eスポーツ×プログラミングで人材育成を

旭川の新施設「ICTパーク」オープン記念インタビュー

#eスポーツ

2021年2月、北海道旭川市に新たなeスポーツ施設「ICTパーク」が誕生しました。

 

歴史ある旭川国民劇場をベースに、eスポーツイベントだけでなくプログラミング教室やVR映像体験などの複合的な目的に対応したICT施設となっており、最新の通信技術「ローカル5G」を利用した高速通信の活用・実証の拠点にもなっています。

 

 

今回は、そんなオープンしたばかりの「ICTパーク」という取り組みの背景やビジョン、そして旭川のeスポーツ事情について、オンラインインタビューを実施しました。

 

お話を伺ったのは、施設の管理運営を行う一般社団法人「大雪カムイミンタラDMO」の小原 弘慎(おばら ひろみつ)氏。道北からの新たなチャレンジに迫りました。

 

──まずICTパークという取り組みのきっかけについて教えていただけますか。

 

小原弘慎氏(以下、小原):大きな背景としては「ICT人材や事業の育成・誘致」という行政課題の解決が目標になっています。また、「まちなかの賑わいの創出」といった観点から、新たに若者の目的地や観光スポットとなるタッチポイントとして、eスポーツやプログラミングを切り口とした施設が検討された。という経緯になりますね。

 

旭川市が位置する上川地方は総人口40万人ほどですが、旭川市はそのうち33万人を抱えており、医療や交通・教育などの都市機能が集まった中心地域になります。中心部の衰退は全体へ影響しますので、やはり下支えとなる経済力の維持拡大のためにも、今までとは違うアプローチは求められていると感じます。

 

───人材育成がひとつ大きな目的ということなんですね。

 

小原:旭川市や周辺自治体では企業の誘致なども行っていますが、ICT企業を誘致するにも精通した人材の不足がハードルになったり、逆に高等教育機関で能力のある人材を輩出しても活躍の場が無いので都市部へ出て行ってしまったり、というミスマッチの状況も起こっていました。

 

──そこで注目されたのがeスポーツだったと。

 

小原:そうですね。数年前の「eスポーツ元年」と言われるようになったころから、その盛り上がりは伝わっていました。eスポーツ施設を作るなら中心部でやりたい、という意思もあって、以前は映画館として親しまれていた「コクゲキ」こと国民劇場を使わせて頂けることになりました。

 

このビルも映画館として昭和から長らく親しまれていて、閉館後もオーナーさんによって「シアターカンダ」として運営されていたんですが、地域貢献のためならとご協力を頂けたんです。色んな要素が重なって、この場所でeスポーツ施設がオープンできたんだなと感じています。

 

──プログラミング教室が併設されているのも、やはり人材育成という観点が大きいのでしょうか。

 

小原:はい。ICTパークは3階が「コクゲキ」という大型ビジョンを備えたイベントホールで、1階が「トレーニングジム」としてeスポーツカフェのようなゲーミングPCを備えた施設になっています。この「トレーニングジム」では、プログラミング教室も予定しています。

 

 

──プログラミングは今後の需要も高まってくると予想されます。

 

小原:現在はまだその段階には至っていませんが、eスポーツを切り口にプログラミングに触れるきっかけになって欲しいですし、逆もまた同じですね。「ここかからここまでeスポーツ、ここからはプログラミング」と切り離すのではなく、どちらから入ってもどちらにも進める環境になれば良いなと考えています。

 

──人材育成と言う観点が入ることで、施設としても長いスパンで見ていくことができるのではないでしょうか。

 

小原:そうですね。もちろん運営の中で短期的にマネタイズしていく部分もありますが、長期的に行政課題に向き合っていく部分と両方があると思います。

 

──現時点で、反響は如何でしょうか。

 

小原:有難いことに応援してくださる人や事業者さん、団体さんにも名乗りをあげて頂いています。支援や応援の声に応えるためにも、我々が具体的なプランや動きを見せながら連携や活動の幅を広げていくことが大事だと思いますので、現在は徐々にそこを進めている段階です。

 

──旭川では「eスポーツ」という存在はある程度浸透しているのでしょうか。

 

