意外に簡単!フリーランスの確定申告【会計ソフトとe-Taxがあれば難しくない】

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わかりづらく、面倒くさいイメージのある確定申告。しかし、最近はオンラインで使える会計ソフトや、「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」の進化で、申請のハードルが大幅に下がりました。

 

さらに、令和2年からは、「e-Tax」で申請した人に限り、所得控除額が10万円アップすることになり、あらためて注目を浴びています。「e-Tax」による電子申告をするだけで、所得税の税額を下げることができるのであれば、利用しない手はありません。

 

このページでは、フリーランスなど個人事業主が、確定申告をするときの疑問に答えるとともに、確定申告の仕組みや、青色申告と白色申告の違い、「e-Tax」を使った大まかな申請の手順まで紹介していきます。

 

1.そもそも確定申告とは?

確定申告は、簡単に言えば、自身が1年間で稼いだ「儲け」を計算し、そこにかかる所得税を計算して、税務署に申告することです。

 

「儲け」とは、収入から経費を差し引いたものを言います。

 

なぜ自分で申告するかというと、税務署が事業者の利益を認識しているわけではないからです。そのため、フリーランスは収益を自己申告し、それに応じた税金を支払います。

 

1-1.フリーランスは確定申告が必要?

原則、必要です。

 

サラリーマンの場合、会社が給料から天引きして、本人の代わりに国や自治体に所得税、住民税、社会保険料を納めるため(源泉徴収)、勤務先以外の収入がない場合は原則確定申告が不要です。

 

ですが、フリーランスは自身で確定申告をしなければ、税務署が所得税を決められません。そのため、フリーランスは必ず確定申告をする必要があるのです。

 

1-2.確定申告は収入がいくらから必要?100万円以下の場合は?

フリーランスの場合、1年間の「儲け」が48万円を超えた場合に確定申告が必要になります。

 

この48万円を「基礎控除」といいます。生活費や社会保険料などの必要経費を考慮し、48万円までは所得税を課税しないことで、無理なく納税できるよう設けられたものです。

 

なお、インターネットでは、100万円以下というくくりで確定申告の要不要を検索している人も多いようですが、100万円以下という基準はありません。

 

1-3.確定申告が不要なケースとは?

フリーランスの場合、1年間の「儲け」が48万円未満の場合のみ、確定申告が不要となります(年収2,400万円以下の場合)。

 

「儲け」は収入から経費を差し引いた金額ですから、これが48万円以下なら確定申告はしなくても問題ありません。

 

年収2,400万円超の場合は、基礎控除額が少なくなります。詳しくは、国税庁のホームページをご確認ください。

 

1-4.赤字で儲けがない場合も確定申告が必要?

赤字で儲けがない場合は、「儲け」が48万円以下のため、確定申告は義務ではありません。ですが、したほうが良いと考えられます。

 

その理由は、赤字の確定申告をすることで、前年の所得税の還付を受けられたり、住民税が軽減されたりするケースがあるためです。また、無申告を疑われることもなくなります。

 

2.確定申告の期間はいつからいつまで?

 

2月16日から3月15日です。

 

このとき申告するのは、前年の1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得となります。

 

なお、2020年と2021年は、新型コロナウイルス感染症による社会状況を考慮した期間の延長が行われました。詳しくは、管轄の税務署のウェブサイトなどで確認しましょう。

 

2-1.確定申告期間を過ぎたらどうなる?

期間を過ぎても確定申告は可能です。

 

ただし「期限後申告」という扱いになり、「無申告加算税」や「延滞税」などのペナルティが課せられるケースがあります。

 

早く申告したほうがペナルティは軽く済むので、申告が遅れた場合は速やかに申告しましょう。

 

参考:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁

 

2-2.それでも確定申告をしないとどうなる?

確定申告の無申告で、それが故意に納税を免れるためであった場合、「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、または、その両方」が課されます。 

 

 

3.確定申告の「青色申告」「白色申告」の違いは?

