2019年 eスポーツ界の展望

#eスポーツ

前回の記事では2018年の日本eスポーツ界5大トピックを紹介いたしました。今回の記事では、2019年に日本に限らず世界のeスポーツ界の展望を紹介していきたいと思います。

 

eスポーツとブロックチェーンの融合

実はeスポーツと、仮想通貨に用いられるブロックチェーン技術は非常に相性がよく、ブロックチェーンの浸透はeスポーツの発展をさらに加速させる可能性がありますが、日本ではまだあまり注目されていません。

 

 

ブロックチェーンとeスポーツの相性が良いのは、現在のeスポーツ人気を支えているのが「プロゲーマーやインフルエンサーとファンの、動画配信プラットフォームにおける双方向のやりとり」であることと関係があります。動画配信プラットフォームというのはYouTubeやTwitch、ニコニコ動画などのことですが、これらの配信プラットフォームでは、従来のテレビのように流れてくる映像を受け身で見ているだけでなく、生放送中の配信者にチャットでメッセージを送信し、その場で返答をもらったり擬似的な会話をしたりすることができます。

 

送信できるのはメッセージだけではありません。多くの配信プラットフォームでは視聴者から配信者への「投げ銭」、つまり送金が可能です。視聴者はお金でもって配信者を応援したり、自分の存在をアピールしたりすることができます。この「投げ銭」は世界中で盛んに行われており、「投げ銭」市場だけでもかなりの規模と言われています。

 

ブロックチェーンの浸透により「投げ銭」に代表される「お金」――用途が限定されたものも含めて――のやりとりはさらに盛んになると見られます。賭博規制の厳しい日本では難しいかもしれませんが、オンラインのゲームコミュニティ大会の賞金を仮想通貨で出したり、コミュニティ大会の勝敗予想で「賭け」をしたりするようなことも盛んになるかもしれません。

 

投資額のさらなる拡大

前回の記事でもお伝えしたとおり、昨年日本国内でも賞金金額が1億円を越す大会が開催されました。また、多くの企業がスポンサーとしてeスポーツに参入した結果、国内のeスポーツの市場規模が2017年の13倍になりました。世界的にも、調査会社Newzoo社によると2018年のeスポーツ市場は2017年から38.2%成長したと見られており、主要因はやはり「eスポーツが企業・商品・サービスのブランディングの手段として活用されている」ことのようです。今年はその流れがさらに拡大すると見込まれます。

 

eスポーツ界の「お金の流通量」は「大会の賞金額」という形でわかりやすく表れます。昨年にサービスを開始したばかりの米Epic Gamesのバトルロワイヤルゲーム「フォートナイト」は、またたくまに「世界で最も視聴されているゲーム」となりましたが、そのフォートナイトは、賞金総額1億ドルの大会を今年開催すると発表しています。これまでのeスポーツ最高賞金総額であるDota2の約2,500万ドルの実に4倍の金額です。賞金総額5,300万ドルであるテニスの全米オープン(2018年)をも上回り、賞金総額3億2750万ドルであるゴルフのPGAツアー(2017年)の背中が見えてきました。(越えることを目標にしているかどうか分かりませんが…)

 

これだけのお金がまわるということは、ゲームで生計を立てることのできる人の数が、つまり「プロゲーマー」の数そのものが増加することが予想されます。これまで「良く分からない」存在だったプロゲーマーの裾野が広がり、多くの人にとって身近な存在になるかもしれません。

 

eスポーツによる地域活性化/地方公共団体のeスポーツ活用

昨年日本において “eスポーツ” という言葉が人口に膾炙したことで、多くの人がeスポーツの重要な特徴に気づいたのではないでしょうか。それは、比較的シンプルな手続きで「人を集められる」こと、それも「若者を中心に幅広い層を集められる」ことです。従来のスポーツをやるときのような広い場所や設備は必要ありません。また、競技への参加の敷居も低いといえます。PCゲームやコンソールゲームであればデバイスのセッティングが必要ですが、モバイルゲームであればそれさえも必要ありません。さらに、現地に来られない人には「オンライン参加」という選択肢を用意することもできます。

 

 

そういうわけで、昨年から日本でもeスポーツによる地域活性事例が目立ってきました。以前紹介したように金沢市ではeスポーツ大会開催のための人材育成やゲーム関連企業の誘致のために市の予算が計上されました。さらに年始早々、東京都がeスポーツ競技大会の開催を目的とし、来年度予算に5,000万円を計上したというニュースが飛び込んできました。そして今年、茨城県が主催する第74回国民体育大会および第19回全国障害者スポーツ大会では、史上初となるeスポーツの「都道府県対抗戦」が実施されます。

 

こういった自治体の公式な動きのほかにも、各地域でさまざまなeスポーツ団体が発足しています。日本eスポーツ連合(JeSU)も今年1月より地方支部を開設し、こうした動きを支援していく見込みです。eスポーツが多くの従来のスポーツと同じように、「地域」に根ざしたものとなれば、地元だからという理由で多くの人がチームを応援してみようという気持ちになるかもしれませんし、応援や試合参加のための地域間の移動も盛んになるでしょう。

 

eスポーツの発展には、「みんなで集まってゲームをやるコミュニティ」の存在が欠かせないということがこれまでずっと言われてきました。2018年には全国津々浦々でコミュニティの芽がいっせいに芽吹いてきたといえますが、そのような「草の根コミュニティ」がどのように成長していくかが2019年eスポーツ界で最も注目するべきポイントなのかもしれません。

 

参考記事

Blockchain, Jordan and Generation Z: Why the Global eSports Market is Set to Explode

The Undeniable Truth Of Blockchain Technology In Esports

The explosive growth of eSports

eスポーツ競技大会開催へ 東京都、2019年度で予算化

関連する記事

To top