DX時代のキャリアプラン③
「プロダクトマネージャー」「ビジネスデザイナー」「テックリード」編

IT部門担当者がDX推進人材になるには?

#DX

 

DX(デジタルトランスフォーメーション)を牽引する人材が、「プロダクトマネージャー」「ビジネスデザイナー」「テックリード」「データサイエンティスト / 先端技術エンジニア」「エンジニア / プログラマー」「UI / UXデザイナー」の6職種で構成される、高スキルを持つデジタル人材「DX推進人材」です。

 

DX推進人材を社内でどう育成するのか、もしくはいかにして社外から獲得するのか。このような課題に対し、本連載ではDX推進人材に求められるスキルやキャリアアップの方法をご紹介しています。

 

今回取り上げるのは、特に高いスキルが求められる「プロダクトマネージャー」「ビジネスデザイナー」「テックリード」の3職種です。

「プロダクトマネージャー」「ビジネスデザイナー」は企画やマネジメントなどの上流工程を担当し、「テックリード」はエンジニアスタッフを統率する役割を担います。前者と後者で業務内容が異なる印象がありますが、共通するのはいずれも企画、開発、運用フェーズの品質を担保する責任者である点です。DXプロジェクトをスムーズに進行するためには、これら3つの人材がチームに所属する必要があります。DXプロジェクトの成功を担う、非常に重要な職種と言えるでしょう。

 

デジタル人材をマネジメントするセクションの方に向けて、職務内容など基礎的な情報からわかりやすくまとめました。DX推進の参考情報としてご活用ください。

 

「プロダクトマネージャー」「ビジネスデザイナー」「テックリード」の基本情報

・プロダクトマネージャー

DXの実現を主導するリーダー格として、プロジェクトの責任者を担当します。DX推進人材として、企業によってはCDO(Chief Digital Officer)を含む場合もあります。

 

経営的な視点が求められるため、情報システム部門の責任者などを経験した人材が担当するケースが多くみられます。

 

・ビジネスデザイナー

企業が抱えるビジネスの課題を解決するための戦略を打ち出す職種です。ビジネスとしては成り立っていない企画を収益化させる事業化力や、自社の資産を活用したビジネスを立案するアイデア力が必要です。

 

DXにおいては自社の資産とITを組み合わせた新規事業やサービスを立案します。そのためIT企画や新規事業を立ち上げた経験を活かすことができます。また、プロジェクトマネージャーなどITビジネスに精通した人材のキャリアアップモデルとしても注目されています。

 

・テックリード

テックリードはエンジニアリングマネージャーやアーキテクトを包括する、システムの設計〜実装を行える高レベルのエンジニアを指します。要件定義や仕様策定といった業務の他、開発チームのリーダーとして、開発の品質を担保します。

 

ITエンジニアなどで専門的な経験を積んだ人材がテックリードとしてキャリアアップするケースが多い中、アーキテクトなど専門的なスキルが必要な職種は、大学や企業の研究機関で高度な研究を行った人材が担うケースが多くみられます。

 

「プロダクトマネージャー」「ビジネスデザイナー」「テックリード」にキャリアアップするために必要なスキル

 

・プロダクトマネージャー:DXの知識、リーダーシップなど

プロダクトマネージャーの業務は多岐にわたります。具体的には、DXを含むITの専門知識である「ITスキル」をはじめ、プロダクトの仕様・設計に関する「プロダクト開発スキル」、チームを牽引するための「チームマネジメントスキル」、そして経営などビジネス面に関連する「ビジネス理解スキル」の4つに大別されるでしょう。

 

プロダクトマネージャーの業務は上流工程になるため、4つの方向性のスキルもそれぞれ高く理解することが求められます。情報システム部門の責任者など、プロダクトマネージャーにキャリアアップを目指す方は、まずはDXやITの知識を強化しましょう。

 

