フリーランスエンジニア特集Vol.4となる今回は、実際にフリーランスエンジニアとして活動する際の気をつけるべきポイントや必要な観点・動き方について、いくつかの視点でご紹介します。
■相場と経費への理解を深める
エージェントが仲介している案件や、クラウドソーシング系サービスの場合は、あらかじめ要件で金額が定められていますが、それ以外のルートでは自分で見積もりを出し、場合によっては価格交渉を行うことになります。これは、そもそも営業職ではないエンジニアにとっては、意外と難しい行為です。
<情報共有・相談の機会を設ける>
高く見積もると受注できないかも知れない、マイナスイメージを持たれるかも知れない、という心理や、「この値段で受けてほしい」という要望を受け入れ続けてしまうことによって、低い単価での稼働が定着してしまい、一度その金額で合意しプロジェクトに参画するとなると、金額交渉するのが難しくなります。
相場に対する正しい感覚を養うためにも、エンジニア仲間やエージェントとの情報共有・相談を行う機会を設けるとよいでしょう。
<年収の視点でも考える>
個別の案件の金額が適正であることは重要ですが、それは年収の視点において、自分が求めている水準に到達できるか、とは異なり、場合によっては複数の案件を要件と照らして、稼働時間や関わる範囲を全案件の中でマネジメントすることも必要になります。
例えば、常駐型など時間清算の案件以外の場合、自身のスキルによっては、納品までに要する稼働時間が予想より多くなってしまうこともあり、そうなると、年間を通して対応できる案件の数が減り、実質的には低い単価で稼働をしていることになってしまいます。逆に、納期を早められた、もしくは、より少ない時間で完了でき、他の仕事に当てられた、という場合もあるでしょう。
稼動単価を設定する際に、前職の年収をどれくらいもらっていたかは一つの目安になりますが、正社員時代は気にする必要のない各種経費(保険や年金、福利厚生、家賃補助、通信費、交通費、営業費など)と案件がない期間の分のリスクも踏まえると、年収の1.5〜2倍以上は売り上げ確保が必要と言われています。
そのためには、
・安い金額で受けすぎない営業力/交渉力
・自身のスキルと案件の難易度をある程度正確に予測する能力
が必要になるでしょう。
■要件とのマッチングへの理解を深める
プロジェクトにアサインはされても、継続できず、各プロジェクトを転々としているだけでは、なかなか市場価値は上がらないでしょう。フリーランスのエンジニアとして活動し続けることが出来るかどうかで重要になるのは、「求められるスキルが自分のスキルとマッチしているか」という視点です。ここがズレていることが意外に多く、よく失敗談としてあげられます。
当然ながらITスキルのマッチは前提となるのでとても重要です。よく話を聞いてみると、こういうITスキルも必要であることがプロジェクト途中でわかった、となっては困りますので、どの言語をどのレベルで習得しているか、どういったポジションでの関わり方が必要でそのポジションをこなせるスキルや実績があるか等の確認、見極めは必須で、ここで変に背伸びや見栄をはることのないようにしましょう。
ITスキルのマッチは当然ながら、その他のコミュニケーション能力/プレゼン能力/マネジメント能力も実は求められるようなケースもあります。どのような動きが求められているのか、についても把握することが、依頼主の満足度向上に繋がるでしょう。
■情報を常にキャッチアップする
上で紹介した「相場と経費に対する理解」「要件とのマッチングへの理解」を正確なものにするためにも、技術革新のスピードが早いIT・Web業界においては、会社に勤めていた時以上に、意識的に情報をキャッチアップすることは重要な業務の一つです。
方法はイベントに参加したり、知人から聞いたり、ウェブサイトを見たりと多くありますが、ここでは、フリーランスエンジニアがよく活用するイベントとウェブサイトをご紹介します。
<イベント・セミナー>
connpass:https://connpass.com/
→システム開発の会社が運営しているIT勉強会に特化したプラットフォーム。小さい規模のものから企業が主催するものまで様々なイベントが開催されている。
TECH PLAY:https://techplay.jp/
→スキルアップを目的とした勉強会やイベントを中心に、キャリアアップに関するセミナー等も行われている。Microsoft、サイバーエージェント、mercari、野村證券、富士通など大手企業もワークショップ等行っている。
<ITに関する情報を収集できるサイト>
Qiita:https://qiita.com/
→プログラマのための技術情報共有サービスで、日本最大のプログラマーコミュニティサイトである
teratail:https://teratail.com/
→エンジニア向けに、プログラミングに関する質問と回答をし合えるQ&Aサイト
StackOverFlow:https://stackoverflow.com/
→世界で一番有名なエンジニア向けのQ&Aサイト
■アピールポイントを意識する
適正な相場で、しっかりと自分のスキルにマッチした案件の受注を増やすためにも、フリーランスエンジニアは、自身を適切にアピールする必要がありますが、そのために、どのようなもの/ことが必要なのかを簡単にご紹介します。
<ポートフォリオは必須>
・履歴書
・職務経歴書
・スキルシート
採用担当者は、応募者のこれまでの実績が、募集しているプロジェクトにおいてどのポジションでどのようなアウトプットを出せるかを判断していますので、職務内容は詳細に、わかりやすく書く必要があります。
過去の実績を書く際は、なるべくクライアント名を出せると、具体性が強まり有利です。その中でもやはり大手企業の案件実績は有利になるケースが多いようです。
正しく詳細に自身を説明することは、スキルのミスマッチを防ぐことにもつながります。
<資格を取る>
IT業界は資格よりも実績が重要視される傾向がありますが、資格も立派な指標であることは間違いありません。
国家資格である、「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」などは基礎知識を身に着けていることがアピールできますが、ITストラテジスト、システム監査技術者、ORACLEMASTERPlatinum(プラチナ)、シスコ技術者認定資格など、業務ごとに特化した資格も持っている方が尚良いでしょう。
<面接への意識>
クラウドソーシングや面識がある発注者からの案件など、面接が無いケースもありますが、長期のプロジェクトや常駐型の案件では面接での選考が基本となります。
実績や資格が合否に大きな影響を与えることはもちろんですが、最終判断はやはり人としてどうか、というところも影響してきます。
いくら実績が輝かしくても、資格を大量に保有していても、コミュニケーションが取りづらかったり、不愛想だったりすると、避けられてしまうケースがあります。
客観的に自分を見つめ直し、魅力的な自分を出せるように、面接対策はしっかりとっておくことが大事です。
■まとめ
フリーランスエンジニアは自立していて自由度もある反面、陥りがちな失敗もあり、会社員とは異なるケアが必要になります。自身の言動やパフォーマンスが直接評価に影響することを常に念頭に置き、依頼主との信頼関係を良好な形で築くことが大切です。
気をつけるポイントを押さえながら視野を広げ、意欲的に活動することで、思い描く理想の働き方を実現できることでしょう。