『グランツーリスモSPORT』が選出

「オリンピック・バーチャルシリーズ モータースポーツイベント」が開催

#eスポーツ

今回はオリンピックに関する話題を紹介いたします。といっても夏季オリンピック本番ではなく、eスポーツを用いた「オリンピック・バーチャルシリーズ」という取り組みについてです。

 

4月に発表された「オリンピック・バーチャルシリーズ」(以下、OVS)は、東京五輪に先駆けて開催される国際オリンピック委員会(IOC)によるオフィシャル・ライセンス・イベントです。スポーツを元にした5つのタイトルで競技会が実施され、新たに「デジタルなオリンピック体験」を視聴者に提供し、幅広い層へと大会をアピールすることを目的としています。

 

そして、この採用タイトルにはボートやセーリングなど五輪競技としてお馴染みのスポーツジャンルに加えて、モータースポーツを題材とするゲーム『グランツーリスモSPORT』も選ばれました。eスポーツがオリンピックとモータースポーツを繋ぐ架け橋となる可能性が期待されています。

 

 

オリンピック・バーチャルシリーズとは

 

OVSはIOCのバッハ会長が会見で「新しいユニークなオリンピックデジタルな体験」と表現したように、世界的に注目を集める

 

本大会に先駆けて

 

種目は野球、自転車競技、ボート競技、セーリング、モータースポーツの5つ。それぞれの競技でIOCと共に各国際競技連盟が主催となっており、例えば自転車競技では国際自転車競技連合(UCI)が中心となって『Zwift』というバーチャル形式のサイクリング・トレーニングプログラムでのイベントを開催します。

 

中でも野球競技部門の『eBASEBALL パワフルプロ野球2020』とモータースポーツ部門の『グランツーリスモSPORT』では日本生まれのタイトルが採用されており、国内から多くのプレイヤーが参加することが予想されています。

 

モータースポーツとオリンピック

 

モータースポーツで使用されるタイトルの『グランツーリスモ』シリーズはドライビングシュミレーターとして非常に高いリアリティを誇っており、ゲームで好成績を収めたプレイヤーがプロレーサーになるチャンスを得られる「GTアカデミー by 日産×プレイステーション®」という取り組みも行われているほど。そのGTアカデミーからは既に実績あるドライバーが多数誕生していることからも、その競技性の高さが伺えます。

 

こうした背景もあって過去にはeスポーツ大会やイベントが数多く行われ、コロナ禍に見舞われた2020年には現役のプロレーサーがバーチャルレースに参加するなど、リアルとバーチャルの良好な関係を築き上げてきたモータースポーツ界。それでも今回のOVSで「オリンピック」と名の付く舞台で自動車競技が行われることは、特別大きな意義があるとされています。

 

世界的に競技としての人気・認知度は高いモータースポーツですが、オリンピック種目としてはこれまで実施されたことはありません。現在は削除されていますが、過去にはオリンピック憲章に「機械による推進力を要するスポーツを認めない」とする条項が含まれていた時代もあり、その隔たりは私たちが想像するよりも遠いものだったことでしょう。

 

 

「競争相手より卓越した技術を追求する」という点はモータースポーツも一般的なフィジカルスポーツも共通しており、2012年には国際自動車連盟(FIA)がIOCに加盟を果たすなど関係性は進展を見せています。しかし同時にモータースポーツの魅力のひとつである「マシン性能を競う」という側面がアスリートの祭典であるオリンピックにそぐわないという指摘も存在します。多数の自動車メーカーが参加するプロスポーツであるからこそ、オリンピックで各国の代表がメダルを競う種目となるためには、まだまだ乗り越えるべきハードルが多いようです。

 

これらの課題を解決する方策のひとつとして期待を集めているのが『グランツーリスモ』のようなバーチャルレーシングシステムの存在です。eスポーツの世界でなら、全てのプレイヤーが同一の条件下で技術を競うことが可能です。今回のイベントはあくまでデモンストレーション的な位置づけではありますが、純粋な技術の競争としての魅力を示すことができれば、この催しが今後のモータースポーツとオリンピックの関係性に何らかの変化をもたらす可能性は充分にあるのではないでしょうか。

 

eスポーツとスポーツ相互プラスに

 

新型コロナウイルス感染症の脅威が続く日々では東京五輪に向けて様々な不安も叫ばれている状況ではありますが、OVSは予選会がスタートするなど順調に日程が進んでいます。これも、オンラインで対戦が可能というeスポーツのメリットが存分に発揮されているからこそです。

 

ちなみに、eスポーツの大会といえば高額賞金が話題になることも少なくありませんが、OVSでは入賞者に賞金はなく、メダルのような褒賞は「検討中」と発表しています。それでも参加したいと感じるプレイヤーがいるということは「名誉のため」「参加することに意義がある」というオリンピックの精神がeスポーツ界にも通ずることの証明になるでしょう。

 

世界野球ソフトボール連盟のフラッカリ会長は、OVSの実施にあたって「このコロナ禍ではeスポーツが重要で、ファンとスポーツの懸け橋を作っていくために必要不可欠」とコメントを発表しました。こうしたイベントでリアルなスポーツとeスポーツが良好な関係を築いていくことで双方にプラスの影響を生み出し、更なる発展へと繋げていくことが期待されています。

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