DX特集Vol.2|エンタメ業界
DX(デジタル・トランスフォーメーション)の必要性が高まる中、エンタメ業界でも新しい価値提供の形が求められています。
コロナ禍を経て、エンタメ市場やコンテンツ、さらにユーザーの行動や求める体験が大きく変化したことから、業界全体でさまざまな課題が浮き彫りになりました。
こうした変化のなかで、デジタルを活用して「ファンにどう新しい体験を届けて、楽しんでもらうか」が、エンタメ業界の成長を左右する重要なテーマです。
本記事では、エンタメ業界の現状課題を整理しながら、DXをどのように進めていくべきか、そしてDX推進のために押さえておきたいポイントを解説します。

コロナ禍によって、映画館や劇場、ライブ会場といったリアルな場が相次いで制限され、従来の収益モデルは大きく揺らぎました。観客を呼び込めなければ成立しないビジネスが多いエンタメ業界にとって、深刻な転機となったのです。
そこで注目を集めたのが、配信サービスやオンラインイベントなどのデジタル施策です。エンタメ業界のデジタル施策が急速に広がり、作品の届け方や楽しみ方は大きく変化しました。
こうした動きは、コロナ禍におけるエンタメ業界の一時的な代替手段にとどまらず、エンタメが「体験を提供する産業」から「体験を設計する産業」へと進化するきっかけとなりました。
エンタメ業界全体の変化に対応するには、単なるデジタル化ではなく、ビジネスモデルや価値提供の仕組みそのものを再構築するDXの推進が欠かせません。これこそが、エンタメ業界でDXを求められている背景です。

エンタメ業界では、急速に進むデジタル化や顧客の価値観の変化により、従来の仕組みや考え方では対応しきれない課題が増えています。
こうした中で、単なる効率化の手段ではなく、事業そのものを再構築し、変化に強い体制を築くため、DX(デジタルトランスフォーメーション)が求められています。
では、なぜエンタメ業界においてDXが必要とされているか、その背景には、次の3つの大きな変化が関係しています。
・市場の変化
・コンテンツの変化
・ユーザーの変化
それぞれの変化がどのようにDXの必要性を生み出しているのか、詳しく見ていきましょう。
かつてエンタメ業界の競争は、映画館やレンタルショップなど国内市場の中で完結していました。しかし、配信サービスの普及によって国境の壁がなくなり、NetflixやDisney+、YouTubeといった海外プラットフォームも競合となり、一気にグローバル化しています。
ユーザーは今、より質の高い作品を、どの国のどのプラットフォームからでも自由に選べるようになりました。市場環境の国際化が進み、国内企業も海外勢と同じ土俵で評価される時代を迎えています。
このような市場構造の変化に対応するためには、制作のスピードや意思決定の迅速化、データを活用した企画力の強化が欠かせません。市場動向や視聴データをリアルタイムに分析する、制作から配信・運営までを一体化するなどといったDXの仕組みづくりが、今後の競争力を支える土台となります。
配信サービスやSNSなど、デジタルプラットフォームの拡大によって、エンタメ業界全体のコンテンツ構造が大きく変化しています。
かつてのエンタメ業界は完成した作品や場を届けることが中心で「作品の内容そのもの=エンタメとしての価値」でした。
しかし現在は、制作技術の向上により作品自体の質に対する期待度が高まっているだけでなく、エンタメコンテンツそのものにユーザーが参加しながら楽しむ形も増えています。「デジタルで楽しめるもの」と「リアルで体験するもの」の境界が大きく変化しているといえるでしょう。
配信やオンラインイベントが一般化し、リアルなエンタメの場では“わざわざ足を運ぶ理由”を作る仕掛けが重視されるようになりました。一方デジタル面では、ただ単純に視聴するだけでなく、交流や共感を通じて体験を共有できる環境づくりが求められています。
エンタメは、作品を一度届けて終わる産業から、顧客との関係を育てながら新しい体験や話題を次々と生み出す産業へと進化しました。こうした変化に対応するために、DXによって表現と仕組みの両面を見直すことが求められています。
配信プラットフォームの急増に伴い、ユーザーの行動や求めるものが変化したことは、エンタメ業界におけるDXの必要性を語る上で欠かせません。
ユーザーは数多くの選択肢の中から自由にコンテンツを選べるようになり、デジタル化はもはや当たり前の環境となりました。
