Super Girl Gamer Proの開催とその背景

#eスポーツ

北米日産が定期的に開催するSuper Girl Proというイベントがあります。このイベントは主にSuper Girl Surf ProとSuper Girl Snow Proの2つのイベントから成り立っており、それぞれ女性サーファー、女性スノーボーダーのためのイベントです。サーファー、スノーボーダーの競技を中心として、その周辺で女性ミュージシャンによるライブや、女性アーティストによるアートイベントが行われ、様々な分野で活躍する女性に注目を集めることで女性の地位向上に貢献するというのが全体の主旨になっています。

 

さて、この7月に行われる今年のSuper Girl Surf Proは米国カリフォルニア州のオーシャンサイドにて開かれ、付随するイベントとして、27日土曜日から今年で3度目になるSuper Girl Gamer Proというeスポーツのイベントが開かれます。女性のゲーマーだけを集めたeスポーツ大会で、タイトルが幅広く、Fortnite、League of Legends、ハースストーン、スマッシュブラザーズ、CS:GOと、他にもいくつかある女性eスポーツ大会と比べて特にタイトルの数が多く、大規模なイベントになっています。

 

スポンサーの顔ぶれに目を向けると、レノボやROCCAT、ゲーミングチェアのDXRacerなどのゲーミングPC関連のメーカーと、米軍、そして主催者の北米日産が並んでいます。他のeスポーツ大会とほぼ同じ企業です。女性のeスポーツ大会では、昨年ポルトガルで行われたGIRLGAMER Esports Festivalというイベントで大手化粧品ブランドのセフォラがスポンサーとなるなど、「女性向け」ならではのスポンサードがされる場合もありますが、その他のところでは意外と他のeスポーツ大会と変わらない側面もあります。

 

 

イベントの公式Webサイトによると、これまで若い女性が過小評価されてきた分野で女性に機会を提供するというのがイベントの主旨ですが、eスポーツの世界もまだまだそのような分野であるというのは否めません。フォーカスされる選手はほぼ全員男性であるということをはじめとし、そもそもゲーム産業自体の構造が男女差別的だとしてアメリカではしばしば大きな議論が起こります。そういった文脈の中で “Super Girl Pro” イベントのなかにeスポーツは登場し、普段なかなか取り上げられることのない女性プレイヤーの挑戦に焦点をあてようとしています。

 

フィジカル・スポーツと違い、身体能力の差による競技への影響が少ないといわれるeスポーツでは、適切にスポットを当てることで女性のさらなる活躍を期待できる側面は大きいといえるでしょう。先日紹介した、2019年に登場した新ジャンル「オートバトラー」のタイトルのひとつ、「リーグ・オブ・レジェンズ:チームファイト・タクティクス」では、テストサーバーの段階ではありますが、ハースストーンのプレイヤーとして知られるHafuという女性が全プレイヤーランキングで1位となりました。ただ、そういった例はまだまだ稀ではあります。

 

eスポーツでこのようなイベントをやる意味はもうひとつあります。eスポーツは他のスポーツ競技と比べても女性の参加者や観戦者の割合が高いことです。テンセントの調査によると中国におけるeスポーツの「プレイヤー」の24%が女性です。観戦のみ行う非プレイヤーも含めれば、女性の「eスポーツファン」は相当な数にのぼります。にもかかわらず、eスポーツの世界では女性の活躍にスポットが当たらないばかりか、今もってゲーマーコミュニティの課題ですが、女性を排除しようとする言説が蔓延していることが指摘されています。そういったコミュニティの空気を変えるのもこのようなイベントの使命であるといえるでしょう。

 

【参考記事】

Natasha Bedingfield to Headline Nissan Super Girl Pro’s 13th Anniversary Concert Series Featuring 21 Free Concerts July 26-28 at the Iconic Oceanside Pier

ASA Entertainment’s Super Girl Gamer Pro Event Returns for Third Year

 

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