「PUBG」から「エーペックスレジェンズ」まで

バトルロイヤル系ゲーム進化論

#eスポーツ

同じクラスの中学生たちが、無人島で最後の一人になるまで殺し合うという過激な設定が話題になった高見広春氏の小説、およびそれを原作とした深作欣二監督の映画「バトル・ロワイアル」。その世界観にインスパイアされて生まれたゲームジャンル「バトルロイヤル系」は、いまやeスポーツの一大潮流になっています。PC、コンソール、モバイルの各プラットフォームでいくつものタイトルがサービスをしており、動画配信サービスでも数十万人から数百万人の視聴者をそれぞれ獲得しています。

 

 

「バトルロイヤル系」ゲーム自体は比較的以前から存在していましたが、本格的な歴史が始まったのはわずか2年前の2017年、韓国Bluehole社が「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS(以下、PUBG)」をリリースし爆発的なブームとなってからだといえます。翌2018年には、アメリカのEpic Games社から「フォートナイト」がリリースされ、素材の収集とそれを用いた建物の建設といった新要素を付け加えることでこのジャンルの発展性の高さを示しました。

 

そして2019年2月5日、ゲーマーであれば知らぬ者はいないゲーム制作最大手の一角、エレクトロニック・アーツ社から「エーペックスレジェンズ(以下、エーペックス)」がリリースされ、1週間で2,500万人、1カ月で5,000万人ものプレイヤーを獲得するという大変なムーブメントを起こしています。そんな「エーペックス」の特徴を、他の2つのタイトルとの比較も交えながら3点紹介しましょう。

 

①対戦プレイヤー人数

一回の試合に参加する人数は原則以下の通りです。

エーペックス:60人(20部隊×各部隊3人)

PUBG:100人

フォートナイト:100人

 

今までの「バトルロイヤル」は100人のプレイヤーで競うことが主流であったのに対し、エーペックスは60人(20部隊)で競い合います。プレイヤーは3人1組の部隊を組み、20部隊の中から1位(チャンピオン)になることを目指すため、PUBGやフォートナイトよりも分母が小さいのが特徴です。「PUBG」や「フォートナイト」のソロモードで「勝利」するとなると100人の中の一人にならなければならず、特に初心者は途方もない気分になりますが、20部隊のうちの1部隊となると勝利に手が届きやすい感じがします。また、「エーペックス」は一試合の参加人数こそ少ないものの、マップのサイズ感やゲーム性のためか、人数の少なさをあまり感じずにプレイすることができます。

 

②キャラクターの性能

「エーペックス」がリリースされるまでは、バトルロイヤル系ゲームには「キャラクター性能」はほぼ存在していませんでした。あえてキャラクターの性能差を作らず、大人数がみんな同じ条件で競い合うことによって競技性が生まれるというのは確かにあり、バトルロイヤル系ゲームではそうするのが当たり前という雰囲気がありました。しかし、ソロで戦うモードを最初から作らず、部隊で戦うことを前提とした「エーペックス」はそこに一石を投じました。

 

「エーペックス」には様々なスキルを持ったキャラクターが2019年3月現在8体おり、好きなキャラクターを選んでプレイすることができます。味方の回復や支援が得意な「ライフライン」、機動力で敵を翻弄して味方を手助けする「レイス」、デコイ(おとり)で敵を翻弄する「ミラージュ」など、自分にあったものや部隊に必要とされているものを選択することができます。

 

「PUBG」や「フォートナイト」にも2人一組あるいは4人一組で戦うモードがありますが、チームのキャラクター性能は全員同じであり、役割分担をする場合は事前によく示し合わせておくか、プレイ中の限られた手段でコミュニケーションをとる必要があります。選択したキャラクターに個性・性能差のある「エーペックス」は、他の2つに比べて良くも悪くも役割分担がはっきりしたゲームです。

 

③コミュニケーション機能

見ず知らずの人とチームを組むことが多いオンラインゲームでは、意志疎通機能の充実が重要になることが多いです。PUBGやフォートナイトにも「この場所にいこう!」とピンを出して、チームメイトに指示する機能は搭載されていました。しかし、本当は「敵がいるから気を付けて」「良いアイテムがあるよ」などと伝えたいことはさまざまあるにも関わらず、「この場所にいこう!」としか伝えられないことを歯がゆく思っているプレイヤーは多くいました。

 

エーペックスが取り入れられたピン機能は画期的でした。この機能は「敵発見」「敵の痕跡あり」「弾薬が欲しい」などの、多くの場面で使われるコミュニケーションをわずかな操作で行うことができるのです。味方プレイヤーの画面上に見やすく表示されるので、こまめに使用すれば、横に座りながら話してプレイしているような一体感を得られます。ありそうでなかったこの機能がチームの意思疎通を手助けし、チームワークを強化し、②で述べた役割の明確化とあいまって、味方と連帯して勝利する喜びを大きなものにしています。

 

 

ここまで今の「バトルロイヤル系」ゲームの最前線である「エーペックスレジェンズ」の紹介をしてきましたが、歴史も短くタイトルもまだまだ少ない「バトルロイヤル系」のゲームは発展途上であると考えられます。今回、「エーペックス」が追加したシステム・機能の他にも、プレイヤーが思いもよらない重要なエッセンスが隠れているはずです。また、今回は触れませんでしたが先行タイトルである「PUBG」「フォートナイト」にも、後続作品が取り入れられなかった良さや個性がいくつもあります。プレイヤーの立場からも、「バトルロイヤル系」に他ジャンルのあの要素を追加するとおもしろいんじゃないか? 逆にこれは余計なんじゃないか? と考えながらプレイして、進化し続ける「バトルロイヤル系」の最先端を追いかけてみるのも良いでしょう。

 

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