ドイツはeスポーツビザ発給を開始

ヨーロッパのeスポーツ事情を見る

#eスポーツ

ストリーミングサービスの拡充により、以前に比べて日本から海外のプロスポーツを視聴することは非常に簡単になりました。中には同じ競技でも国内よりも海外のハイレベルな競技シーンが好きで、そちらの方が詳しいというファンも珍しくないでしょう。

 

ではeスポーツに関してはどうでしょうか。eスポーツの大会は基本的に「無料で視聴可能な方法で配信する」という文化が根付いていることもあって、海外トッププロ同士の試合でも実は他のスポーツに比べて観戦すること自体は容易です。

 

しかし殆どは日本語では放送されないこともあって視聴のハードルは高く、選手や試合に関する情報も充実しているとは言い難いのが現状です。中でも日本人選手が出場することも多々あるアメリカやアジアの大会はまだしも、遠く離れたヨーロッパの情報となれば日本から事情を伺うのは簡単なことではありません。

 

ですが、ヨーロッパでもeスポーツが近年大きな人気を集めている競技・コンテンツであることは間違いありません。今回はeスポーツにおける欧州情勢について、少し見識を深める機会にしたいと思います。

 

 

ヨーロッパでもゲームはメジャーコンテンツ

 

まずはゲームという文化そのものについてチェックしましょう。ヨーロッパではゲームと言えばボードゲームやカードゲームと言ったアナログゲームが日本を遥かに上回る人気を誇っており、今なお盛んに開発が進められている人気コンテンツです。

 

ただ、それらに押されることなく電子ゲームも浸透しており、アジアやアメリカと同様の人気を誇ります。具体的には日本で1983年に発売された任天堂のゲーム機「ファミリーコンピューター」が「Nintendo Entertainment System」という名称でアメリカに進出したのが1985年であり、ヨーロッパで販売が開始されたのは1986年。歴史という部分ではほとんど差がありません。

 

その後も各国ごとに流行の違いなどはあったとされていますが、ゲームセンターが出来たり新型のハードウェアが発売されたりと日本と同じような形式で発展。当初は輸入タイトル中心にプレイされていたようですが、次第にソフトウェア開発が盛んになったことでヨーロッパのスタジオ発の人気タイトルも数多く登場しています。

 

2020年は残念ながらオフラインでの開催は中止となってしまいましたが、フランスの「Pari Games Week」やドイツの「GamesCom」など毎年大規模なゲームの展示会が開催されていることからも、ヨーロッパで確固たる規模のゲーム市場が築かれていることが分かります。

 

アメリカと並んでeスポーツの歩みを進める

 

eスポーツ文化の走りとしてアメリカで大きな大会が開かれるようになった2000年代前半には、フランスの企業によって「Electronic Sports World Cup」という大会がスタート。世界各国の予選を勝ち上がった選手が出場する国際大会として非常に先進的であり、過去には日本からも代表選手が参加するなどプレイヤーの間では知名度の高い大会となりました。

 

時を同じくして2000年代前半にはドイツのケルンでeスポーツ大会・リーグの運営を担う企業が登場。現在は「Electronic Sports League」の頭文字を取ってESLという名称に変更され、世界中に拠点を構える大規模な企業へと成長しています。

 

このようにヨーロッパでは「ゲーム対戦=eスポーツ競技」という構図が早くから受け入れられています。ドイツではサッカーゲーム『FIFA』を使用した「ヴァーチャル・ブンデスリーガ」が人気を集めており、ヨーロッパ全体では『League of Legends』の公認リーグが展開されるなど、特定のジャンルに人気が集中しているということもないように伺えます。

 

そして最近のニュースでは2020年、23か国の団体による話し合いの下、新たに「ヨーロッパesports連合(European Esports Federation)」が設立され、ヨーロッパ全体が一丸となってeスポーツの発展と認知の向上、そして持続的な活動の推進を目指して歩みを進めています。

 

制度面ではビザの発給でドイツが一歩先に

 

このように盛んな動きを見せる欧州のeスポーツですが、中でも先進的な情報として紹介したいのは、ドイツで2020年春から開始された「eスポーツビザ」の発給です。

 

 

これまでeスポーツ選手が海外で長期間活動する際に障害となることも多かったビザの問題。短期間の滞在・活動が可能となるアスリートビザを適用するケースが主ですが、国によっては既存のプロスポーツを前提として設定された要件を満たすのが難しい場合も散見されました。

 

もちろん、ドイツのeスポーツビザにも「16歳以上」や「一定額以上の給料が発生していること」等の条件はありますが、専用カテゴリのビザが誕生したことでヨーロッパ圏外から大会やイベントに参加する人にとっては大きくハードルが下がることになりました。

 

今後はドイツ国内で国際的なeスポーツの大会を実施しやすくなり、一層eスポーツが盛り上がれば、海外から良い環境を求めて人材の流入が起こることも考えられます。国内リーグに海外からハイレベルな選手が集まれば競技シーンのレベルアップに繋がり、またドイツが名実ともにeスポーツ界の中心となっていく、そんな好循環も期待できます。

 

日本でもライセンス制度の整備などeスポーツを取り巻く環境は日々進歩を続けていますが、選手が競技に専念出来る環境作りのためには海外から学ぶこともまだまだ多そうです。

 

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