 

確定申告をしようとしたときに、必ず出てくるのが「青色申告」と「白色申告」です。フリーランスになりたての場合、この違いがピンと来ない人は多いかもしれません。

 

青色申告制度は、フリーランスなど自営業者(と、不動産所得、山林所得のある人)に認められている制度で、個人事業主として開業届を出している人が利用できる制度です。

 

いっぽうの白色申告制度は、青色申告をしない人が確定申告で利用します。

 

3-1.「青色申告」は複式簿記を条件に65万円控除される

青色申告制度を利用するには、収入や経費を「複式簿記」で記帳し、それらに関わる書類を保存することが必要になります。

 

それを条件に、最大65万円の所得控除が受けられます(「e-Tax」による申告の場合)。

 

このページの前半で説明した基礎控除の48万円に加え、さらに65万円控除されるので、合計113万円の「儲け」に所得税がかからなくなります。これは、多くのフリーランスにとってかなり大きな違いのはずです。

 

3-2.青色申告は赤字の「繰越し・繰戻し」もできる

青色申告制度で確定申告をした個人事業主は、赤字を3年間繰り越したり、反対に赤字を繰戻して前年の所得税の還付を受けたりできます(純損失の繰越し・繰戻し)。

 

フリーランスとして収入が安定するまでの間、これらは心強い制度になるはずです。

 

3-3.白色申告は簡易な帳簿でよいが控除は10万円のみ

青色申告制度を利用しない場合は、白色申告制度を利用します。所得控除額は「10万円」ですが、簡易な会計帳簿でよく、手間が少なく済みます。

 

ただ、最近は特別な知識がなくても複式簿記による帳簿がつけられるオンライン会計ソフトが充実しており、月額1,000円程度から利用できます。

 

これらのソフトにかかる費用は経費として計上できると考えると、白色申告のメリットはかなり小さなものになっている…というのが現実です。

 

4.フリーランスの確定申告のやり方は?

 

フリーランスが確定申告をする場合、自力で行う以外に、税理士に委託もできます。

 

最近は、個人がオンラインで手軽に利用できる会計ソフトがいくつかあるため、複式簿記への深い知識がなくても、ネットなどで方法を調べつつ帳簿を付けられます。

 

ですが、仕事が忙しく、収入も多いフリーランスであれば、税理士に委託したほうが効率的でしょう。

 

4-1.自力で記帳するなら会計ソフトを利用しよう

自力で確定申告をするのであれば、青色申告用の会計ソフトを利用して、収入や経費を記帳するとよいでしょう。最近の会計ソフトは、複式簿記への深い知識がなくても記帳できるように作られています。

 

確定申告をするフリーランスが増えたことから、どのようなものが経費になる、ならないという情報はインターネット上に豊富にあります。さまざまな事例が紹介されているので、そうしたものを参考にするとよいでしょう。

 

4-2.自力での申告は控除額が最大になる「e-Tax」がおすすめ

「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」を利用すると、青色申告で最大となる「65万円」の所得控除が受けられます。令和2年より、書類による申告の場合は55万円が上限となり、10万円の差がつけられました。「e-Tax」を使うことが節税になるのです。

 

「e-Tax」は使いづらいソフトとされていましたが、年々改良されており、使い勝手は改善しています。さらに、「e-Tax」は常に最新の税法に対応しているので、税法が変わったことに気づかず、申請内容を間違えることがなくなります。

 

マイナンバーカードがあれば利用できるようになり、利用手続きが簡単になったのも良いニュースです。マイナンバーカードを読み取るためのカードリーダーも、おサイフケータイ対応のスマートフォンで代替できるようになりました。

 

「e-Tax」利用のハードルは、以前よりかなり低くなっています。

 

4-3.多忙なら税理士へ委託しても

仕事が忙しく、収入に余裕があるフリーランスは、税理士へ委託するのもひとつの方法です。自分で領収書を計算して、帳簿をつける手間がなくなりますし、節税についての相談もできます。

 

いっぽうで、毎月顧問料がかかることはデメリットでしょう。顧問契約をせず確定申告だけを委託するとしても数万円の費用がかかりますから、依頼する際は、金額に見合うメリットがあるのかを十分に検討しましょう。

 

5.確定申告に必要なものは?「e-Tax」での手順を解説

 

フリーランスが確定申告をする理由や、大まかな申告の方法がわかったところで、必要なものと、申告までの流れを具体的に説明しましょう。

 

ここでは、フリーランスが所得控除の恩恵をもっとも受けられる、「e-Tax」で「青色申告」をするケースに絞って手順を説明します。

 

5-1.領収書・レシートを整理する

まずは、かかった経費を明確にします。申告期間(1月~12月)に発行された領収書やレシートを集めましょう。

 

フリーランスの場合、仕事のために購入したパソコンやソフトなどの備品購入費や、勉強のために購入した書籍の購入費はもちろん、クライアントとの打ち合わせに向かうための交通費や、打ち合わせの際の飲食費も経費にできます。

 

