麻雀もポーカーもExcelも⁉

増加する意外なeスポーツの新ジャンル

#eスポーツ

近年はメディアで取り上げられることも増加し、その盛り上がりによって広く定着しつつあるeスポーツ。とは言っても「eスポーツ」自体はゲーム対戦競技を総称した言葉であり、タイトルごとで更に細かなゲームジャンルへと分類することができます。

 

eスポーツは格闘ゲームやシューティングゲームなどハイスピードかつ繊細な操作を求められるタイトルのイメージが強いかも知れませんが、そうしたジャンル以外にも数多くのゲームで大会が開催されており、今なおそのバリエーションが広がり続けていることをご存知でしょうか。

 

今回はそんな拡大し続けるeスポーツジャンルの中でも、誰にでも馴染深く、それでいて少し電子ゲームのイメージから遠いようにも感じられる“新しい”eスポーツタイトルについて紹介いたします。

 

オンライン対戦がアナログゲームの腕を競う場に

 

新たに注目を集めているジャンルのひとつが、トランプや麻雀など既にアナログゲームとして浸透している遊びをモチーフとするゲームです。

 

ボードゲームやテーブルゲームは多くの人にとって幼いころから馴染み深い文化のひとつであり、シンプルな画面構成や短いプレイ時間で成立するのでビデオゲーム黎明期から頻繁に題材とされてきたジャンルです。

 

技術の進歩に伴い高精細なグラフィックや大容量を活かした大作が相次いでリリースされるようになった昨今でも、カジュアルなゲームとしてテーブルゲームジャンルの人気は健在です。手軽にプレイ出来るモバイル端末とアプリが普及したこともあり、オンラインで世界中のプレイヤーと簡単に対戦する楽しみ方も広がっています。

 

テーブルゲームを題材とするタイトルのeスポーツ事情では、eスポーツイベント「Red Bull 5G 2021」に「FREE種目」として採用された麻雀ゲームの『雀魂-じゃんたま-』が大きな話題となりました。他にも競技ポーカーを題材としたアプリ『エムホールデム』が2021年6月にリリースされたり、将棋をスピーディーな戦略ゲームへとアレンジした『リアルタイムバトル将棋』が日本eスポーツ連合(JeSU)の公認タイトルに選定されたりと、盛り上がりを見せています。

 

 

これらのモデルとなっている将棋や麻雀、トランプなどのテーブルゲームは誰もが知っている遊びでありながら、プロ選手が活動するなどゲーム業界で「eスポーツ」という言葉が浸透する以前から競技的側面を持っている文化です。オンライン対戦の発達によってビデオゲームでもその腕前が競われるようになるのは、当然の流れと言えるかも知れません。

 

ビデオゲーム以外にもeスポーツは拡大中

 

新しいeスポーツと言っても、テーブルゲームは誰かと対戦することが当たり前であり、大会や試合の光景も想像しやすいのではないでしょうか。しかし、eスポーツ界では他にも意外なジャンルでそのトップを目指す人たちによる真剣勝負が繰り広げられています。

 

例えば、バラエティ番組でも定番企画となっている知識対決の「クイズ」は以前からゲームの題材としてよく取り扱われてきたジャンルですが、実は高校の部活動になるほど競技として取り組む人口も一定数いる文化のひとつです。クイズゲームも、アーケードゲームとしては15年以上前からオンライン対戦型の「クイズマジックアカデミー」シリーズの稼働が続いており、対戦ゲームとして一定の人気を獲得しているジャンルのひとつです。

 

2021年にはクイズを扱う人気クリエイター集団「QuizKnock」とコラボした新たなアーケードゲーム『QuizKnock STADIUM』が発表されており、今後の成長によってはeスポーツとしての盛り上がりを期待できるのでしょう。

 

そして「eスポーツ」という言葉が用いられる大会の中でもひときわ珍しい名前が挙がったのが、2021年6月に行われた表計算ソフト「Excel」の世界大会「Financial Modeling 8 Player Battle」です。これは参加者がお題に沿ったExcelファイルを作成し、審査員によってその完成度が評価されるコンテスト形式の競技会です。

 

もちろんExcelはゲームではないのでeスポーツという呼称を用いることに違和感を覚える方も少なくないと思われますが、公式によって「ゲームを用いたeスポーツ大会と同じくらいエキサイティングに観戦できるものだ」と発信されたことで話題を呼びました。eスポーツが「electronic sports」という言葉の略であることを考えると、全くの畑違いとも言い難いのではないでしょうか。

 

 

実は財務処理のためのソフトを用いた財務モデリングについては人材育成の観点から毎年大会が開かれており、今回のExcel世界大会にはアメリカのMicrosoft社もスポンサーとして参加しました。YouTubeで配信された大会の視聴回数は16万回を超えており、大会としての注目度は数あるeスポーツ大会にも引けを取らないことを証明する数字となりました。

 

既存のeスポーツタイトルと双方にメリットのある歩みを

 

今回は昨今のeスポーツ分野で新たに話題となっているジャンルやタイトルを紹介してきました。ただ、これらのジャンルが数あるeスポーツタイトルと競合していくかと言えば実はそうではないと予想します。いずれのジャンルも既にeスポーツ以外に「競技専用の場」が存在しているからです。

 

テーブルゲームはそれぞれで大会やプロシーンが成立していることはもちろん、競技クイズも有志によるオープン大会が長年続けられています。やや例外的なExcel処理に関しても、職務に必要な技術を競う場としては「技能五輪」という大会がそれに当てはまるのではないでしょうか。

 

プロシーンや競技大会の成立は、そのジャンルにおける技術の高さが価値あるものだと認められることを意味します。その観点ではゲーム対戦も古くから大会が開催されてきたとは言えまだまだ発展途上であり、他のジャンルから学ぶことも沢山あると考えられます。

 

新たなジャンルのファンがeスポーツ大会を視聴することで「ゲームの試合を観戦する」習慣に親しめばさらにeスポーツ界の拡大に繋がる可能性があります。逆にデジタルなゲームを通じてアナログゲームのルールを覚えたり知識を習得したりすることで、eスポーツが他のジャンルへの入口となることも可能です。

 

日々さまざまな角度からの新規参入が続くeスポーツ界には、今後もちょっと意外な、一見すると「これってeスポーツなの?」と思うようなジャンルのゲームが登場するかも知れません。そんな場合も競技としての「先輩」と双方に恩恵がある良好な関係を築いていきたいものです。

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