小原:オープン以前から話題として取り上げていただいたためか、イベントに来て下さる方のリアクションを見ていても「意外と知られているのかな」と感じます。少なくとも「何それ」とは思われていないと言いますか(笑)。先日の全国高校eスポーツ選手権で同じく北海道の釧路高専さんが上位に進出されたこともあって、学校さんからも「旭川からも行こう!」という声が聞かれています。

 

──教育機関からも反響があるんですね。

 

小原:施設について説明させていただくこともあるんですが、学校の先生方も意外と興味を持ってくださっていますね。ただ、どうしても「家で出来るゲームに対して学校でeスポーツとして時間をかけて取り組む」ことへの必要性や有効性の裏付けが必要になってきますので、取り組みの実例を紹介したり経験値を貯めていく段階から徐々に巻き込んでいけたらと考えています。

 

──巻き込んでいく、というステップでは既に大会などのイベントも行われています。

 

小原:3月21日には「コクゲキカップ」の名前で『eBASEBALL パワフルプロ野球 2020』の大会を開催しました。実は大会を企画した昨年末の段階では旭川市でコロナウイルスのクラスターが発生したばかりで、オフラインのイベントも軒並み中止になっていました。

 

現在はかなり状況は落ち着いていますが、感染拡大防止の観点から今回は出場者の家族や友達など関係者のみがコクゲキで観戦し、一般の方はYouTubeにて配信と言う形式を取りました。出場者も今回は上川地域に限っての募集としたんですが、それでもトーナメントが開催できて面白いイベントになったと思います。

 

──大会を振り返ってみて、いかがだったでしょうか

 

小原:野球ゲームの伝わり易さもあってか、すごく臨場感があって盛り上がりました。見ている人にとっても違和感なく楽しめたようで、小学生のプレイヤーも参加してくださったんですが、少年野球のチームメイトも配信を通じて応援してくれていたそうです。

 

──ゲストには同タイトルでプロリーグに参加されている佐藤優太さんも出演されていて、豪華なイベントでした。

 

小原:実況解説を担当して頂いたんですが、現実のプロ野球とゲームの知識が両方あるので魅力や醍醐味を的確に伝えて頂けて非常に良かったと思います。こうした実況やMCのような役割も、魅力を発信していくに当たってはタイトルに関わらず大事になってくる要素だと実感しましたね。

 

──今後は取り扱うタイトルも増やしていく予定なのでしょうか

 

小原:やるからには世界的に人気の『League of Legends』など、先に繋がるタイトルを増やしていきたいと考えています。やはりボイスチャットで戦術を話し合いながら対戦するタイトルというのはeスポーツならではの魅力ですし、設備的にもPCゲームでの5vs5が可能なので、いつかはやりたいですね。

 

──想定しているイベントや利用法、というようなビジョンはありますか?

 

小原:大会だけでなく裾野の拡大のための体験会や講演会の実施などを検討しています。また、パブリックビューイングやMICE利用のほか、学生企画イベントなどを通じて、利用者をどんどん当事者として巻き込んでいく展開を図っていきたいと考えています。

 

──旭川という立地を生かした利用法もありそうですね。

 

小原:夏には気候も良いので高校eスポーツ部の合宿なんかを実施して、eスポーツだけでなく、地場の豊かな食やスキーや登山、カヌーなどのアクティビティ体験も組み合わせたりすることも面白いかなと思いますし、オンラインで他の施設と対抗戦も可能です。現在のeスポーツの大会は「地方での予選を経て決勝は東京で」という形式が多いですが、そこを逆に北海道に来てもらうような流れを作れたら良いですね。

 

 

──コロナウイルスの影響もあって一般の方の施設利用は20214以降となりましたが、今後は幅広い利用が期待されますね。

 

小原:HPは現在リニューアルを進めておりますが、イベントや施設に関する最新情報はTwitterアカウントから発信しておりますので、こちらをチェックして頂けたらと思います。

 

──コロナが落ち着いたら、是非現地でも取材させてください。本日はありがとうございました。

 

小原:こちらこそありがとうございました。是非ともお待ちしております。

 

 

【ICTパークHP】https://www.taisetsu-kamui.jp/ict-park/

【ICTパーク_コクゲキTwitter】https://twitter.com/a_kokugeki

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