前回Vol.1では、エンジニアがフリーランスになるとはどういうことなのか、企業に雇用されるエンジニア(以下、「会社員エンジニア」)とフリーランスエンジニアの違いについて紹介しました。
Vol.2では、フリーランスエンジニアとして仕事をする上で、どのようなスキルが求められるのかを特集します。
自身の力で案件を受注するフリーランスには、もちろん「営業力」や「交渉力」も必要ですが、「どのようなスキルを持っているか」が最も重要であると言えるでしょう。IT人材市場において需要のあるスキルとはどのようなものなのか、いくつかの視点でご紹介します。
参画可能な案件が多くあるタイプのスキル
世の中に存在する開発案件の中で、多くの比率を占める要件であることは、純粋に需要がある定番のスキルであると言えるでしょう。
2020年現在、開発案件として需要の多い言語は、
・Java
・PHP
・Ruby
・C#
・C++
・JavaScript
・Python
というラインナップになっています。
(参考:エンジニアルーム、レバテック、Midworksウェブサイトより、求人の多い言語を抽出)
これらの言語について、開発実績が3年以上あれば、引き合いも多いでしょう。ただし、案件が多いということはイコール「要件を満たす人材も多い」ということですので、どうしても高単価案件にはなりづらい、という側面もあります。
また、インターネットで検索すると「人気のプログラミング言語」を紹介するページが見受けられますが、エンジニアに人気の言語が、必ずしも案件として多いとは言えませんので、どの言語に需要があるのか、の見極めは必要です。
当てはまる人材が少ない『レアスキル・レアキャラ』
案件として少ない開発要件であっても、需要が低いということにはなりません。そのスキルを持つ人材が貴重である場合には、いわゆる『レアスキル』として引き合いも強く、さらに高単価となる場合が多いようです。また、プログラム言語や開発経験についてだけでなく、ある特殊な業界の知識が豊富だったり、日英以外の言葉でのコミュニケーションが可能だったりといった『レアキャラ』であることもIT業界で強い個性となります。
会社員エンジニアとして働く範囲では『レアスキル・レアキャラ』を発揮するタイミングが難しい場合もありますが、フリーランスの場合は逆に大きな強みになることが多いでしょう。企業側もそのような人材が貴重であり、かつ案件にマッチした人材をアサインするのが大変という事情があるため、一度契約すると特に勤怠やスキルに問題がない限りは、契約の延長がされやすい、というメリットもあります。
いかに「強みとなる特性を持っているか」はフリーランスエンジニアとして重要なポイントになるでしょう。
ただし、案件自体は少ないため、クラウドソーシング系のサービスをこまめにチェックしたり、案件とのマッチングの可能性が高いエージェントを見極めるなど、案件探しの工夫や手間は必要となります。
『レアスキル・レアキャラ』の一例をご紹介します。
<金融系システムや物流系システム等、業界知識が必須でかつ開発や設計、要件定義の経験が5年以上ある>
業界構造や、その業界ならではのお作法や注意点など、ある業界に特化した知識、スキルを持っていることは強みとなります。
<主に東南アジア系の言語ができて、設計から開発、レビューやドキュメント作成能力がある方、かつ現地スタッフのディレクションも出来る>
案件によっては、日本以外のエンジニアとの連携、統括が求められるケースがあり、そのようなポジションを『ブリッジSE』と呼びますが、近年、東南アジアに対するブリッジSEの需要が高まっているため、現地の言語が話せる人材は貴重な存在となります。さらに、現地スタッフ、現地チームもまとめあげられる能力の持ち主である場合はより引き合いが強いでしょう。
<COBOL言語を使用したシステム開発・改修が出来る>
COBOLは60年程前に開発された古いプログラミング言語です。それ故、進歩の早いIT業界では化石の様な言語だと考えられることが多く、最近ではあまり案件としても多くはありませんが、昔からあるシステムや金融系システムではまだまだ使われていることもあり、対応できるエンジニアが少なくなってきているため、相対的に需要が高まっています。
トレンド技術・最新技術に関わるスキル
世の中で注目を浴びるトレンドの技術や新しい技術は、単純にまだ対応できる人材が少ない状況のため、求められるケースが多く、今後その分野が社会的に伸びていけば、「参画可能な案件が多くあるタイプのスキル」へと変化し安定的な案件受注につながる可能性もあります。
ただし、トレンド技術だけに目を向けることはデメリットもあるため注意が必要です。流れの速いIT業界では、その技術が廃れてしまう/思ったより盛り上がらなかった/そのスキルを持っている人が増えて強みではなくなってしまう、などの可能性にも目を向ける必要があります。
<AIを活用した機械学習を使った業務経験があり、設計段階から参画できる>
AIの知識がある方はある一定数いますが、業務として経験があり、かつ上流工程から携わった経験のある方はそう多くはいない状況です。
<ブロックチェーン技術を用いたサービス開発ができる>
仮想通貨取引の開発や運用案件でよく目にする要件です。ブロックチェーンと言えば仮想通貨のイメージを持たれることが多いですが、実は通信やソーシャルゲームをはじめ各種Webサービスでの活用もされてきており、需要としては高まりつつあります。
<Go言語を活用したシステム開発ができる>
Go言語は、IT業界の巨人googleによって開発が進められており、今注目の言語のひとつと言えます。今動いているシステムをGo言語でリプレイスしたりするケースも少しずつ出てきているようです。
案件としては、IoT分野、ビッグデータ関連、ソーシャルゲーム、SNSサービス開発、SaaSシステムなど、最近の流行り分野で用いられ始めています。
<OCR関連の知識があり、実務経験がある>
画像認証や文字認識技術は日々向上しており、各サービスへの導入も進んできているなか、需要が高まりつつあります。
<Pythonを使ったシステム開発経験がある>
機械学習や人工知能関連で最適とされているPythonの需要はここ1~2年増加傾向にあります。今後も伸びていく分野であるのは間違いないと思われるため、需要も増えていくことが予想されます。
<GCPでFireBaseを使ったWebアプリケーションをゼロから立ち上げた経験がある>
FireBaseなどの比較的最近の技術で、ゼロからのサービス立ち上げ経験がある方は貴重です。
特定の分野にて、企画から運用面までを幅広く対応できるスペシャリスト
プログラミング言語に関連するスキルとは毛色が変わりますが、ある特定の分野にて、開発や設計の一部分ではなく、上流の要件定義や全体設計が出来るスペシャリストは需要が高くなります。事業戦略を正確に把握し、プロジェクトの目的や達成すべき数値に対してどのような開発アプローチを行うのか、時にはマーケティングの視点も持ち、コントロールできるスキルは、非常にレベルの高い価値のある人材として重宝されるでしょう。
例)
・データベース関連のスペシャリスト
・クラウドプラットフォームのスペシャリスト
・VMwareに関するスペシャリスト
・サイバーセキュリティに関するスペシャリスト
まとめ
フリーランスである以上、自身の市場価値がどこにあるのかは、常に気にする必要があるポイントです。どのように働きたいか、どのような案件に携わりたいか、ということと自身の持っているスキルとを冷静に分析することで、エンジニアとしてより豊かな人生を目指すことができるでしょう。
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