トレンドは「ゲームAI」と「神経科学」?

ゲーム技術者が選んだ技術書ベスト3!【2019年版】

#エンジニアブログ

 日々ユーザーから新しいものが求められるゲーム業界では、新しい技術を習得するために情報収集が欠かせません。インターネットに書かれた情報を取捨選択しながら活用することはもちろんですが、一から学習する際に重宝するのが書籍です。特に学習対象を絞る場合、インターネットよりも網羅性が高い書籍はクリエイターのスキルアップを助けてくれる存在ではないでしょうか。

 

 

 今回は多数出版されている技術書の中でも、NPO法人IGDA(国際ゲーム開発者協会)日本が発表した【2019年版】ゲーム開発技術書ベスト3をご紹介します。

 

 その前に、まずは昨年のランキングを見てみましょう。

 

■2018年版は「Unity」関連書籍が大注目

2018年版のベスト3に選出された5冊の技術書は以下のとおりです。

 

・1位

Unityの教科書 Unity 2018完全対応版 2D&3Dスマートフォンゲーム入門講座 / 北村 愛美

 

・2位

Unityの寺子屋 定番スマホゲーム開発入門 / いたのくまんぼう,大槻 有一郎

 

・3位

ゲーム情報学概論- ゲームを切り拓く人工知能 / 伊藤 毅志,保木 邦仁,三宅 陽一郎

Unity&宴「ノベルゲーム」開発入門 / 田中 優樹

Unity2017入門 最新開発環境による簡単3D&2Dゲーム制作 / 荒川 巧也,浅野 祐一

 

 2018年版はベスト3にランクインした5冊中、Unity関連書籍が4冊もランクインしています。ゲーム開発を中心にUnityが注目されていたといえるでしょう。そんな中、唯一の例外としてランクインしていたのがゲームAIに焦点を当てた書籍です。ゲーム開発におけるAIの活用は長い歴史を持っていますが、昨今のAIブームの後押しにより、より賢いゲームAIの在り方が求められつつあるのかもしれません。

 

さて、2018年版のランキングに対し、今年のランキングはどのように変化しているのでしょうか。

 

■ベスト3に8冊がランクイン!

 

 

 それでは早速、【2019年版】ゲーム開発技術書ベスト3をご紹介します。今年はベスト3に8冊が並ぶ混戦となりました。

 

・1位 

FINAL FANTASY XV の人工知能-ゲームAIから見える未来 

著:株式会社スクウェア・エニックス『FFXV』AIチーム

出版社:ボーンデジタル

 

 昨年は3位にランクインしていたゲームAI関係の関連書籍が今年は1位を獲得しました。本書は大ヒットシリーズの最新作「FINAL FANTASY XV」に採用されたゲームAI技術を解説する、極めて専門的な内容の技術書です。あまり初心者向けではない本書が1位を獲得していることから、ゲームAIに対して高い関心を持っているゲーム開発者が増えてきていると考えられます。

 

・2位

ゲーマーズブレイン UXと神経科学におけるゲームデザイン

著:セリア・ホデント、加藤 諒(編集)

出版社:ボーンデジタル

 

ゲームプランナー入門アイデア・企画書・仕様書の技術から就職まで

著:吉冨 賢介

出版社:技術評論社

 

 2位には同数で2冊がランクインしました。前者は神経科学・認知心理学のゲームデザインへの応用、後者はゲームプランナー向けの入門書と、毛色の異なる2冊が並んでいます。中でも注目は前者でしょうか。eスポーツタイトルとして人気を集めている「フォートナイト」などのゲーム制作にかかわっている心理学博士セリア・ホデント氏の著書「The Gamer’s Brain: How Neuroscience and UX Can Impact Video Game Design」の翻訳出版になります。神経科学や認知心理学の知見から『いかにユーザーをゲームにのめりこませるか』を考察しており、ゲームに限らず、魅力的なコンテンツを生み出すための示唆を与えてくれる1冊です。

 

・3位

UnrealEngine4アクションゲームブループリント入門

著:Sig

出版社:秀和システム

 

Unityの教科書Unity2019完全対応版 

2D&3Dスマートフォンゲーム入門講座

著:北村愛実

出版社:SBクリエイティブ

 

CLIP STUDIO PAINTの「良ワザ」事典 

デジタルイラストに役立つ厳選テクニック211

著:株式会社レミック, 平井太朗

出版社:SBクリエイティブ

 

CLIP STUDIO PAINT PROで魅惑的なBLイラストを描く3つの流儀

著:戸森あさの、花守絃、kanco 

出版社:秀和システム

 

ビデオゲームの美学

著:松永伸司

出版社:慶應義塾大学出版会

 

 3位はまたも同数により、計5冊がランクイン。Unreal Engine、Unity、CLIP STUDIO PAINTのゲーム開発技術書が並びました。特に2018年版のランキングには選出されていない、CLIP STUDIO PAINTの関連書籍が2冊ランクインした点に注目です。もともとマンガやイラスト制作用に人気のツールではありますが、ゲーム業界のクリエイターから関心を集めているようです。また、数少ない人文系として「ビデオゲームの美学」がランクイン。芸術哲学の観点からゲームを考察した、珍しい一冊です。

 

■クリエイターに求められる傾向を反映?

 

 

 現代のクリエイターは単に指示された業務を処理していくだけではなく、時には自ら企画を提案するなど、プロジェクト全体を俯瞰する姿勢が求められます。そのためには専門分野のスキルアップはもちろん、技術トレンドの変化や世間のブームなど、多様な視点からのインプットが重要です。

 

 それらを踏まえて、各年度のランキングを比較して見ましょう。Unityの技術書が上位の大部分を占めた昨年と比べ、今年は様々なテーマがバランスよく分布していることがわかります。クリエイターに求められる業務は時代にあわせて常に変化しているため、今後は一つのスキルに特化しているだけではなく、多彩な知識から物事を考えられることが求められるのでしょう。

 

■クリエイターのスキルアップを応援!

 クリエイターのインプットに欠かせない技術書ですが、自分で購入するとなると、他の書籍に比べて価格が高いのがネックですよね。エクストリームでは「書籍購入補助制度」を利用して、技術書を購入できます。また本社内にある「エクストリームライブラリー」では多種多様な書籍を閲覧する事ができ、クリエイターのインプットの場として活用されています。 

 

エクストリームにご興味のある方は、ぜひ以下のページをご覧ください。

<キャリア採用に関する情報はこちら>

https://www.e-xtreme.co.jp/career/

 

<会社制度・福利厚生はこちら>

https://www.e-xtreme.co.jp/environment/

 

■調査方法ほか

調査方法:Webアンケート

調査対象:2018年7月1日~2019年6月30日の1年間に出版されたゲーム開発技術書

出典URL:https://www.igda.jp/?p=10216 

 

また、2017年版はこちらの記事をご覧ください

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