「本気でゲームをやる」シリーズ

32歳会社員が「リーグ・オブ・レジェンド」で本気で上を目指してみた(第4回)

前回 ⇒「32歳会社員が「リーグ・オブ・レジェンド」で本気で上を目指してみた(第3回)」

 

eスポーツタイトルの大きな楽しみのひとつは「キャラクター」です。格闘ゲームでもFPSでも、多くのeスポーツタイトルではプレイヤーは試合ごとに使用するキャラクターを一体選び、そのキャラを自分の分身として戦わせます。ゲーム性そのものはもとより、キャラクターの魅力もeスポーツファンの大きな関心のひとつです。

 

「リーグ・オブ・レジェンド」では「チャンピオン」と呼ばれるキャラクターの数は2019年3月の時点で143にのぼり、数ヶ月に一度のペースで新チャンピオンが追加されています。143のチャンピオンすべてに、固有の設定とスキル、得意分野と苦手分野があり、得意な相手と苦手な相手(カウンターを取れる相手と取られる相手)がいます。キャラクターの設定も、正義のために戦う戦士、何千年も生きている小さな女の子、宇宙の星々を誕生させた造物主など、なじみやすいものもいれば突拍子もない個性を持っているものもいます。たった一体のチャンピオンでも極めようと思えば相当な研究と練習が必要になります。

 

「リーグ・オブ・レジェンド」は5対5のチーム戦で、一つの試合に同一のチャンピオンを複数出すことは原則できません(ゲームモードによります)。よって143のうち10体がひとつの試合に登場することになります。組み合わせは事実上無限大ですが、敵味方にどのチャンピオンがいるかで試合はまったく異なる展開になり、毎試合飽きさせません。チャンピオンの数とそれぞれの個性は、このゲームを奥深くしている最大の要因の一つでしょう。

 

143のチャンピオン性能をすべて把握し、敵味方の構成に応じた最適なものを毎回選べるのであれば理想的です。実際トップレベルのプロはそれに近いことができます。しかしたいていのプレイヤーには、143どころか10のチャンピオンを使いこなすのも相当な練習が必要で、「構成に応じてキャラを選ぶ」というのは現実的でない場合が多いです。たとえば「ダリウス」というチャンピオンに対して、本来カウンターをとれる「レネクトン」というチャンピオンがいますが、自分がレネクトンの練習を十分にしていないのなら習熟したダリウスに勝つことはできません。

 

 

▲ダリウス(上)は敵を自分の傍に引き寄せて張り付きながら大ダメージを与えるが、レネクトン(下)は敵への接近からの離脱を簡単に行えるためカウンターをとれる。

 

そして伊藤のようなそもそもあまりゲームがうまくなく、年齢を重ねて適応力も落ちたプレイヤーにとっては10のチャンピオンを使いこなすというのも過酷な要求です。実はこのゲームの初~中級者にはむしろ「プレイするのをごく少数のチャンピオンに絞る」ことが推奨されています。少数のチャンピオンに絞ると、敵の構成に対してまったくカウンターを取れないものを出すしかない場合も多いですが、最低限「そのチャンピオンに習熟している」という強みを出すことができます。初~中級者のレート帯だと、これは大きな強みです。

 

さて、伊藤も「どのチャンピオンに絞るか」というところでここしばらく迷いがありました。去年よく使っていたワーウィックというチャンピオンはすっかり弱体化され、あまり勝てなくなりました。(ゲームバランスがしょっちゅう変わるのもこのゲームの難しいところです。)いま強いといわれているシン・ジャオにも手を出しましたが、プレイスタイルが合わなかったためか性能を十分に発揮することができませんでした。あとはこれらのチャンピオンに対して「シンパシー」というか、「キャラ愛」を持つことができなかったというのも大きいかもしれません。どのチャンピオンにもそれぞれの魅力があるゆえに、浮気せずにどれか一つのチャンピオンに絞るのはそれだけで精神力を消耗します。

 

 

▲ワーウィック(上)とシン・ジャオ(下)。ワーウィックは体力を消耗した敵の追跡が得意。シン・ジャオは序盤の少人数での小競り合いが最強である。

 

そんなとき、あるチャンピオンの性能に調整が加えられたという話を聞き、どんなものかと試してみたところ、ついに「これだ」という手ごたえを得られました。それこそが今私がメインで使用している「セジュアニ」です。

 

 

今年に入ってからこれまで120試合ほどプレイしていますが、そのうち75%にあたる91試合でセジュアニを使っています。そして91試合のうち57%の52試合で勝利を収めています。100試合近くやって50%台後半の勝率を維持できるというのは、私としては相当好調ですし、マッチングした同ランクのプレイヤーと比べてみてもかなり良いほうです。

 

▲セジュアニはイノシシの「ブリストル」に騎乗して戦う姿が特徴的。

 

▲2019年は亥年のため主に中華圏をターゲットにセジュアニの「春節スキン」(スキンはキャラクターの見た目を変えるゲーム内アイテム)が販売された。

 

セジュアニのゲームプレイにおける強みは、敵を足止めする手段の豊富さです。敵をイノシシの突進で吹っ飛ばしたり、氷の大地由来の氷で凍結させたりして、その間に味方にタコ殴りにさせます。うまく敵の虚をついて技を仕掛ければ、相手は一歩も動けずに倒されてしまいます。

 

さて、なぜ私とセジュアニの相性が良かったのかということを考えてみます。セジュアニはどういう設定のキャラクターなのでしょうか。公式サイトのストーリーから引用します。

 

それまでは脆弱で、名誉を失墜し、近隣勢力の餌食と見られていたウィンタークロウは、ほんの二、三年の間に、その機動力、冷徹さ、そして戦母(=セジュアニ)に対する戦士たちの絶大なる忠誠心により、北方全域で恐れられる存在となった。

 

いくつかの季節が過ぎ、セジュアニの進撃は南方の部族、ノクサスの侵入軍、さらにはデマーシアの国境地域にまで及び、彼女の前に立ちふさがるものはことごとく侵略、略奪、征服されていった。

https://universe.leagueoflegends.com/ja_JP/story/champion/sejuani/

 

セジュアニはウィンタークロウという部族の長で「戦母」とみなされています。部族はさまざまな事情で資源のない、文字通り凍結した土地しか与えられていない状態で、他の勢力に今にも滅ぼされようとしていたところを立て直したのがセジュアニというわけです。「彼女の前に立ちふさがるものはことごとく侵略、略奪、征服されていった」という一文を改めて読んで、よく自分はこんなとんでもない女性をマウスとキーボードで操作しているなという気分になりました。

 

ゲーム内音声として収録されているセジュアニのセリフも「口を動かしている暇があったら戦え!」「臆病者は臆病者らしく逃げ回れ!」などと、「戦母」というにふさわしいものばかりで、これらのセリフがすべてプレイヤーである自分に向けられているかのようです。(というか、実際にそうなのでしょう。)何かと決断力が問われるこのゲームにおいて、これまで迷ってしまうことの多かった私を叱咤激励し、決断を促してくれる――セジュアニに出会って私の勝率が上がったのはこのためかもしれません。これも一種のキャラ愛でしょう。

 

さて、143のチャンピオンの中からようやく自分にふさわしいものを見つけ出し、その結果として高勝率を得ることができました。先月の時点では「ブロンズ2」(ゴールドまであと6段階)だったランクが「シルバー3」(ゴールドまであと3段階)になりました。セジュアニとともに――というか、「戦母」セジュアニの指揮に従って――あと2ヶ月足らずの期間を戦い抜きたいと思います。

 

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