受託開発事業実績

「TOKYOトイレマップ」で外出時トイレで困らない社会へ

株式会社バカン

メディア事業本部 事業開発部

プロダクトマネジメントチーム マネージャー 飯田 昂志 氏

エクストリームではお客様のプロジェクトにデジタル人材を派遣する「デジタル人材事業」の他に、エクストリーム社内でチームを編成し、システム開発・運用を行うBtoB事業「受託開発事業」を行っています。

課題分析から要件定義、開発、運用まで総合的に対応し、エクストリームの技術と経験を活かしたソリューションを提供しています。

今回、受託開発事業の実績としてご紹介するのが、株式会社バカン様が東京都の東京データプラットフォーム(TDPF)ケーススタディ事業で開発し2022年11月1日に実証を開始したサービス「TOKYOトイレマップ」です。

TOKYOトイレマップは東京都渋谷区内のトイレをマップ上に表示し、設備や利用状況を確認できるサービスです。東京都が実施する、官民連携のデータプラットフォーム構築に向けた事業「東京データプラットフォーム(TDPF)ケーススタディ事業」に採択され開発されました。ユニークかつ、多くのユーザーのニーズに合致したサービス内容が話題を呼び、様々なメディアに取り上げられています。

本サービスはバカン様のプロジェクトマネージャー、デザイナーのもと、エクストリームの社内開発チームが開発部分を担当しました。今回はメディア事業本部 事業開発部 プロダクトマネジメントチームマネージャー 飯田様にお話を伺い、TOKYOトイレマップの開発に込めた想いや、エクストリームに開発を委託した際の印象について、そしてバカン様の今後の展望についてお聞きしました。

「待つをなくす」DXサービスを幅広く展開

- バカン様の事業について、概要を教えてください。

「弊社は“今空いているか1秒でわかる、優しい世界を作る”というミッションの元、AIやIoTを活用して人やモノの混雑・空きデータを取得・解析し、混雑を避けて快適な体験を提供するサービスを提供しています。代表的なサービスが、『混雑抑止(密回避)機能』『受付・待ち順管理機能』を備えた“待つをなくす”プラットフォームのVACANになります」

- 具体的にはどのようなシーンで導入されているのでしょうか。

「トイレの混雑状況を可視化する“VACAN Throne”では、各トイレの個室に小さなセンサーを設置し、利用状況をスマートフォンやトイレ前のデジタルサイネージに配信しています。利用前にトイレの混雑状況がわかるため、多くの、オフィスビルや商業施設に導入されています」

- センサーとサイネージの組み合わせは、まさにIoTですね。

「その通りです。また、反対に個室トイレ内の利用者向けに混雑状況を配信し、他の利用者を考慮して自主的な退室を促す“VACAN Airknock”や、AIカメラで商業施設や飲食店の混雑状況を解析する“VACAN AIS”などを提供しています」

▲VACAN Airknockの利用イメージ

- 『受付・待ち順管理機能』に関してはいかがでしょうか。

「“Q ticket”は飲食店などの店舗の受付・待ち順管理ができるデジタル整理券システムです。店頭で同サービスを使って受付をすると、順番待ちや呼び出しの状況をスマホなどでリアルタイムに確認できるようになっているため、店頭で並ぶ必要がなく、“密”の回避にもつながります」

- コロナ禍の現在、社会的意義も大きいサービスですね。

「ありがとうございます。事業自体は新型コロナウィルス感染症が流行する以前の2016年から始めており、様々な技術開発を重ねてきました。近年はホテルや飲食店、百貨店など、多くのお客様に導入していただいております」

東京都のケーススタディ事業に採択された「TOKYOトイレマップ」

- 2022年11月1日にサービスが開始された、TOKYOトイレマップについて教えてください。

「TOKYOトイレマップは“外出時にトイレで困らない社会を実現したい”というビジョンのもと立ち上げたサービスです。弊社が提供している施設の混雑状況をマップ上で確認できるVACAN Mapsというサービスと同様に、スマートフォンなどの位置情報を利用し、現在位置から近いトイレがマップ上に表示されるサービスです」

- サービスの特長はありますか。

「位置情報と共に設備情報が表示される点が特長です。車椅子の方、オストメイトの方など、設備状況がわからないとトイレを利用できない方も数多くいらっしゃいます。そのような方々も安心してトイレを利用できるような情報を提供しています」