経費にできるかの判断の基準は、あくまで仕事に必要な費用かどうかです。経費を大きく見せるために無理をするのは禁物です。フリーランスにも税務署からの調査は入りますから、万が一ペナルティを課せられると本末転倒となります。申告は正しく行いましょう。

 

5-2.支出(経費)を会計ソフトに入力していく

次に、領収書とレシートを、青色申告用の会計ソフトに入力していきます。

 

入力するときは、「科目」を設定します。PCソフトや文房具であれば「消耗品費」、交通費は「旅費交通費」、打ち合わせの際の飲食費は「接待交際費」といった具合です。ソフトによっては候補を挙げてくれるものもありますし、すぐに慣れる作業でもあります。

 

自宅を事務所にしているフリーランスの場合、家賃を「地代家賃」、水道光熱費を「水道光熱費」、インターネットやスマートフォンの通信費を「通信費」の科目で、経費に含めることができます。全額ではなく、仕事で使用する面積や割合に応じての申告となりますが、金額が大きいので忘れずに申告しましょう。

 

5-3.収入を会計ソフトに入力していく

支出(経費)だけでなく、収入も会計ソフトに入力します。銀行口座に入金された額と、請求書を照らし合わせながら、「売上」などの科目で正確に金額を入力しましょう。

 

なお、収入と支出に関しては、毎月こまめに入力しておくとよいでしょう。ギャランティーを受け取った時点で金額のチェックができますし、確定申告の際、まとめて入力する必要もなくなるため一石二鳥です。

 

5-4.ソフトに入力し終えたら申告書を出力する

会計ソフトにすべての収入と支出を入力し終わったら、次は「e-Tax」へ入力するための準備です。

 

基本的には、書類で青色申告するときと同様に申告書を出力し、それを見ながら「e-Tax」に必要事項を入力していく方法になるはずです。(会計ソフトで計算した合計額を「e-Tax」に入力する作業のため、二度手間にはなりません。)

 

会計ソフトによっては、「e-Tax」に直接データを送信できるものもあります。その場合は、ソフトのマニュアルに従って作業を進めましょう。

 

5-5.「e-Tax」をインストールし、ログインする

「e-Tax」にはオンラインタイプもありますが、青色申告のために利用する場合は、PCにインストールして利用するダウンロード型の「e-Taxソフト」が必要です。

 

まずは、「e-Tax」のホームページからソフトをダウンロードし、PCにインストールしましょう。Windowsだけでなく、Macでも利用できます。

 

「e-Tax」をインストールしたら、起動してログインします。ログインのために必要な「利用者識別番号」の取得には7つの方法があります。詳しくはe-Taxのホームページをご覧ください。

 

もっとも手軽なのは、マイナンバーカードでログインする方法です。この方法だと、マイナンバーカードと、マイナンバーカードのパスワード(利用者証明用電子証明書の暗証番号)があればログインできます。

 

5-6.「e-Tax」の指示に従い入力を進める

ログインしたら、「e-Tax」の画面の指示に従って入力を進めていきます。「e-Tax」ソフトは年々改良されており、入力自体はそうわかりづらいものではありません。

 

会計ソフトで作成した申告書の内容に加え、個人的な支出(医療費や保険料、ふるさと納税など)を入力したら、そのまま「e-Tax」の画面で税務署への提出まで完了します。

 

場合によっては、追加で書類の郵送を求められるケースもありますが、「e-Tax」での申告の場合、書類の郵送は不要なことがほとんどです。

 

5-7.年間保管するために、レシートや帳簿をまとめる

「e-Tax」への入力がすべて終わったら、領収書やレシート、帳簿などの書類をまとめておきましょう。

これらは7年間の保管義務があるため、保管場所をしっかり決めて、間違えて捨てないようにしましょう。

 

 

まとめ

このページでは、フリーランスの確定申告への疑問に答えるとともに、確定申告の流れを説明してきました。

 

以前はすべて手書きで申告書類を書き、帳簿を付ける必要があったため、知識のないフリーランスがひとりで確定申告をするのは大変でした。そのため、1~3月になると、税務署に大規模な確定申告コーナーができていました。

 

最近では、ソフトウェアの進化により、オンライン会計ソフトで簡単に帳簿がつけられるようになりました。「e-Tax」も以前よりずっと中身が整理され、わかりやすくなっています。

 

フリーランスがひとりで確定申告を行うハードルは、今までになく下がりました。所得控除を最大限生かすためにも、ぜひ、チャレンジしてみてください。

 
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