eスポーツシーンに大型ルーキー登場か

話題席巻の新作FPS『VALORANT』がサービス開始

#eスポーツ

2020年6月2日、新作FPSタイトル『VALORANT』の正式サービスが開始されました。

 

リリース以前から国内外で大きな注目を集めており、リリース後も数多くのユーザーを取り込んでいる『VALORANT』。このタイトルは、eスポーツシーンにおいても大きな存在となり得る可能性を持っています。

 

 

 

『League of Legends』のRiot Gamesが開発

 

2019年10月にそのリリースが予告されて以来、常にその動向に注目が集まってきた『VALORANT』。シリーズ作品ではない新規タイトルでありながら本作が大きな期待を集めた理由は幾つかありますが、最も重大な要因のひとつが開発・運営元であるRiot Gamesの存在です。

 

Riot Gamesはアメリカのカリフォルニアに本社を構え、世界中に17の拠点を持つグローバルなゲーム会社。世界中に絶大なユーザー数と人気を誇るMOBAタイトル『League of Legends』(以下、『LoL』)の開発・運営で知られていますが、それだけの世界的なゲーム会社によるFPSジャンルへの初挑戦タイトル『VALORANT』は、シューティングゲーム以外のジャンルのプレイヤーにも大きなインパクトを与えました。

 

 

ゲームの内容は、5人ずつの2チームがアタッカー側とディフェンダー側に分かれて戦うラウンド制のシューティング。キャラクターの操作や銃の制御、そして成績に応じて得られる資金で装備を購入していくシステムは、2012年にリリースされた『Counter-Strike:Global Offensive』(以下、『CS:GO』)という作品を彷彿とさせます。

 

競技シーンも長く愛されてきた『CS:GO』の歴史ある硬派なFPSのシステムに加え、この『VALORANT』ではエージェントと呼ばれる登場キャラクターたちが固有のスキル・アビリティを有しており、これらを巧みに使い分けることで戦況が大きく左右します。『LoL』と同じく基本無料でプレイ可能でありFPSにスキルの要素を取り入れた、まさにRiot Gamesらしいタイトルとなっています。

 

 

リリース前から話題をさらったプロモーション

 

話題を集めた理由には、特徴的なプロモーションも挙げられます。

 

正式リリースに先駆けて北米・ヨーロッパで2020年4月に開始され、その後対象地域が拡大されたクローズドベータテスト。通常であれば全てのユーザーか抽選制で選ばれたユーザーが参加できる形式が一般的ですが、当初『VALORANT』では多数の視聴者を抱えるトップストリーマーや既に他タイトルで実績を残しているプロゲーマーなど、Riot Gamesからアクセス権限を配布されたプレイヤーしか参加できませんでした。

 

しかし、一般のユーザーが全く参加出来ないのかと言えばそうではなく、アクセス権を配布されたRiot Games公認プレイヤーの配信を視聴することでアクセスキーをランダムで入手できるようになっていたため、新作に期待を寄せる多くの視聴者でベータテストの配信は賑わいました。

 

一部のユーザーしか参加できないというプレミア感もあり、ベータテスト開始後は実力と広告効果を兼ね備えたプレイヤーの配信に非常に多くの視聴者が集まり、一時は配信サイト内で「一週間の累計で約1億5,000万時間視聴される」というかつてない記録も樹立されるほど大きなムーブメントを巻き起こしました。

 

こうしてゲームへの注目度が大いに高まった頃、1ヶ月以上続いたベータテストの終了を告知すると共に、当初「2020 SUMMER」とアナウンスされていたリリース時期について「6月2日に世界中でサービスを開始するため、これを撤回いたします」と、粋なサプライズ告知によって正式リリースへと踏み切られました。

 

リリースのタイミングについてはどの程度計算されたものか定かではありませんが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、様々なことが制限される期間だったこともあり配信サイトを通じてのプロモーションは大きな効果を上げ、加えて新規のプレイヤーが「開始時点である程度ゲーム内容を理解できる」というアドバンテージも生み出すなど、画期的な施策だったと言えるでしょう。

 

 

eスポーツとしてまだまだ準備段階

 

こうした話題性の高さもあり、正式リリースはおろかクローズドベータテストの開始前から世界中でプロゲーミングチームが『VALORANT』部門を結成。前述の『CS:GO』など既存タイトルで活躍してきたプレイヤーやチームが数多く転向してきており、レベルの高い競技シーンが展開されることが予想されます。

 

既に公認大会などが始まりつつありますが、とは言えリリースから日が浅いこともあって現在は公式によるリーグ戦の開催などについては発表されておらず、数多く誕生した『VALORANT』のプロゲーミングチームがどこまで活動の場を増やせるかは未知数です。現時点では各チームのプレイヤーがゲーム内のランクマッチやチーム同士のスクリムで腕を競い合いながら、戦術について研究が重ねられている段階です。

 

もちろん世界中でeスポーツとして愛される『LoL』を運営するRiot Gamesの作品である以上、公式に競技シーンが展開されることは十分に予想可能。現時点でも厳しいチート対策に加えてゲーム開始時にはフェアプレイへの誓約を求める画面が表示されるなど、公正なゲームプレイの確立には特に力を入れていることが伺えます。

 

注意しなければいけない点として、現在日本で開催されている『LoL』の公式プロリーグである「LJL」へ参加するためには定められた以上の資本金を有していることなど、数々の厳しい参加条件が定められていることも忘れてはいけません。運営に十分な体力を持ったチームだけが参加できるというのはプレイヤーや視聴者の安心に繋がりますが、もし同様の条件が将来的に『VALORANT』の大会や公式リーグ戦が発足した段階でも設けられるとすれば、日本国内から参加できるチームというのは限られてしまうかも知れません。

 

とは言え、これだけの大型タイトルの登場は間違いなくeスポーツ界にとってポジティブな要素。昨今はバトルロワイヤル形式のシューティングが多数流行する中でラウンド制というのも、ベテランゲーマーにとっては懐かしく、新人ゲーマーにとっては新鮮に映ることでしょう。

 

基本無料というハードルの低さも、これまで国内ではあまり注目されてこなかったPCゲームというプラットフォームが一層浸透するためのきっかけにもなり得る可能性があります。大型ルーキー『VALORANT』の成長を楽しみに見届けるためにも、まずはプレイしてみることから初めてみてはいかがでしょうか。

 

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