eスポーツ観戦における魅力的なタイトルの共通点とは?

#eスポーツ

海外で大きなムーブメントとなり、近年では日本国内でも注目度の高まるeスポーツ。

 

一時は「後進国」と評されることの多かった日本のeスポーツ事情ですが、近年はプロリーグの発足やプロライセンス制度の施行など環境の整備が進み、定着の兆しを見せています。

 

今では世界的に人気の高いPCゲームやコンシューマ機専用のタイトル、あるいはスマートフォンゲームなど、非常に多数のゲームタイトルがeスポーツシーンを彩っています。電子ゲームという文化においては長い歴史を誇っている日本ですから、ひとたびブームが到来すればこれだけの盛り上がりを見せるのも当然と言えるかもしれません。

 

これまでのゲームにおけるタイトル別での人気を計る指標としては、総売上本数やアクティブユーザー数という数字が一般的です。しかし、eスポーツにおいては「普段からゲームをプレイしていない」というファン層も生まれており、プレイヤーがゲームプレイで感じる魅力以外の要素も重要になってきているのではないでしょうか。

 

今回は、eスポーツを観戦するひとにとって「観やすさ」を感じる要素について分析してみたいと思います。

 

 

①ルールと画面の簡潔さ

「観やすさ」に重要なポイントのひとつがルールへの理解です。どんな競技でも、ルールと「どちらかが勝っているのか」という情報は観戦を楽しむ上で必須といえる要素で、eスポーツも例外ではありません。

 

そうした課題が自然と解決されている代表的な例がスポーツゲームです。現実のスポーツにルールやスコアの動き方が準拠しているため、モデルとなる競技に詳しければゲームに関する予備知識がなくとも、容易に状況を把握することが可能です。

 

一方、架空の競技をモデルとしている中で「観やすさ」が優れているジャンルとしては、格闘ゲームやパズルゲームが挙げられます。一般的に格闘ゲームでは、対戦画面の上部にキャラクターの体力がゲージ形式で表示されており、相手の体力ゲージを減らし切ることが勝利条件として共通しています。パズルゲームの『ぷよぷよ』では「自分のフィールドが埋まったら負け」という条件が明白で、少しでも観れば分かりやすいのが特徴です。

 

これは「画面の簡潔さ」として言い換えることもでき、ここで挙げたジャンルでは一つの画面上で両プレイヤーが対戦するため、簡潔かつ分かりやすい展開を可能にしています。

 

対して、MOBAやシューティングなど多人数同時対戦を基礎とするゲームジャンルでは、スコアやマップが常には表示されない設定が多くなっています。これは画面上に視認できるスペースを広く取るためであり、ユーザーにとって使いやすい設定ではありますが、これが結果的に初心者が状況を把握しづらくなっていると考えられます。この問題の解決策として、競技シーン用に観戦モードや俯瞰カメラを実装するなどの工夫も取り入れられています。

 

 

② 逆転を生む戦術性

格闘ゲームやパズルゲームは、共に対戦画面で常に両者の状況が把握できるので「一目でどちらが有利か分かる」という特徴を持っています。ここでポイントとなるのは「観る側が感じる有利不利は、決してプレイヤーが感じている有利不利と必ずしもイコールでなくても良い」という点です。

 

格闘ゲームであればダメージを受けることで強力な技を使用できるなど、体力ゲージが残り少ないプレイヤーが不利な状況から大技を狙える仕組みがよく採用されます。これは対戦での駆け引きにおいて重要なゲーム性ですが、観る側にとっても現状リードを許しているサイドに逆転の要素が残されていると感じさせることが可能です。

 

また、『ぷよぷよ』シリーズの殆どの作品では「相手より後に大きな連鎖を打つ」という戦術がベーシックになっています。これは相手の連鎖アニメーションが終わるまで自分が攻撃を受けないという仕組みを利用し、より長い時間をかけて大きな連鎖で反撃を狙うという、ゲームの仕様から生まれた技術です。

 

これらはどちらも対戦者にも魅力ある駆け引き要素ですが、このゲーム性が活かされて逆転による決着が発生すれば、仮に当事者からすれば予想可能な展開であっても視聴者には逆転劇に映り、エキサイティングに感じるケースもあるのではないでしょうか。

 

もちろん実力差がある場合にワンサイドゲームになることは競技として当然の結果でありますが、実力が拮抗した場合に「逆転・接戦を生みやすいゲーム性・戦術性」も魅力のひとつです。

 

③ 表現・演出の大衆性

ゲームには娯楽として発展してきたという大前提があり、爽快感あるプレイのために派手な演出や過激なエフェクトが盛り込まれたタイトルが多くなっています。映像技術の進化によって非常にリアルなグラフィック演出が可能になったことも、その傾向に拍車をかけていると言えるでしょう。

 

ユーザーにとってゲームの作り込みが深まることは嬉しい要素ですが、射撃描写のあるシューティングゲームは18歳以上対象のタイトルも多く、観戦のしやすさという点では家族連れや過激な描写を好まない方に避けられてしまうことが考えられます。また、誰の目にも触れるイベントでは対象年齢が高いタイトルは採用されづらいのが現実です。

 

ただ、そうしたシューティングの要素を取り入れたタイトルでありながら幅広い世代に人気を得ているのが『スプラトゥーン』シリーズです。同作では相手を射撃するというゲーム性は変わりませんが、「イカを模したキャラクターが水鉄砲でインクをぶつけて塗りあう」という表現によって、全年齢対象のタイトルとして愛されています。

 

もちろん、ゲーム内の演出・表現は自由であり、eスポーツとしての観やすさとは別に守られるべきものです。近年は、対象年齢が高いタイトルでも観戦モードやeスポーツモードとして競技用に演出を制限できる機能が盛り込まれるなど、両立のための施策も見受けられるようになっています。

 

④ 観戦時間と設備の手軽さ

ゲーム対戦の長期化は、プレイヤーだけでなく視聴者にも負担がかかります。特にオフラインでのイベントで複数の試合を観戦する場合は長時間に渡って立ちっぱなし、あるいは座りっぱなしになることも珍しくなく、途中で休憩時間を設けるとイベントそのものが長時間化してしまうデメリットも発生します。

 

ゲームユーザーの間では盛んにプレイされているバトルロワイヤル系シューティングゲームですが、勝者の決定までにかなりの時間を要するため、長時間の視聴には負担を感じる方も多いでしょう。また、競技を実施するにあたっては多数の出場者を同時に会場に集めるか、あるいはオンライン上で待機させる必要があるというのもハードルが高いと言えます。

 

スポーツ界においても試合のスピードアップは課題とされており、どんな競技でも一種の壁となっている競技時間の問題ですが、ゲームならでは工夫も見られます。

 

サッカーゲーム『ウイニングイレブン』では公式に1試合あたり10分の設定がスタンダードとなっており、野球ゲーム『実況パワフルプロ野球』でも、プロリーグでは9イニング制ではなく5~6イニング制での対戦とすることで短期決着を実現しています。設備の面でも、ハイエンドなPCが不要であり、コンシューマ機やスマートフォンで対戦が可能であることも、主催者サイドからすると魅力と言えるでしょう。

 

ここまで紹介してきたように、eスポーツには単なるゲームの面白さだけでなく「観戦」というポイントでも配慮や工夫が求められるようになってきています。ただし、全てが均一なゲームになれば多様性の喪失にも繋がります。eスポーツでは、ゲームそのものやプレイヤーの魅力がそれらを凌駕して人気を獲得することも少なくありません。

 

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