人間の限界を超える製品も?

滑らかな映像の指標となる「fps」とは

#eスポーツ

皆さんはゲームをプレイする際に「fps」を意識していますか?

 

「fps」と言っても一人称視点で進行するシューティングゲームジャンルを表す「First-person shooter」の略ではありません。1秒あたりにどれだけ細かく映像が描写されているかを示す「frames per second」の略で、この数字が高いほど映像が滑らかに感じられる指標のことです。

 

今回はゲームプレイ時のパフォーマンスにも影響を与える、映像にまつわる数字について解説いたします。

 

fpsとフレームレート・リフレッシュレート

 

冒頭でも紹介したように「1秒間に何枚の映像が描画されるか」を示す単位がfpsであり、これを「フレームレート」と呼びます。フレームレートが60fpsなら1/60秒に1枚ずつ映像が切り替わり、120fpsなら1/120秒に1枚の頻度になり、比較すると後者の方が細かく映像が描写されるので滑らかに感じられる訳です。

 

関連する言葉に「リフレッシュレート」というものがありますが、これはモニターやテレビなど映像を表示する機器が「1秒間に何枚の映像を表示できるか」を示すもので、こちらの単位は「Hz(ヘルツ)」で表されます。

 

このフレームレートとリフレッシュレートは密接な関係にあり、どちらか一方だけが高性能でも意味がありません。例えばゲーム側が120fpsの映像を出力していてもモニターが60hzまでしか対応していなければ60fpsの映像しか表示されず、その逆もまた同様です。

 

 

ゲームの場合、フレームレートは設定によって変更も可能ですが、何より出力する機器の性能によって、その数値は大きく変化します。1秒あたりに出力する枚数を増やせば負荷も大きく、画質を落としたり画面効果を切ったりして全体の負荷を軽減させることでfpsを高める工夫も一般的になりつつあります。

 

安定した映像出力のため、出力するフレームレートをディスプレイやモニターのリフレッシュレートに揃える「垂直同期」機能を備えたタイトルも増えています。これを60hzのモニターで使用すれば、ゲーム側にそれ以上のfpsで出力できる性能がある場合でも、自動的に60fpsでの出力になり、過剰な情報が出力され、処理しきれなくなることでの乱れを防げます。しかしこの垂直同期も万能ではなく、ゲーム側が一時的に基準に満たない出力に落ち込んでしまうと、かえって映像が遅延するなどの乱れを招いてしまいます。

 

このように、映像出力と表示は繊細な関係性にあり、僅かな映像の乱れや遅延が勝敗を左右するeスポーツにおいては、滑らかさと安定性を両立できる最適な設定が模索されています。ゲーム内はもちろん、モニターも「120Hz対応だが、60Hzまでしか表示しない設定」になっているようなケースもあり、しっかり設定を確認しなければいけません。

 

高ければ高いほど良い、とは言い切れない

 

近年はゲーミングPCやモニターの高性能化も進んでおり、中には360Hzという驚きの数値にまで対応した製品も登場しています。ただ、人間の眼が違いを認識できる限界は240fps程度という研究結果もあり、そこまでの高性能はややオーバースペックになっているとも考えられます。

 

ゲーム内容自体もそこまでの高性能に対応しているタイトルは少なく、むしろ低いfpsを基準に作られている作品も多くあります。例えば、格闘ゲームでは操作するキャラクターの行動の長さを「フレーム」で表しており、「このパンチは入力してから3フレームで発動し、ガードされなかったら2フレーム有利だ」のような表現をします。

 

fpsが機器やゲームによって変化する数値なら「1フレーム」の長さもそれに応じて変化するのでは、と疑問を感じる方も多いかも知れませんが、ここで言われる1フレームは1/60秒を表しています。これは高フレームレート出力が可能になる以前、殆どの家庭用ゲーム機やアーケードゲーム筐体の映像出力が60fpsである時代が長く続き、その影響で「1フレーム」が「1/60秒」を意味する用語として定着しているからなのです。当時はここまで映像技術が発達するとは予想できなかったのかも知れません。

 

現在も格闘ゲームでは「1フレーム」は1/60秒、つまり約0.017秒であり、ゲーム内の時間で操作が反映されるのも0.017秒ずつで、これは映像が60fpsあればパフォーマンスとして不足がないことも意味します。格闘ゲームでは高fps出力よりも、常に60fpsを出し続けられる安定した設定が求められると言えるでしょう。

 

対して高fpsが特にメリットとされるジャンルとしては、シューティングゲームが代表に挙げられます。滑らかな映像であるほど動いている相手を視認しやすくなり、必然的に攻撃を命中させやすくなると考えられるからです。

 

▲フレームレートが低いと同じ動きでも途中のコマが描写されず、目で追いかけづらい

 

また、ゲーム映像の見やすさでは「映像信号がモニターに到達してから画面の映像が変化するまでどれくらいかかるか」を示す「応答速度」も重要と考えられます。この速度が遅いと、映像自体は細かく描写されていてもモニター上では残像が強く感じられるとされ、ゲーム用のモニターでは重要視されている部分です。

 

他にも映像の見え方については、眼とモニターの角度や距離、液晶パネルの素材など、非常に様々な要素で変化するものですが、その感じ方については個人差があります。特にゲームにおいては「綺麗に見える=上手くプレイできる」と直結する訳ではなく、今回紹介したfpsについても、あまりにも低いとプレイに支障をきたすものですが、高ければ高いほど良いとは言い切れません。

 

目安についても難しく、60fpsと120fpsでは違いをはっきり感じるという意見も多く聞かれますが、YouTubeやTwitchなどの動画配信サイトは60fpsが最大ですが、普段視聴していて「カクカクした映像だな」と感じることは多くないと思われます。自分のプレイするタイトルや持っているゲーム機などに合わせて、ちょうどいい機器や設定選びを考えてみるといいでしょう。

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