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日々進化を遂げる生成AI。開発の世界においても、生成AIはもはや「未来の技術」ではなく「現場の標準装備」とみなされるようになりつつあります。一方で、実際にAIをどのように使っているのかについては、同じ業界や職種でも大きく違いがあるようです。
そこでエクストリームに所属する技術者を対象に、AI活用に関する実態調査を実施。AIを「試行」する段階を終えた技術者が、AIをどのように「実装」しているのか、リアルな声を探っていきます。

まず、AIをどのくらいの頻度で使用しているかを見ていきましょう。
アンケートの回答として、約半数が「ほぼ毎日利用している」と回答し、次いで「週に数回程度」という層が続きました。両者をあわせると、AIを日常的に活用していると考えられる層が、全体の四分の三に達します。一方で、「月に数回程度」「一度も使ったことがない」「以前は使っていたが今は使っていない」という層も一定数存在するようです。
エクストリームは、AIにすでに日常的に慣れ親しんでいる層と、まだその恩恵に触れていない層という、二極化の過渡期にあると言えるでしょう。しかし、ボリュームゾーンが日常的な利用にシフトしている事実は、AI活用が個人の趣味の領域を超え、プロフェッショナルとしての必須スキルになりつつあることを示しています。

それでは、日常的にAIを使っている層、AIを活用することでどのような効果を感じているのでしょうか。アンケート結果では、4割が1日に1時間以上の時短を実現できたと回答しました。そのうち、2時間以上の時短を実現した層は15%にも上ります。
30分から1時間の時短を実現したと回答した層は3割で、1時間以上の時短を実現した層と合わせると、7割が明らかな時短を実感していることが分かります。
時短を実感した層の数は、AIを日常的に活用している層の数と一致していることから、「AIを日常的に活用しているから時短を実現できた」または「AIによって時短を実現できたので日常的に活用している」という関係が成り立っている可能性がありそうです。

また特筆すべきは、AIが単なる効率化の道具ではない点です。回答者のうち8割が「成果物の質の向上」を感じていると回答しました。
「早く、かつ高品質に」。かつてはトレードオフの関係にあったこの二者が、AIという新しいツールによって両立され始めているといえるでしょう。

エクストリームの技術者は、具体的にはどの工程でAIを利用しているのでしょうか。最も多かったのは、「コーディング」で70名でした。また、コードを書かせるだけではなく、開発に必要な要素「デバッグ」「テストコード作成」「リファクタリング」にも、多くの回答が集まっています。
また、下流工程だけではなく、上流工程の業務にもAIを活用している回答がありました。たとえば「要件整理」「設計」「UI/UX設計」のような、かつて人の手のみでおこなわれた抽象的な業務にも、AIが介在できるようになったことが分かります。さらに、開発業務と並び、「ドキュメント作成」、「学習・調査」など、一般的な業務にも回答が集まりました。
注目すべきは、「その他」と回答した33名の存在です。ここには、既存のカテゴリに収まらない「独自のプロンプトによる自動化」や「ニッチな課題解決」などが含まれていると考えられます。AIはもはや、ある業務に特化したツールではなく、エンジニア個人のニーズや個別事象に合わせて活用できる万能ツールになっていると言えるでしょう。

具体的な利用ツールとしては、ChatGPTとGeminiが二強として君臨しています。また、開発環境に統合されたGitHub Copilotの利用者も多く、用途に合わせて複数のツールを使い分けている実態があるようです。
興味深いのは、ここでも「その他」という回答が非常に多いことです。Claude、Cursor、Notion AIといった新興勢力から、画像生成のAdobe Fireflyまで、エクストリームの技術者は特定のツールに固執するのではなく「今、最も自分の課題を解決してくれるツール」を取捨選択しているように思われます。
また昨今、生成AIの技術進化がさらに勢いづいていることから、半年後には全く異なるツールが主流になっている可能性も十分にあるでしょう。

アンケートの結果、AIを活用している層は、明らかな時間的余裕と成果の質を手に入れていることがわかりました。それでは、「AIをまだ活用できていない」「これから活用したい」「今よりもっと活用したい」と考えている層はどうすればよいのでしょうか。
AIを活用しようとすると、特定のツールの使い方を覚えるだけでは不十分です。「この工程、AIで効率化できないか?」と常に自問自答し、最適なツールを選び取り続けることが重要でしょう。
AIをさらに活用するために、今日から実践できる3つの提案を以下にまとめました。
漠然と「何かでAIを使おう」と考えると、何から始めるべきなのか見えづらくなってしまいます。まずは1週間の自分の業務を書き出し、以下の3軸でプロットしてみましょう。
【作業的業務】:(例:テストコード作成、単純なリファクタリング)
【思考的業務】:(例:アルゴリズムの検討、エラーの調査)
【創造的業務】:(例:サービスの価値定義、チームビルディング)
一般に、創造的な業務は人間が集中すべき業務、作業的な業務はAIに委託することで効率化しやすい領域といわれています。また思考的業務は、AIとの対話によって加速する可能性があります。
具体的な業務を分類することで、どの業務であればAIを活用できるかを検討しやすくなるでしょう。
今回の調査で「その他」の回答が多かったのは、多くのエンジニアが新しいツールを常に試している証拠だといえます。また日進月歩のツール進化に追いつくためには、日々の業務から切り離した時間として、意識的にAIを使ってみる機会が不可欠です。
たとえば、「毎週金曜の最後の1時間は、新しいAIツールを触る」といったルールを自分の中に作りましょう。ChatGPTでやっていた作業をClaudeで試してみる。話題のツールをインストールしてみるなど、少しの好奇心の積み重ねが、半年後の生産性の差を生むかもしれません。
AIは特定の業務ではなく、さまざまな業務で活用できる可能性がある一方、類似した業務に取り組んでいるチームメンバーであれば、ノウハウを共有できる可能性は十分にあります。AIの使い方は個人のPCの中に閉じるのではなく、チーム内でライトな共有会を開いてみてください。
「このプロンプトでコードレビューが劇的に楽になった」といった、現場の知恵を交換することで、組織全体のナレッジが底上げされるかもしれません。
AIはエンジニアから仕事を奪うものではなく、エンジニアを「本来やりたかったはずの創造的な仕事」へと回帰させるためのツールです。「AIを活用しない層」にとどまるか、それとも一歩を踏み出すか。その選択は、他でもないあなた自身に委ねられています。まずは明日、一つの業務、一つの問いかけから。その行動が、将来の生産性を大きく左右します。
エクストリーム技術者への調査を通じて、AI活用の現在地が浮き彫りになりました。
・「日常化」の波: 技術者の4分の3が日常的にAIを活用し、すでに標準装備化している。
・圧倒的な実利: 7割が時短を実感し、8割が「成果物の質」の向上を体験している。
・万能ツール化: コーディングから要件整理、学習まで、活用の幅は全工程に広がっている。
AIの進化は止まりません。大切なのは、特定のツールに精通すること以上に、「いかにAIを自分の武器として組み込むか」を模索し続ける姿勢です。
・業務を可視化し、AIに任せる領域を決める。
・週に1時間でも、新しいツールを試す時間を作る。
・得た知見をチームに還元し、組織でアップデートする。
このサイクルを回し続けることこそが、AI時代におけるエンジニアの最強の生存戦略となるといえるでしょう。