUXの違いや関係性などの基本や、近年UI/UXが求められる理由を解説するとともに、UI/UXを専門とするエンジニア「UI/UXエンジニア」の仕事内容や、求められるスキルなどを紹介します。

 

UIとは?

 

UIは「User Interface」の略です。Userは利用者、Interfaceは境界面という意味があり、利用者との接点といった意味で使われます。

 

UIはコンピューターとユーザーの間にあり、例えば、WebサイトやWebサービス、ソフトウェアやアプリケーションなどの操作画面、さらに、マウスやキーボード、タッチパネルなどもUIに含まれます。ユーザーの視覚に入る情報全般をUIということもできるでしょう。

 

UIにはCUI(キャラクターユーザーインターフェース)とGUI(グラフィカルインターフェース)の2つがあります。CUIはキーボードなどからの文字列を入力して操作するもので、代表的なものに、MS DOSやWindowsのコマンドプロントがあります。

 

GUIは、マウスなどのポインティングデバイスやタッチパネルを用いて操作するもので、代表的なものはMac OSやWindowsなどがあります。

 

UXとは?

 

UXは「User Experience」の略です。Userは利用者、Experienceは体験という意味があり、利用者が得る体験といった意味で使われます。

 

UXは、ユーザーがサービスや商品などを通して得られる体験全般を指しており、それらを使用して便利に感じたり、楽しく感じたりするだけでなく、他の製品より使いやすいなど品質に関わるものもUXに含まれます。

 

例えば、ECサイトに関することであれば、アプリやWebサイトの使いやすさ、わかりやすさ、文字の読みやすさなどが挙げられるほか、購入した商品のクオリティもUXの一部と考えられます。サービスを利用する家庭でユーザーが感じたことすべてがUXといえるでしょう。

 

UI/UXの違い・関係性とは

 

UIとUXは言葉こそ似ていますが、それぞれの意味するものが違うという事が分かります。しかし、両者には深い関係があり、お互いに影響しあっています。

 

UIとUXはセットにされることが多いですが、これは、よいUIはUXを高めるためです。良質なユーザー体験(UX)のために、優れたユーザーインターフェース(UI)は欠かせません。UIに問題があったり、わかりづらかったりすると、ユーザーは悪い印象を持ってしまい、UXは低下します。

 

とはいえ、UIはあくまでUXを向上させるための手段のひとつであり、UIだけに力を注いでも、UXが必ずしも向上するわけではないことには注意が必要です。UXを高めるためには、ユーザーのどのような感情を喚起させるべきかをよく考えましょう。

 

UI/UXが求められる理由

 

近年、UIを含むUX全般がことさら重要視されているのは、どのような理由からでしょうか。ここでは代表的な2つの理由を紹介します。

 

1.サービスの利用率や商品の売上への影響が大きいから

近年、UIを含むUX全般が重要視されている理由は、アプリやECサイトを利用したユーザーや、商品を購入したユーザーの満足度に大きく関わり、利用率や売上に影響するためです。

 

ユーザーがストレスなく目的を達成できるサービスや商品であればUXは向上します。UXが向上すると、ユーザーは、またそのサービスを利用したり、商品を購入したりしたいと考え、利用率や売上アップに直結します。

 

反対に、したいことがスムーズにできない、目的の商品が見つからないといった、ユーザーにとってストレスが溜まるUIであればUXは低下します。サービスの継続利用者は少なくなり、商品も売れにくくなるでしょう。

 

2.IoTの普及でインターネットがより身近になったから

IoT(Internet of Things)の普及も関係しています。IoTはさまざまなものをインターネットに繋ぐことを指す言葉で、「モノのインターネット」とも呼ばれます。

 

IoTでは、外出先でスマートフォンを使い、インターネットに繋がっている自宅のエアコンやHDDレコーダーなどを操作したり、インターネットに繋がったカメラで撮影した子どもやペットの様子をスマートフォンから確認できたりします。他にもレシピをダウンロードできる電子レンジや、サブスクから直接音楽を再生できるスマートスピーカーなども登場しています。

 

IoTによって、インターネットは今まで以上に身近な存在となり、多くの人にとって日常の一部になっていくと考えられます。そうしたなかで、誰もが気軽にインターネットを使えるようにするためには、わかりやすいUIを含む、良質なユーザー体験(UX)が求められます。

 

UI/UXエンジニアとは?

