自律型AIエンジニア「Devin」の実力とは? 料金・ACUの仕組みや日本国内の動向を解説

#エンジニアブログ

 

生成AIの進化により、開発現場では「コード補完」を目的としたAIの活用が当たり前になりつつあります。そして最近は、自律的にタスクを完遂する「AIエージェント」へのシフトが始まっています。

 

その筆頭として注目を集めているのが、米Cognition AI社の自律型AIエンジニア「Devin(デビン)」です。国内の大手企業との連携も始まっており、実用化に向けた動きが加速しています。

 

ここでは、Devinの機能や従来のAIツールとの違い、料金体系、国内企業での利用の動向などについて解説します。

 

Devin AIとは? 何が「世界初」ですごいのか

画像出典:https://devin.ai/

 

まずは「Devin(デビン)」の概要から解説します。従来のツールとの決定的な違いや、最新版で追加された機能を見ていきましょう。

 

「副操縦士(Copilot)」から「エンジニア」へ

これまで多くのエンジニアが愛用してきたAIツールに「GitHub Copilot」や「Claude Code」などがあります。これらは、メインはあくまで人間であり、AIからの提案を採用するか、修正するかは人間が判断する必要がありました。

 

しかし「Devin」は、「エンジニア」として設計されている点が大きく異なります。Devinに渡すのは具体的なコードの指示ではなく、タスクやゴールです。

 

例えば、作りたいアプリと、使用する言語やフレームワークを指定すれば、Devinは自ら計画を立て、環境構築を行い、コードを書きプレビューまで行います。

 

失敗しても自分で直す「自律的な試行錯誤」

Devinは「一発で正解を出せる」わけではありません。しかし、「失敗しても自分でリカバリーできる」ように作られており、それこそが、これまでのAIツールと大きく違う点です。

 

人間と同じように、Devinが書いたコードもエラーになることは少なくありません。しかし、Devinは自らエラーの内容を検証し、インターネットで公式ドキュメントやStack Overflowを検索、原因を特定してコードを修正し、再度テストを実行します。

 

これまで人間のエンジニアが行っていた「実装、テスト、調査、修正」という試行錯誤のループを、高速で回し続けられることこそが、「完全自律型」と呼ばれるDevinの強みと言えます。

 

「Devin 2.0」はさらにパワーアップ

2025年4月にリリースされた「Devin 2.0」では、さらに機能が強化されました。

 

「Parallel Sessions」は、「Aのバグ修正」をしている間に、「Bの新機能追加」を別のDevinに依頼する、といった使い方が可能になる機能です。

 

「Deep Mode」では、数千ファイル単位のプロジェクトを読み込んで、人間では特定が困難な依存関係やバグの原因を深く解析できます。

 

そして「DevinWiki」では、プロジェクトの仕様書やドキュメントを自動生成し、チームの知識共有をサポートします。ドキュメント作成の負担が大幅に減り、エンジニアは他の業務に時間を割けるようになります。

 

Devin AIの使い方は?日本語でも開発できるのか

Devinは導入ハードルが低く設計されています。アカウント作成から実際の開発フロー、そして日本語での活用法について紹介します。

 

アカウント作成から開発開始まで

Devinの公式サイトからアカウントを作成して、GitHubアカウントと連携すれば、すぐにDevinを利用できます。ブラウザ上で完結する「Devin IDE」が用意されており、ローカルでの面倒な環境構築は不要です。

 

Devin IDEには、チャット、コードエディタ、ブラウザ、ターミナルが統合されており、Devinがコーディングする様子をリアルタイムで眺められます。

 

日本語対応の現状とコツ

Devinでの指示はチャットで行います。UIは英語がベースですが、多くのケースで日本語が通じる状況です。

 

「〇〇の機能を実装してほしい」「このバグの原因を調べて」といった自然言語で依頼すれば、Devinは意図を理解して作業を開始します。

 

ただし、日本語は公式サポートが保証されているわけではなく、「DevinWiki」で生成するドキュメントや、調査過程のログなどは英語ベースです。作業内容によっては翻訳ツールを使いながら進めていくことになるでしょう。

 

使いこなすコツは「優秀な新卒エンジニア」として接すること

Devinは優秀ですが、曖昧な指示では期待と違うものが出来上がってしまうことがあります。重要なのは、「要件定義」「ゴール」「制約条件(使用するライブラリのバージョンなど)」を明確に言語化して伝えることです。

 

こうした接し方のコツは、「優秀な新卒エンジニアとして接すること」と言われています。最初から完璧を求めるのではなく、生成されたものに対して「ここはこう直してほしい」とフィードバックを与え、育てていく感覚で接することが、パフォーマンスを引き出すコツになります。

 

Devinの料金プランと「ACU」の仕組み

画像出典:https://devin.ai/

 

Devinを業務で活用する上で避けて通れないのがコストの話です。単純な月額制とは少し異なる、独自の「ACU」という概念と、目的に応じた3つのプランについて詳しく解説します。

 

料金プランは3つ

現在(2026年2月時点)、Devinには大きく分けて3つのプランがあります。

 

Core(個人向け)

月額固定費なしの従量課金プランです。APIも利用可能。個人開発でDevinを利用したい人は、このプランから始めるのがおすすめです。

 

Team(小~中規模チーム向け)

月額$500のプラン。後述する「250ACU」分の作業量が含まれます。同時実行セッションが無制限(Coreは10まで)となるため、チームで本格的に開発を行うには必須のプランと言えるでしょう。

 

Enterprise(大規模組織向け)

価格は要相談となります。VPC(仮想プライベートクラウド)への展開やSSO(シングルサインオン)、監査ログなどのセキュリティ機能が強化されており、大規模な組織に適しています。

 

出典:https://devin.ai/pricing

 

従量課金のカギとなる「ACU」とは?

