2019年の日本eスポーツ界の振り返りと2020年の展望

年を追うごとに、日本国内でもeスポーツへの注目が集まるなか、2019年9月には経済産業省と一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が、「eスポーツを活性化させるための方策に関する検討会」を発足。法規制なども含め、国の施策として本腰を入れ始めています。各地で規模の大きい大会が開催されるようになり、日本のeスポーツ界もここ数年で環境が一気に整ってきました。

 

 

 

■スポーツ競技として認知が進んだ2019年

2019年は「eスポーツ」が「スポーツ競技」として認められる動きが進み、2019年9月~10月の「いきいき茨城ゆめ国体」では、eスポーツ大会「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」が2日間にわたり同時開催。都道府県予選には約1万5,000人がプレイヤーとして参加し、大会当日は600人の選手に、2,500人もの来場者が集まり、かなりの盛り上がりを見せました。

 

正式種目ではなく、文化プログラムとしての実施でしたが、国民的なスポーツ行事として認知されている国体(国民体育大会の略)でeスポーツの大会が開催されたことは、日本のeスポーツ普及において、とても大きな一歩だったと言えるでしょう。

 

■eスポーツ日本代表が世界でも活躍

2019年12月12日から14日に韓国で開催された国際eスポーツ連盟(IESF)が主催するメジャーな国際大会「第11回eスポーツ ワールドチャンピオンシップ」に日本代表も参戦。競技は、「ウイニングイレブン 2020」、「鉄拳7」、「Dota2」の3タイトルで争われ、世界46の国や地域のeスポーツ協会から選出されたプレイヤーがしのぎを削りました。

 

日本からは、よしもとゲーミング所属のうでぃ選手や、タケ。選手、TeamMay(Suan選手、Arab選手、野球犬選手、うたたねかえる選手、toyomaru選手)たちが代表として出場。「ウイニングイレブン 2020」と「鉄拳7」で準優勝、「Dota2」では8位を獲得し、見事、総合優勝を勝ち取るという輝かしい結果に。昨年までは3年連続で韓国代表が総合優勝をしているところをストップした形となり、国内選手の技術力が確実にアップしてきたことが証明されました。

 

 

■国内の法整備も進む

日本国内ではeスポーツの興行化が始まったばかりで、法整備がしっかりと進んでいなかった面が見受けられましたが、2019年9月に開催された東京ゲームショウのステージ上で、日本eスポーツ連合(JeSU)からeスポーツに関連する法規制についての発表がありました。

 

経済産業省、消費者庁など各省庁と連携し調整した結果、ある一定の条件で、賞金が仕事の報酬などの提供と認められた場合、プロ・アマともに現況の景品表示法は適用されないという結論を導き出せたとのこと。また、プレイヤーから参加料を徴収してその一部を賞金とするような大会の開催に関しても、一定の条件を満たせば認められるとの判断がくだされました。

 

世界を見渡すと、億単位の高額賞金が飛び交うeスポーツ。今までの国内大会では、景品表示法の関係で大会賞金は低く抑えられていましたが、2020年からは億を超える賞金が設定される可能性が出てきました。もちろん賞金だけが重要な要素ではないですが、eスポーツの盛り上がりを後押しする意味でも歓迎される流れでしょう。

 

練習などでも必要なeスポーツのプレイ施設を、営業時間や年齢制限などで規制されるゲームセンターとして扱うのかなどの風営法問題もまだ解決されてはいませんが、日本eスポーツ連合(JeSU)が中心になり、順次、解決していくと思われます。

 

 

■2020年、日本のeスポーツ界はどうなっていく?

今年の茨城国体の流れを受けて、2020年には、鹿児島国体でもeスポーツの都道府県対抗選手権が開催されることが決定しました。茨城国体の成功などを受けて、日本各地の自治体が観光資源としてeスポーツ大会に注目しており、「eスポーツツーリズム」として、大会を積極的に誘致する動きが出てきているようです。

 

東京オリンピックと併せてインテル社主催のeスポーツ大会「Intel World Open」が開催されるなど、eスポーツが国内でより「スポーツ競技」としての認知が進み、国際化にも対応していくことは確実です。

 

また、コナミが日本初の音楽ゲームプロリーグを設立、日本エイサーが主催する「eスポーツMaX GAMING FESTIVAL in Sunshine City」の開催、国際サッカー連盟(FIFA)が5月に主催するサッカーゲーム国際大会に向けて日本サッカー協会(JFA)が「eサッカー日本代表」を結成するなど、2019年の年末にかけて立て続けにeスポーツ界で大きな発表がありました。

 

KADOKAWAグループでeスポーツ事業を展開するKADOKAWA Game Linkage(元Gzブレイン)の試算によると、国内のeスポーツ市場は、2018年に約48.3億円だったものが、2022年には倍増して約99.4億円に達するとのこと。また、2018年の日本eスポーツファンは383万人だったのに対し、2022年には786万人まで成長するという見通しを立てています。

2020年は、「eスポーツ」が「スポーツ競技」としても、「ビジネス」としても認知され、環境がさらに加速して整備されていくと思われます。