 

UI/UXエンジニアは、UI/UXの構築や最適化を行うフロントエンドエンジニアです。一般的に、UI/UXの構築・最適化・改善などを行いますが、明確な定義はなく、組織の構造や考え方によって仕事の内容には違いがあります。しかし、いかなるときも「UXの向上によってユーザー満足度を向上させること」が目標となります。

 

UI/UXエンジニアは、エンジニアリングチームとデザインチームの中間で、デザインと開発の橋渡し的な役割を行うことの多い職種です。また、静的なデザイン要素をインタラクティブ(双方向のといった意味)なものに変換、発展させていくことも仕事のひとつです。

 

UI/UXエンジニアの仕事の流れ

 

 

UI/UXエンジニアの仕事は、大きく「戦略」「要件」「構造」「骨格」「表層」の5段階に分かれます。

 

ここでは、大まかな仕事の流れを紹介しますが、必ずしも前の段階を完璧に終わらせてから次の段階に進まなくてはいけないものではなく、多少前後することもあります。しかし、概ね以下の流れで進められます。

 

1.戦略

この段階では、どのようなサービスにするか、どのような人をターゲットにするかを決めます。これは、開発プロジェクトの目標を決める上でもっとも重要な工程です。必要に応じて、競合調査やさまざまなリサーチも行われます。

 

2.要件

戦略段階で決定した内容をもとに、ユーザー体験の想定などを行います。その上で、サービスを実現するために必要な機能の洗い出しを行って要件を決めていきます。この段階でユーザーインターフェースの基本骨格が決まります。

 

3.構造

必要な機能やインターフェースを実現するために必要となる、モデリングや概念図などを決めていきます。ここでは、UIモデリング図やUIクラス図などを作ります。

 

4.骨格

サービスの枠組みを決め、サイトの設計図を作成します。ユーザー体験に関わる、操作性や画面のレイアウト、表示するメッセージなどはこの段階で決定します。

 

5.表層

ここでは、色やロゴ、モーションなどを含めた、ページ全体のデザインを決定していきます。ユーザーが感じる印象など感性に訴える部分を決める工程といえます。

 

UI/UXエンジニアになるには?求められるスキルを紹介

 

紹介した仕事の流れからもわかるとおり、UI/UXエンジニアには、プログラミングはもちろん、Webデザインやマーケティングの知識も求められます。

 

ここでは、UI/UXエンジニアとして活躍するために必要となる代表的なスキルを紹介します。

 

プログラミング技術

UI/UXエンジニアが関わるプロジェクトの多くは、Webサービスとなることがほとんどです。そのため、まずはエンジニアとしての基本であるプログラミングの技術が必要となります。

 

以下がUI/UXエンジニアに求められる代表的なプログラミング言語の一例です。なかでも、HTMLやCSSはWebに携わるエンジニアに求められる基本的な技術といえます。

 

・フロントエンド:HTML、CSS、JavaScript

・バックエンド:PHP、Java、Ruby

 

なお、近年の開発ではフレームワークを用いた開発が基本となっているので、プログラミング言語とセットで習得するとよいでしょう。

 

Webデザイン

UI/UXでは、見た目も非常に重要な要素となります。そのため、UI/UXエンジニアには、Webデザインの基本的なスキルが求められます。これは多くの他のエンジニアとは大きく異なる点です。

具体的には、大きく以下の2つのスキルが求められます。

 

・IllustratorやPhotoshopでWebデザインを行える

・サイトの設計図(ワイヤーフレーム)やプロトタイプを作成できる

 

マーケティング

UI/UXを考える上では、誰に向けてどのようなサービスにするかを検討する必要があり、そのためには市場ニーズを的確に把握する必要があります。また、場合によっては競合調査やリサーチも必要です。

 

こうしたことから、UI/UXエンジニアにはマーケティングの基本的なスキルが求められます。必要となる具体的なスキルは以下のようなものです。

 

・統計の基本的な知識

・Google AnalyticsやGoogleウェブマスターを使えるスキル

・データの収集・分析スキル

・SEO(検索エンジン最適化)のスキル

 

これらはいずれも戦略段階で使われます。この段階でデータを読み間違えてしまうと、作成するUI/UXの方向性がすべて違ってしまいます。そのため、こうしたスキルは非常に重要といえます。

 

コミュニケーション能力

UI/UXエンジニアが仕事を進めるには、プロジェクトマネージャー/リーダーや、デザイナーなど、さまざまな役割のエンジニアとのコミュニケーションが発生します。以下は、UI/UXエンジニアが関わる人たちの一例です。

 

・プロジェクトメンバー(プロジェクトリーダーやエンジニアなど)

・社内の他職種のメンバー(営業、デザイナー、マーケティング担当など)

・クライアントやマーケティング会社など

 

コミュニケーションがスムーズであれば、その分プロジェクトも円滑に進むため、コミュニケーション能力は非常に重要です。エンジニアではない人たちとも多く関わるため、相手の知識レベルに合わせて話をする工夫も求められます。

 

まとめ

UI/UXは、IoTの普及や、アプリ、ウェブサービス、ECサイトなどの普及により、今後ますます重要度を増すことでしょう。それに伴い、UI/UXを包括的に考え、構築できるUI/UXエンジニアの存在も重要になってくるものと考えられます。

 

UI/UXエンジニアは、他の職種に比べて幅広いスキルを求められます。また、比較的新しい職種であるため、今後求められるスキルが変化していくことも考えられます。そうした特徴から、UI/UXエンジニアを目指すのであれば、新しい情報に触れ、知識のアップデートを欠かさないことも重要になるでしょう。

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