東京タワーのeスポーツ施設から最新の“eサウナ”まで~エンタメの熱を上げ、入り口となる存在に~

「東京eスポーツゲート株式会社」取締役 秋山大氏インタビュー

#eスポーツ

近年数多く誕生しているeスポーツを題材とした施設。中でも今年4月に東京タワーフットタウン内にオープンした「RED° TOKYO TOWER」はそのロケーションや規模の大きさが話題となり、数々のメディアで紹介されるほど大きな反響を呼びました。

 

この施設を手掛けているのが「東京eスポーツゲート株式会社」です。同社は東京タワーの施設に留まらず、上野に最新設備を備えたサウナ施設「RED° E-SAUNA UENO」をオープンし、更なる話題を呼びました。

 

(画像提供 ©RED゜E-SAUNA UENO)

 

新たな切り口で日本のeスポーツ界に話題を巻き起こす東京eスポーツゲートとは一体どのような企業なのか。今回は取締役の秋山大(あきやま だい)氏にインタビューでお話を伺いました。

 

──本日はよろしくお願いいたします。まずは秋山さんの経歴からお教えいただけますか。

 

秋山大 氏(以下、秋山) 私はデジタルビジネス畑で仕事をしてきた人間で、メーカーのITビジネス部門でのビジネス開発や、コンサルティングファームでデジタル技術やアナリティクスを活用したプロジェクトに携わっておりました。

 

そこからスタートアップに参画したり、コンサルティング支援を行ったりする中で「東京eスポーツゲート」のプロジェクトにお声がけいただき、現在は取締役として事業を推進しております。

 

──東京eスポーツゲートとは、どのような会社なのでしょうか。

 

秋山 東京eスポーツゲートはスタートアップで、2020年に新しく立ち上げたばかりの、これから成長を目指していく企業です。昨年の4月には初めて新入社員が入ってきまして、今の社員は50数名です。

 

「RED° TOKYO TOWER」という4月にグランドオープンした施設が事業の中心ではありますが、リアルだけではなく場所に制限されずに楽しめるデジタルの世界も事業領域になります。eスポーツだけでなく、音楽や飲食など幅広いエンタメと組み合わせたアトラクションやイベントなどの“コトづくり”を通して「エンタメの熱を上げていく」ことを目指して、事業を展開しております。

 

──「RED° TOKYO TOWER」は東京タワー内に誕生したeスポーツ施設として大きな反響があったのではないでしょうか。

 

秋山 そうですね。あれだけの規模の施設はやりたいと思ってもなかなか難しいんですが、それも東京タワーという象徴的な施設内で実現できたのはご縁があったからです。

 

──施設概要を見てもVRやARなど体験型のコンテンツが多い施設だと思いますが、どのような狙いによるものなのでしょうか。

 

秋山 ゲームやeスポーツはZ世代に人気のコンテンツであり、人気IPとのコラボによって新たな楽しみも生み出しやすいという特色があります。その一方で「ゲーミングPCがないと遊べない」という敷居の高いイメージも持たれているように感じていました。それがなくても楽しめて、カップルやファミリーでフラッと来ても楽しめる施設としてデザインされています。

 

──プロ選手の活躍している高度な対戦競技としてのeスポーツではなく、デジタルなコンテンツを活用したよりカジュアルで広義的なeスポーツにスポットを当てている施設なんですね。

 

秋山 競技に主眼を置いた意味でのeスポーツは、国内ではまだお金の循環がしづらい状況になっていて、まだまだ海外に遅れている部分が多くあります。そんな現状に対してゲームのユーザー自体は非常に多く、実況者のファンだったり、キャラやIPのファンだったり、友達と遊ぶのが好きだったりと幅広い楽しみ方があります。

 

リアルな施設を展開するのであればユーザー層をより広げていく為に、eスポーツとその他のエンタメを組み合わせ、より多くの人がここを接点として新しい楽しみ方へと入って頂ける場所を目指しています。

 

──「東京eスポーツゲート」という社名にもそのような意図が込められているのでしょうか。

 

秋山 そうですね。取り扱う事業も最初から変化してはいるのですが、エンタメへと入っていくきっかけになれば、というのは「ゲート」の部分に込められています。色んなエンタメを扱いますが、「東京エンタメゲート」ではなにを扱っているのか分かりづらくなってしまうので「eスポーツ」という軸をはっきりさせています。

 

ネーミングの話題では、我々の展開するブランド名は「RED°」となっています。東京タワーが赤いという理由もありますが、赤は熱量を表す色でもあります。我々の体現する新しいエンタメを、より熱量をもって楽しんでいただきたい。そんな気持ちの温度をブランドロゴに込めて表現しています。

 

──そんな「RED°」ブランドの新しい事業がサウナというのも驚きました。この「RED゜E-SAUNA UENO」はどのような経緯で誕生したのでしょうか。

 

秋山 社内で「eスポーツだけじゃなくて色んなエンタメ要素を盛り込んで行きたい」と話していて、キーワードとしてサウナやグランピングが「若年層に流行っているもの」として名前が挙がっていました。そのタイミングで現在の物件からお声がけいただいて、立地や構造を総合して考えたときにサウナが適していたんです。

 

ちょうどサウナの利用内容をスコア化できる技術も紹介いただいて繋がりがあったので、これらを活用して「我々がサウナを取り扱ったら面白いんじゃないか」という流れで実現しました。

