サウジアラビアから「キディア・ゲーミング」も参加

東京ゲームショウ2024現地レポートで垣間見る業界動向

#eスポーツ

2024年9月26日から29日、幕張メッセにて日本最大のゲーム見本市「東京ゲームショウ2024」が開催されました。

 

今年は出展社数、出展小間数ともに過去最多となり、主催者発表による4日間の総来場者数歴代2位となる27万4739人を記録。年々規模を拡大し続けている東京ゲームショウの模様をeスポーツ関連の話題を中心にレポートいたします。

 

PCゲームの浸透で出展内容も変化

 

東京ゲームショウ2024には国内外のソフトウェアメーカーが中心となって数多くのブースを出展。近年はインディーゲーム関連の小規模な出展が続いていた国内大手ゲームメーカーの「ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)」も2019年以来となる一般展示で「プレイステーション」ブースを展開し、多くの来場者が詰めかける人気エリアとなっていました。

 

 

展示内容の傾向としては、ここ数年で日本でもPCゲーム市場が拡大している状況を反映してPC向けタイトルの出展や大規模ブースの設置が増加している印象で、反比例するようにスマートフォン向けタイトルの大規模なブース出展はあまり見られなくなりつつあります。

 

そしてPCゲームの盛り上がりに呼応するようにデバイス関連の展示や家具・防音室などデスク環境周辺への参入と展示が一層盛んに。出展社分類として昨年開催で新設された「ゲーミングライフスタイルコーナー」と「ゲーミングハードウェアコーナー」が今年も設置されており、ソフトウェアだけでなく周辺業界の盛り上がりが反映された会場内の光景となっていました。

 

また、海外からは韓国や北米のメーカーが数多く出展していた他、香港やシンガポール、マレーシアなど「国単位」でブースを構える例も多く、自国企業が開発したタイトルを展示。特にインディーゲームコーナーではスペインやポーランド、スウェーデンなど欧州諸国からの出展も目立ち、国際色豊かなエリアを形成していました。

 

業界向けのエリアではAI関連技術を紹介する「AIテクノロジーパビリオン」が初めて設置されており、主にゲーム開発で活用可能なAI技術が多数紹介されていたのも“TGS2024ならでは”の光景でした。

 

サウジアラビアからもブース出展。eスポーツ大会は少なめに

 

eスポーツに関連してはビジネスデイに隣接会場にて実施されていたBtoBセミナー「TGSフォーラム」にて「日中Esports産業交流」をテーマとするセッションが組まれるなど変わらず高い注目度を感じさせ、来春に第二回を迎える「日本eスポーツアワード」に向けたトークイベントも実施されていました。

 

会場内に目を向けてみると「eスポーツコーナー」に分類される出展社は前述のようなデバイス関連が殆どでありその数は多くありませんでしたが、今回は一般展示にeスポーツチーム「ZETA DIVISION」が大規模ブースを出展し、大きな存在感を放っていました。

 

「ZETA DIVISION」は“2024年8月にTwitchで最も視聴されたeスポーツチーム”となるなど、国内外で大きな人気を集めているトップチームのひとつ。ブースでは所属プロ選手や人気ストリーマーによるトークイベントやミート&グリートが実施され、場内でも屈指の賑わいを見せるエリアとなっていました。

 

そして大きなトピックと言えるのが、サウジアラビアからの「Qiddiya Gaming」の出展です。eスポーツワールドカップの運営にも携わった「Qiddiya Gaming」のブースでは、サウジアラビア・リヤドのエンターテインメント都市「キディヤ・シティ」を再現したブースを展開。来場者へのプレゼント企画やインフルエンエンサーによるトークショーを行い、日本での知名度獲得に向けて精力的なアピールを行っていました。

 

サウジアラビアでは2025年に国際オリンピック委員会(IOC)によるeスポーツ世界大会「オリンピック eスポーツゲームズ」の第1回大会の開催も決まっており、これからゲーム・eスポーツの中心地へと進出していく過程で日本マーケットも強く意識していることが感じられる展示だったと言えるのではないでしょうか。

 

そうした来場者へのPRや選手との交流会などのイベントが数多く行われていた一方で、過去によく見られていたTGS会場内での競技大会の実施が見られなくなったのは大きな変化のひとつです。

 

もちろん今回がスケジュールの都合であまり見られなかっただけという可能性もありますが、昨今は大規模なeスポーツタイトルほど独自のリーグや大会の形式を確立しており、TGSというイベントの場を活用せずとも十分に運営していける環境が整ってきていることの証明であるとも考えられます。

 

ストリーマー同士での対戦ステージなどはまだまだ数多く行われており、プロゲーマーが出演するケースも珍しくなかったため、「対戦イベントでのプロモーション」と「競技的対戦の場」を明確に分けて運営されるようになり始めているののかも知れません

 

今年は厳しい暑さが長引いていたこともあり開催状況も心配された東京ゲームショウですが、会期直前から少し秋めいた気候が訪れ、晴天にも恵まれたた一般公開日は大きな賑わいを見せていました。

 

2025年の開催日程も9月25日から28日の4日間と例年通りのスケジュールが既に発表されており、日本のゲーム業界の動向を反映するイベントとして今後も注目が集まります。

 

掲載日:2024年10月7日

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