視聴体験の快適さや操作のしやすさ、配信の安定性など、利便性やユーザビリティの水準は年々高まっています。どれだけ質の高い作品でも、アクセスしづらい・使いにくいと感じれば選ばれません。ユーザーに選ばれるためには、作品そのものの価値に加え、視聴環境全体の体験設計が重要です。
さらに、スマートフォンやSNSの浸透により、ユーザーは「ただ観る」「ただ聴く」だけでは満足できない場合も増えています。推し活やファンコミュニティの広がりに象徴されるように、参加や共感を通じて“自分も一部になれる体験”を求めているといえるでしょう。
こうしたユーザーの変化に対応するためには、単にデジタル化を進めるだけでは不十分です。データをもとにユーザーの行動や嗜好を把握し、最適なタイミングで最適な体験を届ける仕組みづくりが求められます。
AIやMRなどの技術を取り入れた新たな演出や参加型の企画、リアルとオンラインを組み合わせたハイブリッドな体験など、DXを通じて、一人ひとりのユーザーの期待に応えることが、これからのエンタメにおける競争力となります。
市場、コンテンツ、ユーザーとそれぞれの変化がある中で、現在のエンタメ業界にはどのような課題があり、どうやって解決していけば良いのか、次から解説していきます。

YouTubeやNetflix、外部ECサイトなどのプラットフォームを活用することで、コンテンツ提供者はより多くのユーザーに作品を届けられるようになりました。
一方で、手数料や広告収益の分配によって利益率が下がり、自社の収益構造を確立しにくいという課題も浮上しています。
さらに、ファンの購買履歴や視聴データといった重要な情報がプラットフォーム側に蓄積され、制作者や企業が直接活用できない状況が続いています。こうした環境では、ユーザーとの関係性を深める施策を自社で展開しにくく、長期的なブランド成長に結びつきづらいのも課題です。
そのため、今後は外部プラットフォームに依存せず、自社で顧客接点とデータを管理できる仕組みづくりが重要となります。
解決策としては、以下のような取り組みが挙げられます。
・ファンクラブや推し活に対応した専用アプリの開発
・独自配信プラットフォームの構築
それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
ファンの活動は、グッズ購入やイベント参加にとどまらず、「推し活」として日常の中に浸透しています。しかし、情報収集・チケット購入・グッズ管理・SNS共有などをそれぞれ別のサービスで行うケースが多く、活動が分散してしまうという課題がありました。
この課題を解決する手段の一つが、ファンクラブや推し活向けの専用アプリ開発です。アプリを通じて、ファンが一つの環境で情報閲覧・コンテンツ視聴・購入・コミュニケーションを完結できれば、利便性と満足度を高められます。
さらに、外部プラットフォームを経由しないことで、手数料負担を抑える、ファンデータを直接収集・分析することも可能です。これにより、人気コンテンツや購入傾向を把握して新商品の企画に活かしたり、ファンの関心に合わせたイベントやキャンペーンを設計したりと、より効果的な施策展開ができるようになります。
YouTubeやNetflixなどの外部プラットフォームは多くのユーザーにリーチできる一方で、手数料や広告収益の分配により利益率が下がるという課題があります。この課題に対して効果的なのが、自社で配信基盤を構築し、独自のプラットフォームとして運営する取り組みです。
自社で管理することで、手数料を抑えつつ顧客データを直接収集・分析でき、ファンクラブやECサイトと連携した「顧客接点の一元管理」も可能になります。
さらに、ライブ、オンデマンド、舞台裏映像などといったコンテンツの形式や、サブスク型、都度課金型といった課金モデルも自由に設計できるため、ブランドイメージに沿った体験を提供しながら収益構造の強化が可能です。
こうした自社主導の配信体制を整えることは、外部依存を減らし、長期的に安定したビジネスモデルを築くための重要なDXとなります。

コンテンツの多様化や市場の国際化が進む中で、従来の「現場ごとに完結する体制」では変化への対応が難しくなっています。
エンタメ業界では、企画・制作・運営・配信・宣伝といった各プロセスが部門や企業ごとに分断されており、情報共有や意思決定のスピードが課題となっています。
