今これがあつい、IoT技術の発展とシステムエンジニア

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IoTというワードは、かなり世の中に浸透しているのではないでしょうか。それほどIoTに対する注目度は高く、今後多くの業界でニーズのある技術になることが予想されています。現在、日本は人口減少と少子高齢化が進んでおり、各業界で人手不足が深刻な問題となっています。また、働き方改革の担い手として、長時間労働の改善にも大きな期待が持たれています。「IoT」はこの問題の解決の手段としても関心を集めています。

 

 

IoTとは

「IoT」とは、「Internet of Things」の略で、「モノのインターネット」と訳されています。IoTを利用することで、インターネットを介した、モノとモノ、モノと人がコミュニケーションを取れるようになります。モノが別のモノや人に情報を送り、その情報をもとに適切な行動をとることができるようになります。たとえば、自動販売機にIoT技術が使われているとどうなるでしょうか?自動販売機はインターネットを介して釣り銭や商品在庫の情報、季節や地域の販売傾向などを営業担当に伝えることができます。収支の確認、在庫管理、などの負担を減らすことが可能になる、というように、IoTを活用することで効率的な対応が可能になります。

 

IoT技術が利用される世界

 

 1.家電

家電ではすでにIoTを利用した機能が多く開発されており、今後も各企業が開発に力を入れていくことが予想されます。外出時にスマホから家電の電源のON・OFF操作ができたり、帰宅時間に合わせて部屋の温度や湿度を調整したり、空気が汚れている場合は空気清浄を自動で行うなど、多くのIoT家電が開発されています。

 

 2.自動車

自動車業界では今「CASE」という言葉が注目されています。CASEとは、「Connected(コネクテッドカー)」、「Autonomous(自動運転車)」、「Shared(自動車のシェアサービス)」、「Electric(自動車の電動化)」の4つの頭文字を取ったワードで、この4つを軸に自動車業界は変革していくことが予想されています。たとえば、「C」は「自動車のコネクテッド化」を意味していて、今後自動車そのものがインターネットに常時接続されることになります。事故が起こった時にその位置情報や衝突時の速度などの情報を自動送信し、消防やドクターヘリの出動が要請できる機能がすでに開発されています。その他にも速度やブレーキの回数などを収集し保険料を決定する仕組みの導入などに検討されています。

 

 

3.農業

人手不足が深刻化している農業では、特にIoTの導入に期待が持たれています。センサーを利用して畑を監視し、見回りの回数を減らしたり、時間になったら自動で水を撒いたりなど畑での作業負荷を軽減します。また、スーパーでの農産物の売れ行きをリアルタイムで把握するシステムを利用することで、市場のニーズに合った生産計画を立てることできるようになりますし、ノウハウをデータとして蓄積し、他の農家へも共有できるようにすることで生産性を向上させる仕組みも検討されています。

 

4.スポーツ

IoTの技術はスポーツ業界へも応用されています。センサーを組み込むことでリアルタイムに心拍数、呼吸数、体温などを計測できるスポーツウェアや、スピンの量、打球の速さ、打点の場所などを記録して練習に役立てることができるテニスラケットなどが開発されています。

 

5.介護

介護も人材不足が課題でIoTの活用が注目されています。介護職の労働環境の改善や、高齢者の健康へのサポートとして、高齢者の見守り、外出時のサポート、センサーを利用したバイタルの管理などにIoTは利用されております。

 

IoTを利用したシステム開発プロジェクトでSEに求められるスキル

IoTの開発プロジェクトで活躍していくためには、そのプロジェクトに合わせた知識を勉強していく必要があります。学習するプログラミング言語は、IoTの開発現場で利用されているものを選択するようにしましょう。スマホ開発はIoT開発と結びつくので、iOSアプリの開発で利用される「Swift」やAndroid開発で利用される「Kotlin」は習得しておきたい言語です。また「IoTシステム技術検定試験」など検定試験を利用することで包括的な知識も得ることができるでしょう。

 

また、エンジニアにはIoT端末で集めたデータを活用する視点も求められます。たとえば、「スマートフォンから集めた購買履歴などのデータを分析し、その情報をマーケティングに活かす」など、収集したデータを有効利用することでIoTは価値を生み出します。このようなデータ分析や活用で課題を解決する専門職は一般的に「データサイエンティスト」と呼ばれますが、エンジニアにおいても、そこまでの専門性とは言わないまでもデータを活用する視点を持つことは、この領域においては特に有用になってきます。

 

加えて、IoTを利用する上ではサイバーセキュリティに関する知識も重要になります。IoTを実装すると今までと比べ物にならない数の端末を利用することになります。監視が難しいことや、セキュリティに何かあった場合は被害が大きくなることが懸念されています。セキュリティに対する基準やガイドラインを利用し、IoT技術を安全に利用できるように環境を整えることが重要です(たとえば、自動車業界では「WP29」という国際基準が作成されています。)。

 

 

IoTは日本の社会課題も手伝って今後も市場が拡大して、既存システムについてもIoT技術を利用してできた多くのモノとデータ連携していくことが予想されます。ですので、プログラマーやシステムエンジニアとして直接的な開発には携わらない場合でも、IoTに関する基本的な知識を得ることと今後の展開に注目していくことで自身の可能性を広げていくことができるでしょう。

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