専門学校に見るeスポーツを支える人材育成とは?

eスポーツが注目を集める昨今、eスポ―ツに向けたコースを開設している専門学校が登場しています。なかにはeスポーツ学科やeスポーツ専攻などと、学科名・専攻名に“eスポーツ”とはっきり謳っている学校も現れてきましたが、学生たちは一体どのような職業を目指し、何を学びに行くのでしょうか。eスポーツ学科には、大きく分けてプロプレイヤー育成とeスポーツにまつわる職業の育成があります。今回はその後者にスポットを当て、ゲームクリエイター育成の歴史が長く、いち早く3年前からゲームビジネスコースを開設した日本工学院専門学校(以下、日本工学院)の佐野雅博先生に、専門学校におけるeスポーツ教育についてお話をお伺いしました。

 

 

-まず日本工学院がeスポーツ教育を始めるに至った経緯をお聞かせください

佐野雅博氏(以下、佐野先生):日本工学院では、3年前、ゲームクリエイター科にゲームビジネスコースを開設しました。eスポーツを始め、様々な周辺ビジネスが発展してきたので、開発職育成のみにとどまらず、様々なゲームビジネスに対応したコースを作ろうというところから始まりました。このコースは、ゲームをビジネスとして成立させる人材の育成を主目的としています。全国にeスポーツ関連のイベントが広がった近年の実状を踏まえ、ゲームの開発・運用だけではなく、eスポーツ大会にまつわる職業の需要が期待できるため、eスポーツ大会の企画、運営、プロモーション、そして、eスポーツの世界でプロとなって活躍するプロプレイヤーが如何にeスポーツの周辺ビジネスで活躍できるかをも考慮したカリキュラムとしています。今まではゲームに関連する仕事に就きたいと思った場合、作る立場か売る立場になるしか選択肢がなかったのですが、いろいろな入り口を設けることができました。

 

また、このコースを立ち上げる準備段階で、プレイヤーの育成がどのようなものかと研究し、気付いたことがあります。日本工学院には八王子にスポーツカレッジがあり、スポーツ選手の育成や選手を支える人材の教育をしているのですが、知れば知るほど、eスポーツに関する教育内容がそちらに近いということがわかったのです。今後、スポーツカレッジにeスポーツ学科やコースを作ることも視野に入れ検討しています。

 

 

-スポーツもeスポーツも同じように大会やイベントを開催してプレイを競い、主催者は大会を企画しプロモーションするという点では全く同じビジネスモデルなのですね。eスポーツと関わりの深いゲームビジネスコースで学生はどのようなことを学ぶのでしょうか?

佐野先生:ビジネスコースの生徒は各コースをひと通り学び、その中で、自分に合った進路を見つけていきます。eスポーツに関連する専攻をいくつか紹介します。

 

・ゲーム実況専攻  

eスポーツの大会でその戦いの舞台を実況するテクニックを学ぶカリキュラムです。また、プロプレイヤーがYouTubeなどで配信する動画の編集方法や配信技術などもここで習得します。

 

・ゲームプレイヤー専攻

最先端のデバイスを揃えた施設を備え、一線で活躍するプロプレイヤーを講師に招き、プレイの技術、戦術のみならず、日本におけるeスポーツプロプレイヤーの現状を踏まえ、その周辺ビジネスでの活路などもレクチャーしています。

 

・ゲームライター専攻

新聞や雑誌の記事や広告関連の媒体など、eスポーツを文字で支える人材を育成します。ゲームやeスポーツに関する知識のみならず、専門的な内容を伝えるための表現などを習得します。

 

・ゲームマーケティング専攻

eスポーツビジネスに関わる様々な教養を身につけます。eスポーツ大会を主催する側の人材として、企画からプロデュース、ディレクション、プロモーション、マーケティングなど幅広く学びます。

 

 

また、イベント運営の授業では、実習として学園祭でeスポーツ大会を開催しました。「レインボーシックス シージ」というタイトルで、プロプレイヤーをアサインし、企画から運営、会場設営、プロモーター業までやり、学生たちが自分たちでeスポーツ大会を作り上げました。開催場所が学校であっただけで、学外で開催したとしてもユーザーの皆さんにお楽しみいただけるイベントになっていたと思います。

 

 

学外の実習では様々なゲームタイトルのeスポーツ大会をスタッフとしてお手伝いしています。生徒は学内・学外を問わず、イベント企画・運営を経験することで、それが自信に繋がります。また、学校が学生に生きた情報を提供するということは大切だと考えており、ゲームビジネスに関する講師陣の多くは、eスポーツにゆかりのあるイベント運営会社やゲームメーカーから招聘しています。

 

–学生はこれからのeスポーツ界を牽引すべく、ノウハウを学校で学び、実習では直接アドバイスを受けることで、eスポーツの周辺ビジネスに対し、より具体的なイメージを持つことができるのですね。eスポーツが盛り上がりを見せる近年ですが、生徒の応募数に影響はあるのでしょうか?

佐野先生: 3年ほど前からゲームクリエイター科の生徒数が急激に増加しています。同科のビジネスコースを選択する生徒はまだ少ないものの、初年度は11名でしたが、その翌年には21名となっています。eスポーツの発展との関係性は明確ではありませんが、eスポーツが盛り上がればそれを支える仕事も増えますので、プレイヤーだけではなく、そういった周辺ビジネスにも注目して人材を育成できればと考えています。

 

-志向の違いこそあれ、ゲーム業界の変遷に合わせて就職進路のニーズも変化しているということでしょうか。学生たちの活躍に期待が寄せられますが、どのような人材を育てたいですか?

佐野先生:eスポーツビジネスのみならず、ゲーム業界の様々な場で活躍できる人材の育成に取り組んでいければと思っています。eスポーツビジネスの動きを慎重に観察しながら、その中で仕事として成り立っているもの見つけ、教育に取り入れられるかを見極めています。ゲームビジネスコースからはまだ卒業生を出していませんが、彼らが将来活躍することを期待しています。

 

教育がeスポーツに興味を持った熱量の高い若い世代たちをサポートし、サポートを受けた若い世代が仕事としてeスポーツ関連の仕事に携わることで、世間にeスポーツを一般化させることを後押ししてくれると感じました。ありがとうございました!

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