現場では依然としてアナログな管理や属人的な進行が多く、関係者間でのデータ共有や進行確認が遅れがちであり、こうした非効率な構造が、制作スケジュールの遅延やコスト増加、さらには新しい試みに踏み出しにくい状況を生んでいます。
優れたアイデアや技術があっても、スピーディに実行へ移せないことで、チャンスを逃してしまうケースも少なくありません。
こうした課題を乗り越えるためには、DXによって制作や運営の仕組みそのものを見直し、部門や組織を横断した連携体制の構築など、制作体制のアップデートが不可欠です。
解決策としては、主に以下の3つが挙げられます。
・制作環境のクラウド化によるリモートコラボレーション体制の確立
・バーチャルプロダクションの導入
・ワークフローのデジタル化・自動化
それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
従来の制作現場は物理的な拠点や設備に依存し、拠点間でのデータ共有や進行管理に時間がかかっていました。
クラウドを活用した制作環境を整備することで、海外や異業種のクリエイターともオンラインで共同制作できる体制を構築でき、距離や時間にとらわれない柔軟なコラボレーションが可能になります。
また、アクセス権限の管理や暗号化通信などによりセキュリティも確保され、コンテンツの不正流出防止やデータ保護の面でも有効です。
安全性と多様な発想の両立を実現するクラウド化は、エンタメ業界の制作体制をアップデートさせられる重要な手段といえます。
LEDウォールやXR技術を活用し、リアルタイムで背景や演出を生成する「バーチャルプロダクション」は、ロケーション撮影や大規模なセットを組む必要がなく、天候や時間に左右されずに撮影を進められる制作手法です。
CG・実写・ARを組み合わせることで、従来にはなかった映像表現や世界観の再現が可能になります。リアルとデジタルの融合によって、作品の質を高めながら、より柔軟でスピーディな制作体制を築ける点も大きな特徴です。
制作コストと時間を削減しながら、制作工程そのものの効率化と高度化を実現できるバーチャルプロダクションは、DXによる制作体制刷新の代表例といえるでしょう。
エンタメ業界の制作現場では、進行管理や編集作業、素材整理などに多くの人手が割かれています。これらの工程をデジタル化・自動化することで、人的ミスの削減や作業スピードの向上に期待できます。
たとえば、AIによる映像編集や音声処理の自動化を導入すれば、クリエイターはより創造的な部分に時間を割けるようになります。また、クラウド上のプロジェクト管理ツールを活用すれば、進行状況をリアルタイムで共有でき、複数チームの連携がスムーズになるでしょう。
納期の遅延防止や作業の属人化解消にもつながるワークフローのデジタル化・自動化は、制作工程そのものの効率化と品質向上を両立させるDXの重要な一歩です。

配信サービスやXRイベントなど新しい形態が急速に拡大したことで、ユーザーは「映画館で観る」「ライブに参加する」「配信で楽しむ」「SNSで交流する」といった多様な選択肢を持つようになりました。
一方で、映画館やコンサートなどといった従来型のエンタメや作品も、依然として多くのファンに支持されています。しかし、安定した集客や収益の維持が難しくなっており、リアルとデジタルをどう共存させるかが大きな課題となっています。
これまで築いてきた作品やアーティストの世界観、そしてファンとの関係を大切にしながら、新しい体験や収益モデルをどう組み合わせていくかが、業界全体に問われています。
この課題に対する解決策としては、以下のような施策が挙げられます。
・AR・VR・MRによる没入型エンターテインメントの提供
・ロボティクス技術を活用した新たなパフォーマンス
それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
リアルとデジタルを融合させる鍵となるのが、AR・VR・MRといった拡張現実技術の活用です。これらを導入することで、映画館やライブなどの既存ビジネスモデルに新しい体験価値を加え、収益機会の拡大やファン層の拡張を実現できます。
たとえば、メタバース空間やVRゴーグルを用いれば、観客はアーティストと同じ空間にいるような臨場感を味わうことができ、現実では実現できないスケールや演出を体験できます。季節や背景、照明効果などを自由に変えられるため、常に新鮮な演出でファンを惹きつけられます。
