shopifyやmagentoなど、ECの新潮流とは?

エンジニア目線で考える日本における越境ECとその可能性

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新型コロナウイルス感染拡大の影響により、様々な領域でIT化、DX化が加速しています。そのひとつがEC領域の拡大と、グローバル化です。その中でいま、越境ECと呼ばれる市場分野が注目を集めています。日本における既存のECシステムの枠を超えて発展し、エンジニアにとっても自身の強みとなる新たな知識・スキルを得るチャンスでもあります。第三回目の今回は、越境ECについて、その概要とエンジニアの領域でどのように関係してくるのか、考えてみたいと思います。

 

■越境ECとは

越境ECとは、文字通り「国境を越えたオンライン上での取引」です。国外から直接日本の商品を買うことが可能であり、「品質の良い日本製品を購入したい」「日本に旅行した際に見た商品が欲しい」といったニーズに対応しています。市場規模としては米国が大きいですが、近年ではやはり中国の市場が拡大しています。配送費など物理的な距離の近さや、日本製品に対するニーズの高さを考慮すると、中国やアジア圏を対象に構築する案件がより増えてくると考えられます。

 

 

■越境ECに必要な観点

まずは越境ECについて、エンジニアも抑えておきたい基本的なポイントを整理してみましょう。

<表示言語>
多言語対応は必須条件となりますが、翻訳をどのように行うのか、対象の言語を想定したレイアウト/文字サイズの設定等が必要です。
見落としがちですが、商品の価格表示の「通貨のローカライズ」も必要です。対象の国の人々は自国の通貨で買い物できることを好むため、表示がUSドルしかない状態では、場合によっては多くの離脱を生むことになりかねません。

 

<決済方法>
日本では、クレジットカード/代引き/コンビニ決済が主流ですが、国や地域によって、よく選ばれる決済の種類は千差万別です。現地でよく選択される決済方法との連携も必要となります。特に中国は独自の決済システムが存在しているので、注意が必要です。

 

<発送システム>
対象国の国民性や感覚に合った発送システム設計が必要です。日本よりもコンビニ支払や銀行振込が多いアジア諸国の場合、予約のような感覚で「先払い系」の支払方法を選択して注文し、実際にはお金を支払わずに放置となり、売買契約が成立しないというケースもあるようです。
3日待っても入金がない場合には、在庫押さえを解放し、自動キャンセルする、など日本とは異なる設計を考慮する必要がありますので、エンジニアとしても要件定義時にこの点は注意した方がよいでしょう。

 

 

 

<販売先の国で適用される法律や規制>
ワシントン条約対象となる商品や、ダイヤモンドの原石、インク類など通関に特別な手続きが必要となるものなど、取り扱う商品に関する調査は必要となります。
また、中国の場合、インターネットサイトの開設・運営はすべて許可制となっており、中国国内にサーバーを置きサービス展開する場合、「ICP」と呼ばれるライセンスがなければ、サイトを開設できませんので、そういったその国独自の法律/ルールに対する調査・理解の視点も重要です。

 

<販売対象国での流入の視点>
日本でECサイトを構築するのとまったく同じ方法を取っては、「開設したはいいが、求めている国のお客さんのアクセスがない」という事態になりかねません。対象国の人々の目に触れるような状態にできるかは、マーケティング的な視点が重要ですが、SNSとの連携、SEOやサーバーのたて方など、開発に関わる領域でも考慮が必要です。

 

このように、越境ECは構築・開発時に抑えるべき点が国内のECとはかなり異なっており非常にハードルが高いように感じてしまうかもしれません。では、どのようなプラットフォームを選んで開発を行っていくのが、良いのでしょうか。

 

■越境EC開発のオープンソースプラットフォーム

完全スクラッチ開発は非常にハードルやリスクが高いでしょう。一方で現地モールの使用は効率的ですが、販売手数料の高さやコンテンツに関する制限もネックとなるケースもあり、販売対象の国が限定されるなどのデメリットもあります。エンジニアの関わる案件では、ASP型やオープンソースのECプラットフォームでの構築が増えてくるでしょう。
そこで、現在世界において主要なプラットフォームであるshopifyとMagentoについてエンジニアからの視点でご紹介します。

