“穴あき”がトレンド化!

軽量・高性能が追求されるゲーミングマウスと周辺デバイスの進化

#eスポーツ

デスクワークからゲームを遊ぶ時まで、PCで細かな操作を行うためには「マウス」が欠かせません。

 

誰にとってもなじみ深いマウスですが、eスポーツの世界では操作の精密さを最も左右するデバイスとして重要視され、研究開発がかなり進んでいるジャンルでもあります。

 

 

今回は機能や形状、そして素材まで多彩に進化するゲーミングマウスとその周辺環境について紹介します。

 

センサーの高性能化が進み精密な操作を認識

 

マウスは操作を認識する仕組みで大別が可能で、少し変わった方式では上面に設置されたボールをくるくると回して操作する「トラックボール」はマウス本体を動かさずに操作できる特徴を持っており、印象に残っている方も多いのではないでしょうか。

 

かつては底面にボールが取り付けられた「機械式マウス」が数多く使用されていましたが、今ではLEDセンサーを搭載した「光学式マウス」タイプや、レーザーによって動きを読み取る「レーザー式」がゲーム用途に限らず完全に主流となっています。

 

光学式センサーやレーザーセンサーは素早く細かく動かしても精密に動きをトラッキングできる高性能さを誇っており、そのセンサーで読み取った情報を転送する技術も進化しています。

 

「1秒間にどれだけマウスの操作が接続先へと送信されるか」を示す「ポーリングレート」は事務用品のマウスなら100hz程度でも十分な性能と言えますが、最新のゲーミングマウスでは8000hzというポーリングレートを備えた製品も登場しており、より操作を正確に表現できるとして注目を集めています。

 

 

そしてマウスの操作に関連しては「DPI」も重要な要素です。DPIは「dot per inch」の略であり、「マウスを1インチ動かしたときに画面のドットがどれだけ動くか」を示した数値です。DPIが高くなるほどマウスカーソルを1ドット動かすために必要なマウスの移動距離が小さくなるため、僅かな操作で大きな操作が可能になっていきます。

 

DPIは高すぎると意図していない動きまで検知してしまったり素早く動かしたときにセンサーが上手く読み取れなかったりと、とにかく高ければ良いものではない点は注意が必要です。多くのプレイヤーは400~1600DPI程度でゲームをプレイしていますが、ゲーミングマウスも細かくDPIを切り替え・設定可能にしているケースが多く、中には30000DPIまで設定できるマウスも登場しています。

 

マウスはゲームにおいてキャラクターの視点やポインターなどを操作するための役割を担うことが多くなっていますが、このDPIとゲーム内設定を上手く調節することでプレイヤーは“自分に合ったマウス感度”を探しており、センサーなどが高性能化していくことで、より感覚的で精密な操作が可能になりつつあります。

 

感覚にフィットするデバイスを求めてカスタマイズも流行

 

センサーの進化によって操作を読み取る正確さが上がっていると同時に、マウスを思い通りに操作しやすくするための工夫もさまざまに行われています。

 

マウスは手で握るようにして直接操作するデバイスのため、僅かな形状の違いでも操作感への影響が強く、一般的な卵型だけでなく左右非対称のエルゴノミクスデザインも人気です。マウスの持ち方も手のひらを完全にマウスにつける「かぶせ持ち」から、ほとんど指先しか触れない「つまみ持ち」までさまざまなため、背面部の“高さ”もフィット感に違いを生み出す要素になっています。

 

中には指を引っかけるためのパーツを増設したりグリップ力を高めるテープを貼り付けたりと自分で好みの操作感を求めてカスタマイズを行う人も存在しており、個人の感覚に依存する部分が大きいため絶対的な正解と言える形状がないのもマウス選びの面白さであり難しさであると言えるでしょう。

 

そして近年のゲーミングマウスにおいては動かしやすさと長時間のゲームプレイへの負担の少なさから軽量志向が高まっているのも特徴です。メーカーは各部に軽量な素材を採用するなど工夫を凝らしており、中には背面部を網目のような穴あき形状にすることで軽量化を図っているマウスも登場するなど、50g以下にまで落とし込んだ製品も見られるようになっています。

 

操作感を高めるこだわりはマウスの底面でマウスパッドに接する「マウスソール」部分にまで及んでおり、さまざまな形状や素材のマウスソールが使用されています。こだわりに合わせて新品の状態から張り替えるケースはもちろん、使い込んでいくにつれて僅かに摩耗していってしまう素材のソールを張り替えてメンテナンスすることも可能になっています。

 

これだけマウスにこだわる環境になれば当然ながらマウスパッドもバリエーション豊かな開発が進んでおり、一般的にイメージされる底面がラバーで表面がプラスチック素材のものだけでなく、柔軟性が高くしっかりと“止める”動作がしやすい布素材のもの、そして滑りがよく劣化に強いガラス製のものまで登場しています。

 

マウスやマウスパッドは新しいものに変えるだけで劇的にパフォーマンスに影響が出る選手もいるほど繊細かつ感覚的な部分であり、それだけに幅広い設定に対応出来るモデルや個人でのカスタマイズが当たり前になりつつあると言えます。

 

高性能な製品はもちろんゲームなど細かな操作が求められる部分でその能力を発揮しますが、持ちやすさや滑りやすさ、耐久性は普段使いでも恩恵が受けられる部分であり、ゲーミングマウスをデスクワークのために使用する人も珍しくありません。ゲームをプレイする人もそうでない人も、新たな素材や機能を用いたマウスを試してみると自分にピッタリなものが見つかることがあるかもしれません。

 

掲載日:2025年1月21日

関連する記事