さらに、バーチャル会場を通じて、観客同士が交流したり、アバターを介して参加したりと、参加型の楽しみ方も広がります。
こうしたXR技術の活用は、従来のエンタメが持つ魅力を損なうことなく、新たな表現や収益の仕組みを取り入れる手段として有効です。リアルとデジタルが補完し合う関係を築くことで、既存ビジネスモデルの価値を高めながら持続的な成長を実現できます。
ロボティクス技術の発展は、エンタメの演出や表現方法に新たな可能性をもたらしています。アンドロイドやドローンを活用したライブ演出では、人の動きや照明を精密にコントロールでき、従来にない迫力あるステージ表現を実現できます。
こうした取り組みは、リアルイベントの魅力を保ちながらデジタル技術を融合させ、新しい表現と体験を創出するものです。
ロボティクスの活用は、リアルとデジタルの境界をつなぎ、これまでにない演出やファン体験を実現する取り組みとして、エンタメ業界のDXを推進する重要な役割を担っています。

市場、コンテンツ、ユーザーの変化に対応するのには、人材が必要不可欠です。
配信やデジタル施策の拡大により、エンタメ業界では映像・音楽・イベントなどあらゆる分野でデジタル対応が求められるようになりました。
しかし、AIやデータ分析、システム運用などのスキルを持つ人材が不足しており、制作現場の負担は増す一方です。
新しい表現技術やツールを活用できなければ、いかに優れたアイデアがあっても実現に時間がかかり、ビジネスチャンスを逃すリスクも高まります。
人材不足は「エンタメ業界の発展を遅らせる最大の課題」として、今まさに解決が急がれています。
こうした課題に対して、解決策としては以下のような取り組みが挙げられます。
・AIを活用したコンテンツ制作の効率化
・eラーニングを通じたDX人材育成
・クリエイターやエンジニアの派遣を外部企業へ依頼
それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
AIの導入は、エンタメ業界における人手不足を補い、制作現場の生産性を高める現実的な手段の一つです。シナリオの自動生成やCGキャラクターのモーション作成、イラスト・音楽・音声生成など、AIが担える領域は年々広がっています。
ただし、AIは人の代わりを務めるものではなく、あくまで創作を支える道具です。AIが生み出したアイデアや素材を人が取捨選択し、編集していくことで、これまでと同じスピード感で、より完成度の高い作品へと仕上げることが可能となります。
eラーニングは、DX時代にふさわしい人材育成の仕組みとして注目されています。
どこにいても同じ環境で最新の知識に触れられることで、社内教育の機会格差をなくし、現場全体のスキルを均一に底上げできます。前項でも解説した、AIが生み出した成果を取捨選択し、良し悪しを判断するためにも、継続的な学びが欠かせません。
また、AIを活用した進捗管理や自動フィードバックにより、学びの効率と定着度を高めることも可能です。こうした取り組みは、従来の研修をデジタル化し、より柔軟で効果的な人材育成の実現につながります。
AIやデジタルツールの導入を進めても、実際にそれらを活用し、現場で成果につなげられる人材がいなければプロジェクトは進みません。人材の数が不足しているという場合、特に有効なのが、ITやクリエイティブ分野に精通しているかつ、DXの知見を持ち合わせたハイスキル人材を、派遣や委託などで外部から確保する方法です。
必要なスキルを持つ人材をプロジェクト単位で柔軟にアサインできるため、採用や育成に時間をかけずに即戦力を確保できるのが大きなメリットとなります。
社内メンバーとの協働によって知識やノウハウが共有され、企業全体としてDXの推進スピードが高まる効果にも期待できます。

エンタメ業界でDXを進めるには、単に新しい技術を導入するだけではなく、これまで築いてきた価値や仕組みを生かしながら、現場の実情に合わせて改革を進めることが大切です。
DX推進のための主なポイントは、次の5つです。
・既存ビジネスモデルとの融合を大切にする
・レガシーシステムからの移行は段階的に行う
・インターフェースはシンプルにする
・セキュリティ対策とプライバシー保護を慎重に進める