 

■shopify:https://www.shopify.jp/
<概要>
現在、全世界175ヵ国、100万店舗以上で利用され、グローバルでの流通総額は10兆円を超えるなど、名実ともに世界で最も使われているECプラットフォームと言えます。

<エンジニア視点で見る特徴>
Shopifyはアプリ(プラグインのようなもの)が豊富に公開されており、各種SNSやメールマガジン配信サービスとの連携のようなマーケティング視点機能から、在庫管理、配送機能などとの連携機能まで、拡張性が非常に高いことが特徴です。APIも提供されており、バックエンド側の知見があれば部分的にスクラッチ開発し、システム連携することも可能ですので、エンジニアが関わる領域も多くなると考えられます。Shopifyについてのスキルを得るためには、アプリに対する知識・理解とAPI連携についての情報収集を行うと良いでしょう。

 

<エンジニアがshopifyでのEC構築をするために必要な要素とは>
エンジニア視点で見るとShopifyはオリジナルの開発言語を用いていることもユニークな特徴です。Shopifyのサイトは、「HTML」「CSS」「JavaScript」「liquid」で作られていますが、この「liquid」がShopify がオープンソースで開発しているオリジナルのテンプレート言語です。
「liquid」はRubyをベースとして作られていますが、Rubyと異なり、HTMLの中で構文を使用できる特性を持っており、静的な要素は HTML/CSS/JavaScript で記述し、ショップのデータと連動する動的な要素は Liquid コードで記述する、という構造になっています。
独自言語とはいえ、すでに多くのエンジニアが習得しているRubyの知識をある程度活用でき、現在はGitHubのオープンソースプロジェクトにもなっていますので、習得のハードルはそれほど高くないでしょう。EC領域のスキルをつけていきたいエンジニアにとっては、学習価値のあるスキルです。

 

 

■Magento(マジェント):https://magento.com/
<概要>
米国のMagento社によって開発されたオープンソースソフトウェアです。日本ではオープンソースのプラットフォームと言えば、EC-CUBEが広く普及しているため認知度は高くありませんが、世界的に見ると、Shopifyと比較検討されることも多く、コカ・コーラ、オリンパス、ナイキ、ジャガーなどの有名企業を含め、世界中の25万のECサイトで利用されるほど、非常に多くの実績を持っています。
2018年5月にはAdobe社に統合されたこともあり、今後日本でも広まっていくと考えられます。

 

<エンジニア視点で見る特徴>
ShopifyもAPIが提供されており、カスタマイズ性はありますが、より自由度の高いECサイトを求めていく場合は、やはりオープンソースという特性を持つMagentoを選択することになるでしょう。
また、Magentoには、サードパーティ製の拡張機能やテーマを取り扱う「Marketplace」があり、プログラムの書き方や対応するMagentoのバージョンや各PHPバージョンでの動作状況といった、様々な観点からの審査を通過したものだけが公開されています。Marketplaceに公開されている拡張機能やテーマを活用することによって、効率的に開発することができるでしょう。

 

<エンジニアがMagentoでのEC構築をするために必要な要素とは>
Shopifyで使用されている「liquid」はRubyがベースとなっていますが、MagentoはPHPで作られているため、「もともとRubyよりPHPの方を得意領域としている」エンジニアがスキルを得やすいプラットフォームと言えます。
また、「Magento MeetUp」と呼ばれる世界各国に広がる15万人以上の開発者による大規模なコミュニティがあり、情報交換や勉強会などのさまざまな活動が行われていますので、英語が得意であれば、日本において、非常にユニークなスキル・知見のあるエンジニアを目指せるでしょう。

 

 

 

■まとめ

様々な業界で、ビジネスのターゲットが海外に広がりつつあります。エンジニアとしても、日本独自のプラットフォームに縛られず、世界的な視野で情報のキャッチアップやスキルの習得を行なっていくことが求められてくるでしょう。

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