 

──こちらもホームページを拝見したのですが、設備の充実だけでなく「ととのっている(※)」レベルがスコア化されるという仕組みは他になくて非常に面白いですよね。

 

秋山 他にも、プロジェクターでデジタルな世界観を表現する演出を既に取り入れています。それ以外にも我々ならではの楽しみ方の案はまだまだ沢山あって、今後も盛り込んでいきたいと考えています。

※ととのう:サウナ、水風呂、休憩を繰り返すことで訪れる快感。自律神経の交感神経副交感神経のバランスが取れた状態であることを指す。

 

△専用のブレスレットを着用することでリラクゼーション効果が分析され、自分が「ととのっている」かを実感できる仕組みに(画像提供 ©RED゜E-SAUNA UENO)

 

──エンターテインメント施設は継続して変化を加えていく大変さがありますよね。

 

秋山 大規模な乗り物があるような施設だと大きな投資が必要ですが、プロジェクションなどデジタル技術で遊ぶゲームだと、ソフトウェアを変えるだけでもかなり変化がつけられます。もちろん簡単ではないんですが、やりやすさは段違いですね。常に人気なもの、旬のものをアップデートしながら施設を最新の状態に保っていきたいです。

 

──「RED°」ブランドの今後にはどのような計画があるのでしょうか。

 

秋山 やはり常に「コトづくり」ですね。アップデートを続けてイベントを定期的に作って行きたいですし、そこをやり切った後に「何をもっと変えるべきなのか」が見えてくると考えています。希望論で言えば、旬で人気なコンテンツには常に入ってもらえるような状況を作りたいですね。

 

──何か現時点でお話いただけるアイデアはありますか?

 

秋山 例えば、レーシングシミュレーターを使用した「eモータースポーツ」でプロの選手が走ったコースに同じ車や条件でチャレンジして、そこで良い成績が出せたらそのプロ選手のイベントに参加できる。といったリアルと連携していく形は面白いと思いますし、既に実現自体は可能だと思います。色んなカテゴリやタイトルで同じようなことができると、継続的に盛り上がって行けますよね。

 

△施設内の様子 (画像提供 ©RED゜TOKYO TOWER)

 

実は既にそのようなイベントも進んでおりまして、eスポーツの中でも人気ジャンルであるシューティングゲームから『PUBG MOBILE』というタイトルの世界観をリアルに楽しめる日本初のリアル体験型シューティングアトラクションが7月1日にオープンしました。

 

──今後は対戦競技としてのプロeスポーツシーンへ関わっていく可能性もあるのでしょうか。例えば、プロチームをマネジメントすることなどが考えられると思いますが。

 

秋山 我々はプラットフォームというか活用してもらう場所を提供していく立場ですから、特定のチームをマネジメントすることは考えていません。ただ、XR技術を活用できるスタジオなどを保有しているので、プロチームのファンミーティングやプロの公式戦に活用していただいたり、海外のチームを招いての公開スクリム(※)を行ったりとか、色んな人に参加して貰える状況は作っていきたいですね。

 

──なるほど。ちなみに、秋山さんご自身のゲームのプレイ経験はどのようなものなのでしょうか。

 

秋山 実はゲームに厳しい家で育ちまして、高校生になるまではゲームハードを買ってもらえなかったんです。それでも、夏休みに泊まりにいく従兄弟の家でずっとゲームをするのが楽しみなゲーム好きの子供でした。

 

実際にゲーム機を買ってからは、車が好きなので『グランツーリスモ』にはまりまして、大人になって実車を買ってからもゲームでしか出せないスピードで走る楽しさを味わっていましたね。それこそ、eモータースポーツは私が高校生の頃にあったらなぁと思います(笑)。

 

──実車を運転するようになってもレースゲームを楽しむというのは、リアルとデジタルがリンクする今のお仕事にも通じるものがあるように感じます。

 

秋山 これまでの仕事はゲーム産業とは縁遠かったのですが、実は東京eスポーツゲートに携わる以前に、ふと広告を見て何気なくダウンロードしたゲームがeスポーツで人気のMOBAジャンルだったんです。普段は全くそうしたきっかけでプレイすることはないんですが、やってみると面白くて「チームで話しながら連携して勝つって面白いな。これはハマる人が多いのも納得だな」と体感していました。なので、この事業に携わるようになったタイミングも良かったと思っています。

 

──これからの展開も楽しみにしています。

 

秋山 ありがとうございます。上野の「E-SAUNA」も発表してみると“ゲーミングサウナ”と呼ばれ広く拡散されていて、思った以上の反響でしたね。今後も「RED° TOKYO TOWER」という軸と、サウナのような我々だからできるコンテンツと、両方に力を入れて色んな楽しみ・要素を提供していきたいと思っています。

 

──本日はありがとうございました。

 

※スクリム:主にプロプレイヤーを中心とした高度なレベルの練習を目的とするもの。上位競技プレイヤーで行われる練習マッチのこと。

 

4階フロア、日本初の“PUBG MOBILE”リアル体験型シューティングアトラクション『RED゜SHOOTING×PUBG MOBILE』1階フロア “WONDER ZONE(ワンダーゾーン)”『RED゜KIDS』『RED゜SHOKUDO』が7月1日にオープン

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