・自社に合ったDX人材確保の方法を検討する
これらを意識して取り組むことで、無理のない形でDXを推進させ、エンタメ業界ならではの強みを生かした持続的な成長を実現できます。
それぞれのポイントを、詳しく見ていきましょう。
映画館やコンサートといった、エンタメにおける従来のプラットフォームが求められなくなったわけではありません。しかし一方で、配信サービスやオンラインイベントなど新しい形態が広がり、同じ作品でも複数の楽しみ方も生まれています。
こうした中で、リアルとデジタルを競わせるのではなく、それぞれの強みを組み合わせて価値を高めることが重要です。
既存のブランドや顧客との関係を守りながら、新しい体験を柔軟に取り入れることが、DXを通じた持続的な成長につながります。
多くのエンタメ企業では、長年使い続けてきた従来のシステムが今も基盤として残っていることでしょう。しかし、これらのシステムは新しい技術との互換性が低く、データの連携や業務効率化を妨げる要因となっているところも多いのではないでしょうか。
DXを進めるうえでは、既存システムを一度に入れ替えるのではなく、段階的に新しいシステムへ移行することが重要です。大規模な移行を一気に行うと、システム障害やデータ移行の不具合など、現場の混乱を招くリスクが高まるためです。
まずはデータの整備や連携基盤の構築から着手し、徐々に新しいツールやワークフローへ移行していくことで、安全かつ確実にDXを推進できます。
自社内での移行が難しい場合は、システム構築や運用支援に知見を持つ外部パートナーと連携することで、スムーズな移行が実現しやすくなるでしょう。
エンタメ業界でDXを推進していくためには、ユーザーが使いやすいサービス設計が欠かせません。デジタル化が進んだ現代では、UI(見た目や操作性)を使いやすく整えるのは当たり前です。DXを実現させるためには、UX(利用した際に感じる体験や満足感)まで意識することが重要となります。
便利で使いやすいだけでなく、「目的を達成できるか」「利用していて心地よいか」といった体験の質を高めることが、DXによってサービスの価値を向上させる鍵になります。
UI / UXは常にユーザー目線で設計し、リリース後もデータ分析や改善を続けることで、より満足度の高いデジタル体験を提供していきましょう。
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エンタメ業界でDXを進めていく上で、セキュリティとプライバシー保護の強化が欠かせません。
DXの推進によって、ファンの会員情報や視聴履歴、決済データ、配信コンテンツの著作権情報など、これまで以上に多様なデジタルデータを扱うようになります。
取り扱うデータの範囲が増え、量が多くなる中で、サイバー攻撃の手口も年々巧妙化しており、情報漏えいのリスクも高まっています。
安全なDXを進めるには、通信やデータ保存の暗号化、多要素認証の導入、アクセス権限の管理などを徹底し、ユーザーと企業の双方を守ることが重要です。
エンタメ業界でDXを進めるには、テクノロジーとビジネスの両方を理解し、現場を橋渡しできる人材が不可欠です。データ分析やAI・クラウドの知識を持つだけでなく、クリエイティブ領域への理解を併せ持つことで、企画や制作の現場に新しい発想をもたらします。
具体的には、DX戦略を設計する「プロデューサー / コンサルタント」、業務を自動化・効率化する「エンジニア」、データを可視化する「データアナリスト」など、役割に応じた人材を確保することが求められます。
社内人材のリスキリングを進めつつも、すべての人材を自社で抱えるのが難しい場合は、外部の専門人材を派遣や業務委託で確保するなど、柔軟な体制づくりを検討するとよいでしょう。
DXは、単にデジタル技術を取り入れることではありません。そのうえで、エンタメ業界におけるDXとは、テクノロジーを通じてユーザーとの関係を深め、驚きや感動を生み出す体験そのものをデザインすることだといえるでしょう。
リアルとデジタルを融合させることで、ユーザーが「いつでも・どこでも」楽しめる環境を整えるだけでなく、思いもよらない新しい体験を創出できれば、エンタメコンテンツや作品の価値をさらに高められます。
そのためには、システムやセキュリティの整備、DX人材の育成、そして既存のビジネスモデルを活かしながら新しい仕組みへと進化させることが欠かせません。