また、プロダクトマネージャーはDXの実現を主導するリーダー役を担うため、リーダーシップのスキルも重要です。前述の通りDXは不確定要素が多く、チャレンジングな新規事業になりがちです。メンバーを鼓舞し、最大限のパフォーマンスを発揮してもらうために、プロダクトマネージャーがリーダーシップを発揮する必要があります。実際にプロジェクトリーダーを体験してきた方は、その経験が活かされますし、あまり経験を積んでいない方は、様々なリーダーシップ理論を説いた書籍があります。フィードラーなどの古典から「サーバントリーダーシップ」などの最新理論まで様々な種類があります。自分のやり方に合ったものを選んでみてはいかがでしょうか。

 

 

 

ビジネスデザイナー:デザイン思考、アジャイル開発な

他の競合人材と差別化するためにおすすめのスキルが「デザイン思考」です。ロジカルシンキング(論理的思考)が情報を整理し、順序立てることで解決策を導くのに対し、デザイン思考はユーザーの潜在的なニーズを考察して、仮説立案と検証を繰り返します。ロジカルシンキングの場合は「情報整理」「推論力」が、デザイン思考には「仮説立案力」「共感力」が重要になると整理できるでしょう。

 

なぜDXにおいてデザイン思考が重要になるのかといえば、ユーザー起点のアイデアにつながるからです。ユーザーのニーズは何か、あるいは、ユーザー自身が言語化できていない不満は無いのか。とことんユーザーに共感するアプローチであるデザイン思考は、新しいアイデアを生み出すために大きな示唆を与えてくれます。

 

また、プロダクト開発関連のスキル強化にぜひおすすめしたいのが、アジャイル開発の知識です。DXは前例のないプロジェクトが多いため、プロトタイプを作って高速で検証を繰り返すアジャイル開発が前提になるケースが多くみられます。その際、アジャイル開発のノウハウがあれば、改善検証の品質を高めることができます。

 

 

 

テックリード:ITスキル、チームマネジメン

テックリードはIT系スキルやビジネスリテラシーに加え、チームマネジメントのスキルが求められます。チーム内のトラブル発生を防ぐメンターとしての役割です。特にDXのような先進的なプロジェクトの場合、プロジェクトの成否が技術者にのしかかり、心身にストレスを生んでしまうケースが少なくありません。チームのモチベーションを保つためのコミュニケーションを行い、その結果をマネジメントにフィードバックする役割が求められます。

上記に関連して、エンジニアチーム外との窓口もテックリードの大きな役割です。エンジニアの代表として現場の課題を把握し、プロダクトマネージャーや管理部署に対して交渉する役割を担うことで、プロジェクトを円滑に進めることができます。

 

まとめ

 

DXでは自社の資産(データや人材などの経営資源)とIT技術を組み合わせ、新しいビジネスを提案することが求められます。そのためには自社を取り巻く市場環境や自社の資産などを深く理解する必要があるため、DXにおいて、プロダクトマネージャーやビジネスデザイナーは自社内の人材を育成することが求められます。

 

具体的には新規事業企画などを担当する役職者や取締役などが担当するケースが多いでしょう。一方、テックリードをはじめエンジニア / プログラマー、UI / UXデザイナーは技術的な要件が優先されるため、経営判断としてあまり育成や採用コストをかけず、外部リソースを活用する事例が多いようです。

 

実際に、IPAの調査(※)では、プロダクトマネージャーやビジネスデザイナーなどビジネス視点でDXを主導するリーダーは自社で保有する一方、技術系の職種は中途採用や外部リソースを活用する傾向が見てとれます。また、開発フェーズとローンチ後の運用フェーズでは、異なるスキルが求められます。フェーズごとに最適な人材をアサインすることで、プロジェクトを円滑に進められるようになります。

 

まとめると、DXにはDX推進人材のコミットが重要になる一方、人材の調達には社内育成と外部リソースの活用という2つのパターンをうまく併用することが、DX成功の分かれ道になるということです。次回の記事では2つの人材活用パターンについてより深掘りした記事を公開予定です。引き続き本トピックスをご覧いただければ幸いです。

 

 

※デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査 2020年

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