5Gでさらに注目を集める情報処理方法の変化を解説

クラウドAI/エッジAIとは?

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これまでAIは、大量の端末が取得したデータを、クラウドサーバーに送信し学習させる「クラウドAI」が主流でした。ですが近年、端末近くにAIを搭載して学習・推論させる「エッジAI」の採用が盛んになっています。

 

IoT技術の進化や、スタンドアローンでの動作も重要になる自動運転技術などの需要が増えたこと、セキュリティ上の都合などが「エッジAI」採用増の理由ですが、今後、超高速な5G通信が普及することで、「クラウドAI」の進化や、垣根を越えた連携も期待されます。

 

この記事では、5G通信の普及で今一度注目を浴びる「クラウドAI」と、さまざまな技術への採用が見込まれる「エッジAI」の特徴や活躍している場面を解説するとともに、5G通信により訪れる変化についても言及していきます。

 

クラウドAIとは

 

 

クラウドAIとは、AIの動作に必要な処理をクラウドで行う動作形態を指します。クラウドとは、インターネットを介して必要なサービスを利用する方法ですから、必ずインターネット環境が必要になります。

 

常にインターネットを必要とすることから、機密情報の扱い方を慎重に考える必要があったり、回線の環境によっては反応に遅延が生じたりすることがあります。そのため、機密性が高く、リアルタイム性が求められるAIの場合はクラウドでの実装は難しいとされています。

 

一方で、「Google Cloud」や「AWS(Amazon Web Service)」、「Microsoft Azure」や「IBM Watson」が提供するAIクラウドサービスには、AI開発のためのサービスが用意されており、利用のハードルは低いものとなっています。サンプルデータ量が多く、最初から精度の高いAIが利用できることは、クラウドAIのメリットといえるでしょう。

 

クラウドAIが利用されている場面

 

クラウドAIが利用されている場面としては、以下のようなものがあります。

 

  • 音声アシスタント
  • チャットボット
  • 翻訳サービス
  • 画像認識
  • パーソナライズドマーケティング

 

音声アシスタントとチャットボット、翻訳サービスなどは、PCやスマートフォンを経由し、クラウド上に置かれたAIが、音声や文字を自動で解析と処理を行います。

 

音声アシスタントはスマートフォンとスマートスピーカーに内蔵されて普及しましたし、AIによる翻訳サービスも、Google翻訳やDeepL翻訳などが有名です。チャットボットは、企業サイトのヘルプデスクや、企業のLINE、他にもアプリなどで利用されています。

 

画像認識は、顔認証に利用されたほか、ビッグデータを用いた画像の分類などで活用されています。

 

例えば、Googleフォトに保存した写真は、写っている人を顔認証技術で判別し、その人が写っている写真を自動でまとめます。さらに、写真に写っている物や場所も判別し、「料理」「公園」「博物館」などのジャンルに分けてアルバム化します。これらは、もっとも身近な顔認証と画像の分類の例のひとつといえます。

 

パーソナライズドマーケティングは、ユーザーが興味を持っているものを分析して、おすすめの商品やサービスを提示する機能です。

 

活用例としては、ユーザーが興味を持ったものを勧める、ウェブ広告における「パーソナライズド広告」などが有名です。他にも、ECサイトが、ユーザーの購買履歴や閲覧履歴を元に、興味を持ちそうな商品を勧めてくる技術にも、クラウドAIが活用されています。

 

エッジAIとは

 

 

エッジAIは、AIの学習・判断をエッジコンピューティング上で行う動作形態のことです。

 

エッジコンピューティングとは、IoT端末などのデバイス、つまりインターネットに繋がったコンピューター端末を指し、スマートフォンなどが該当します。

 

エッジAIでは手元のコンピューターでAIの処理を行うことができるため、機密情報を扱うことが難しかったり、回線の環境によっては反応に遅延が生じたりすることがあるクラウドAIのデメリットをカバーできます。また、通信料の低減も可能です。