Devinには、「ACU(Agent Compute Unit)」 という独自の課金単位が設定されています。

 

1ACUでのDevinの作業量は、思考の量や計算リソースによって変わります。そのため、指示内容によって変動しますが、平均すると「1ACU≒約15分の作業時間」程になるケースが多いようです。

 

日本国内の「Devin」導入事例

国内の企業も「Devin」の実用化に向けて動き出しています。ここでは、代表的な取り組み事例を紹介します。

 

DeNA AI Link(株式会社ディー・エヌ・エー)

DeNAグループは、2025年7月にCognition AI社との戦略的パートナーシップを発表しました。DeNAでは、2025年2月から「Devin」を先行導入し、自社サービスの大規模な「技術移行(マイグレーション)」で成果を上げていました。

 

具体的には、開発プロセスの80%をDevinが担当し、続く15%をレビュー用AIがチェック、人間が関与するのは最後の5%程度(最終判断や微調整だけ)という体制を確立し、実装の手間を大幅に減らすことに成功。人間のエンジニアは、テスト戦略の策定や、AIへの仕様伝達といった「アーキテクト」「PM」としての役割にシフトしています。

 

DeNA AI Linkでは、この「Devinをチームの一員として使いこなすノウハウ」を内製化支援サービスとしてパッケージ化し、他社への展開を行っています。

 

出典:Devin AI で挑む AI エンジニアによるレガシー API 移行|DeNA ENGINEERING

 

株式会社SHIFT

ソフトウェアの品質保証などを行っている「SHIFT」は、Devinの弱点になりうる「品質のばらつき」を、自社のノウハウで補完するアプローチをとっています。

 

要件定義の段階からDevinを共同作業者として活用し、AIが作成した仕様書から、画面モックアップまでを自動生成させることで、顧客への提案スピードを劇的に短縮できたと言います。また、Azure閉域網内での生成AI利用を可能にし、セキュリティ要件の厳しいプロジェクトにもDevinを導入できる体制を構築しました。

 

今後はSHIFTの強みである「テスト工程」自体の自動化を進め、品質とスピードの両立を目指しています。

 

出典:《前編》Devinで挑むAI駆動開発プロセスの構築──PoCレベルを超え、業務システムに耐える品質へ|SHIFT Group 技術ブログ

 

ULSコンサルティング株式会社

「ULSコンサルティング」(旧ウルシステムズ)では、大規模な基幹システムを持つエンタープライズ企業向けに、Devinを安全に活用するための各種技術サービスを提供しています。

 

大企業での導入障壁となるGitHub/GitLabとの権限連携や、セキュリティ設計などの環境構築をサポートするほか、「Devinへのプロンプト設計」や「IDEの操作方法」などの初期トレーニングを提供するなど、開発現場への定着支援にも力を入れています。

 

出典:ウルシステムズと米Cognition AI、「Devin」を日本のエンタープライズ市場に共同展開|ULS Consulting

 

株式会社wevnal

ブランド体験の向上を通じ、消費者と企業のライフタイムバリューの最大化を目指すBXプラットフォーム 「BOTCHAN」を提供する「株式会社wevnal」でも、「Devin」を活用した開発体制への移行を進めています。

 

さらに、2025年4月には日本マイクロソフト本社にて、Cognition AIの創業者らを招いた大規模イベントを開催。「AIは仕事を奪うのか?」という問いに対し、シリコンバレーのトップランナーたちと直接対話する場を設けることで、日本のエンジニアコミュニティを活性化させています。

 

出典:wevnal、世界が注目するAIエージェント「DevinAI」× 日本マイクロソフト社とイベントを開催|Wevnal

 

エンジニアの働き方はどう変わる?

AIが自律的にコードを書くようになれば、人間の役割も変化します。どのような変化が考えられるかを見ていきましょう。

 

「コーディング」から「AIディレクション」への業務シフト

Devinの登場により、人間のエンジニアの仕事は確実に変化します。端的に言えば、より高度でクリエイティブな領域へシフトすると考えるのが自然です。

 

例えば、これまで時間を費やしていた環境構築やテストなどの作業は、AIに任せるのが当たり前になるでしょう。それに伴い人間のエンジニアは、「AIが生成したコードが正しいか判断するレビュー」や「AIに何をさせるかを決めるタスク設計」に移行していくはずです。

 

今後エンジニアには、コーディングのスピードよりも、「言語化能力」や「ディレクション能力」が問われるようになると考えられます。

 

「PM的な視点」や「設計力」が全てのエンジニアに求められるように

これからは、新人エンジニアであっても「AIエンジニア」という部下を持つことになります。そのため、システム全体のアーキテクチャを理解し、正しい設計図をAIに渡す能力が必要になるでしょう。

 

これまでよりも幅広い知識が求められるようになり、プロジェクトマネージャー(PM)やテックリードのような視点を持つことが求められるようになると考えられます。エンジニアという仕事そのものが変容していくと言えるでしょう。

 

まとめ

Devinは面倒な作業を肩代わりし、クリエイティブな開発に集中させてくれる、最強のパートナーと言えるでしょう。その一方で、エンジニアにはプロダクトマネージャー的な視点が求められるようになり、より幅広い知識、スキルが求められるようになる可能性があります。

 

国内大手企業の動きを見ても、実用化の波はすぐそこまで来ています。まずはCoreプランで$20ほど課金して、「AIの部下」を持つ体験をしてみてください。その便利さと、少しの不気味さを肌で感じることが、これからのエンジニアキャリアを考える第一歩になるはずです。

関連する記事