「本気でゲームをやる」シリーズ

32歳会社員が「リーグ・オブ・レジェンド」で本気で上を目指してみた(第5回)

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みなさま、こんにちは。エクストリーム社員の伊藤です。

 

5月ももうじき終わり、まもなくやってくる梅雨に備え、夏の訪れを待つという時期になりました。どちらかといえば、新しいことに挑戦する時期というよりは、1月ごろ、あるいは4月ごろに手をつけ始めたことや、そのころに立てた目標が前に進んでいるか、モチベーションは継続しているかをチェックするような時期だといえるでしょう。

 

何事も継続にこそもっともエネルギーを要するものです。そういう意味では、気分が新たになる1月や4月よりは、いわゆる「五月病」の蔓延する5月にこそ、自分を見つめなおし、初心に帰り、次に何をすべきかを考えるのがよいでしょう。

 

…人ごとのように言ってきましたが、5月という壁に誰よりもぶつかっているのは私自身です。昨年11月に私は確かにこう宣言しました。

 

2019年の4月までに、私伊藤はリーグ・オブ・レジェンドのゴールドランクに到達してみせます。

 

2019年の5月現在、上記の宣言は「果たせなかった約束」となりました。

 

 

私もこの目標を舐めてかかっていたわけではありません。ゲームくらい適当にやってればまあ勝てるだろ、などと思ったことはありません。人に教えを請い、地道な練習を重ね、覚えるべきことを覚えと、やるべきことを地道にやってきました。その甲斐あってか、最初のころは順調で、勝率は一時期60%を越えていました。このゲームにおいては、勝率は55%を維持すればどこまでも上に上がっていけると言われているのです。勝率60%というのは、少なくとも同じ実力層でのマッチングであれば、それだけで味方に頼もしいと思わせ、敵に圧力を与えられる勝率です。

 

しかしそれを長期間維持することはできませんでした。まったく勝てなくなる時期が突然やってきました。スランプというべきでしょう。連敗に連敗を重ね、貯金はものすごい勢いで目減りし、ついに勝率は50%になりました。シルバー3まで上がったランクは、あと2敗か3敗でブロンズに逆戻りするという状況になりました。

 

▲5連敗くらいでは何も感じなくなってしまった

 

そんなところで、実現できなかった目標、果たせぬ夢がひとつ、またひとつと積み重なっていき、こうして人は歳をとっていくのだ――という感慨に身を任せ、令和の時代を迎えたのでした。

 

そして5月もまもなく終わり、立てた目標、宣言のことなど時間の流れに流されてあっという間に見えなくなるだろうと思われました。そんなとき、私をはじめ「リーグ・オブ・レジェンド」のファンを驚かせる出来事が起こりました。

 

元SKTのプレイヤー、Blank選手が日本のチーム、「Sengoku Gaming」に加入することが決まったのです。

 

【LoL部門】Blank選手加入のお知らせ

https://sengokugaming.com/2019/05/27/lol-6/

 

韓国のSKTは、世界大会優勝の回数などさまざまな実績で2位以下に圧倒的な差をつける、「リーグ・オブ・レジェンド」のプレイヤーなら誰でも知っている世界最高の名門チームです。Blank選手自身も、少なくとも3度の世界大会優勝と、1度の準優勝を経験しています。

 

あのBlank選手が日本のリーグであるLJL(League of Legends Japan League)にやってくる、それは元バルセロナのイニエスタ選手がJリーグにやって来たのと同じか、少なくともこのゲームのファンにとっては、それ以上の衝撃でした。(残念ながら)LJLは以前よりも良くなってきたとはいえ、世界の中ではまだまだ強いリーグとはいえません。日本のeスポーツの市場規模も拡大してきたとはいえ、先行する欧米や中国でプレイしたほうが何倍もの年棒をもらえるはずですし、オファーもあったはずです。いったい、Blankは何を考えてやってきたのでしょうか。

 

さまざまな憶測が流れていますが、事実としていえるのは、Blankが過去半年ほどリーグ・オブ・レジェンドの競技シーンから姿を消していたことです。

 

Blankは、2017年の世界大会をSKTとしては不本意な準優勝で終えて以降、スランプと呼ぶべき状態でした。素人の立場から彼のプレイにダメ出しすることはできませんが、結果は出ず、超名門チームの足を引っ張っているのはあいつだ、替えろという論調がファンコミュニティを支配しました。そして、いつの間にか競技シーンに彼の姿がなくなっていました。

 

Blankが何を求めてやってきたのかはやはりわかりませんが、日本に自らの「復活」の端緒を求めにきたようにも見えます。日本のファンは、私も含めて、すごいことになったと大盛り上がりです。

 

Blankがどれほどの非難を浴びていたか私はよく見てきました。彼がいなくなったとき、まああれだけのことを言われ続けたらしょうがないな、と思うほどでした。しかし彼はとにかく競技シーンに帰ってきたのです。世界最高のプレイヤーの一人だったBlankが日本でどう戦うのか、圧倒的な力を見せ復活を遂げるのか、それとも、やはり逃げてきた男だと思われるような結果になってしまうのか。日本の他のプレイヤーはいかにして彼に立ち向かうのか。

 

それを最大限楽しんで見届けるためには、私自身も「リーグ・オブ・レジェンド」の本気のプレイヤーであることを止めるわけにはいかなくなってきました。そしてそうなると必然的に私自身も、復活するのか、逃げた奴だということになるのかを問われているように感じられてなりません。

 

4月という宣言どおりにはなりませんでしたが、私はまだまだ挑戦し続けます。性急になることを避けて、時間をかけ、シーズン9が終わる11月ごろにはゴールドになろう、という気持ちでいます。いや、それもダメならまた来年に挑戦してもいいと思っています。もしスランプを脱出して、意外と早くゴールドになれるようなら、やはりこのゲームで次の目標を見つけたい。とにかくこのゲームを頑張ることをやめたくない。このゲームをプレイし、観戦することで私は、全世界のプレイヤーを相手に戦い、全世界のプレイヤーを応援したいという気持ちが強くなりました。彼らとともに上を目指したいという気持ちです。私の挑戦はまだまだ続きます。

 

何しろ、自分が「本気でプレイする」ことによって、年々シーンのいろどりが豊かになるこのゲームの「観戦」という体験の喜びがますます増幅するからです。今年の春の世界大会は、例年通り中国と韓国が上位を独占するという大方の予想を覆し、欧州代表と北米代表が決勝戦を戦いました。見事優勝の栄冠を手にしたのは欧州代表ですが、その欧州代表は新興のベトナム代表にリーグ戦で2度も敗れました。ブラジルからも、ロシアからも、トルコからも、全世界から、強い選手が、強いチームが登場しています。そして一年前までは世界最弱と思われていた日本代表も、本戦リーグ出場までもうあと少しというところまでこぎつけました。

 

ここでの「経過報告」はいったん終了させていただきます。しかしエクストリームには、「本気でゲームをやる」社員が何人もおり、今後は彼らにこのスペースに登場してもらうことになります。