 

一方で、エッジAIではデバイスのパワーが限られるため、行える計算には限界があります。また、クラウドと違い各端末にAIが搭載されることから、とくに産業用の場合、管理コストが増大します。

 

エッジAIが利用される場面

 

エッジAIが利用されている場面としては、以下のようなものがあります。

 

  • 自動運転技術
  • 産業用ドローン
  • 産業用ロボットの制御

 

自動車の自動運転技術は、エッジAIの代表的な活用例です。自動車を一般の道路で走らせるためには、道路や信号の状態と、周囲の自動車や人の状況を瞬時に判断する必要があります。そのため、通信遅延がなく、リアルタイム性の高いエッジAIが必要です。これは、自律飛行が可能な産業用ドローンも同じです。

 

産業用ロボットでは、対象の状況をセンサーとエッジAIによる常時推論で把握しながら、リアルタイムで制御します。これにより、製品の合格/不合格を瞬時に判断できるようになり、生産性の向上に寄与します。

 

また、ロボット自体の故障の兆候や、人間の動きを常時監視して、事故が起こる前に機械を停止させることもできると期待されています。これらは、エッジAIのリアルタイム性がもっとも生きる場面のひとつです。

 

 

5G通信がクラウドAIとエッジAIに及ぼす影響とは

 

 

5G通信は、従来の4G通信を速度・容量の面で大きく上回ります。速度は4G通信の約10倍になり、通信遅延は10分の1まで短縮されるとされています。

 

こうした5G通信の優れたスピードは、クラウドAIとエッジAIにも影響を及ぼすと考えられます。

 

例えば、通信速度の問題でクラウドAIを使えなかった分野も、5G通信であれば遅延が問題にならない範囲に収まる可能性があります。それにより、エッジAIではデバイスパワーの都合でできなかったことができるようになったり、管理コストを圧縮できたりする可能性が出てきます。

 

また、エッジAIと5G通信を組み合わせることで、ベストな結果が得られるケースもあるでしょう。例えば自動運転技術は、自車をエッジAIで制御するとともに、周囲の自動車どうしが5G通信でお互いの距離などをリアルタイムに把握できるようになるため、より安全な自動運転が可能になると考えられます。

 

5G通信によりクラウドAIとエッジAIの連携はしやすくなる

 

5G通信の普及は、クラウドAIとエッジAIの垣根を低くし、お互いのメリットを補完し合って、AIそのものの可能性や限界を高めるものになるはずです。

 

クラウドAIの強みは、大量のデータを集められることと、性能の高いCPUやGPUを使って高速で分析できることにあります。一方のエッジAIは、リアルタイム性が強みです。例えば、クラウドAIで初期学習を行って基本的な学習モデルを作り、エッジAIがそのモデルに沿って実践的な処理を現場で行えば、精度とスピードが両立できます。

 

エッジAIが学習した内容を、クラウドAIにフィードバックすることで、より拡張性のある学習モデルを作ることができる可能性もあります。その場合は、エッジAIが瞬時に判断する必要のないデータを分別してクラウドストレージに送り、クラウドAIで分析するといった方法になると考えられます。

 

そして、こうしたクラウドAIとエッジAIの連携には、高速かつ大容量のデータ送受信を可能とする5G技術が必要です。これから先、今までできなかったことが次々と実現されていくかもしれません。

 

まとめ

 

クラウドAIとエッジAIについて解説してきました。クラウドAIとエッジAIは、動作する環境の違い以外に、得意、不得意の違いもあります。何に使い、何をしたいのかによって、どちらのAIを使うかの判断が必要です。

 

どちらのAIも、私たちの生活を便利にし、業務、産業、交通などを効率化するために用いられる技術です。今後本格化する5Gの高速通信により、さらなる進歩も予想されています。今後、クラウドAIとエッジAIは、ますます必要性が高まることでしょう。

 

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