▲設置するセンサーのイメージ

- スマートフォンで近くのトイレの混雑状況がわかるとお聞きしました。

「はい、バリアフリートイレを対象に混雑状況を可視化しています。その理由は車椅子の方をはじめ、バリアフリートイレを利用される方のご意見として、“個室は使いたい時に使えないことが多くて困る”という声をたくさんいただいたからです。そのためバリアフリートイレにのみ弊社のセンサーを設置し、混雑情報を予め見られるようにしています」

- 対象のトイレは公衆トイレでしょうか。

「今回の対象は公衆トイレに加えて区営施設のトイレ、そして渋谷区内の商業施設内のトイレになります。同じ渋谷区でもコンビニのトイレなど対象外のものもありますが、ケーススタディ期間中のアンケートでご要望が多ければ掲載数が増える可能性もございます。ぜひたくさんの方々にフィードバックをいただければ幸いです」

エクストリームの受託開発チームが短期間でのリリースに貢献

- TOKYOトイレマップはどのようなプロセスを経て開発されたのでしょうか。

「東京データプラットフォーム(TDPF)ケーススタディ事業に弊社が応募し、採択されたのが2022年の7月末です。そこから8月中に開発の仕様設計と対象地域を固め、お声がけする施設の抽出を行いました。リリース日を11月1日に設定していたため、8月後半から9月末にかけて開発し、10月後半に最終テストを行いました」

- 採択からリリースまで実質約3ヶ月となると、開発期間としては短いように感じますが。

「今回はVACAN Mapsのシステムを活用するため、ゼロから作り出す必要がありませんでした。そのため短期間の開発でも問題なくリリースできました。どちらかといえば、苦労したのはデザイン面です。VACAN Mapsにもトイレの情報は掲載していたのですが、今回は完全にトイレ専門のサービスになります。どう見せればユーザーにわかりやすく情報が伝わるのか、デザイナーと議論を重ねながらデザインをブラッシュアップしていきました」

- 開発はどのような役割分担で行ったのでしょうか。

「デザインと設計は弊社で行い、開発部分はエクストリームさんに担当していただきました。部分的に関わる方を含めて4~5名のエンジニアチームを編成していただき、弊社のエンジニアと連携するかたちで開発を進めていきました」

- 開発を担当したエクストリームのチームに対してどう思われますか。 

「弊社側で設計したUIはやや複雑な構造で、技術的に難しい部分もあったと思うのですが、短い期間の中でこちらの想定通りに仕上げていただきました」

- エクストリームの印象に関してはいかがでしょうか。

「一言で言えば“安心してお任せできる会社”というイメージです。技術面やコミュニケーション面も申し分ないのですが、特に助かったのはプロジェクト進行のスキルですね。進捗報告のマメさ、内容の細やかさには、発注側として大変心強い思いでした。スピードが要求されるタイプのプロジェクトにもかかわらず、とてもスムーズに進行できていたと感じています」

技術·デザイン·アイデアのシナジーで日本全国や世界を目指す

- バカン様はIoTやAIなど独自の強みを活かしたサービスを展開されていますが、同業他社との差別化のために注力している点はありますか。

「UI / UXには特に力を入れています。弊社のサービスの多くが外出時に利用されるため、パッと見て理解できるデザインが重要です。私自身も自社サービスを利用していると、直感的に操作できてわかりやすいと感じます。このような取り組みが実り、弊社サービスの“VACAN Maps”は2021年度のグッドデザイン賞を受賞しました」

- 開発面での特長はいかがでしょうか。

「汎用的なシステム基盤を活用できる“展開力”が特長だと思います。今回のトイレマップも、弊社のサービスであるVACAN Mapsの技術を活用したものです。トイレマップ以外にも避難所マップを作るなど、自社の技術を活用するアイデアと、それを実現する開発力はひとつの強みと言えるのではないでしょうか」

- エクストリームにご依頼いただいた経緯を教えてください。

「弊社の社員が前職でエクストリームさんとお仕事をご一緒したことがきっかけです。そのプロジェクトに参加していたエクストリームさんの方がとても優秀で、印象に強く残っていたそうです。責任感を持って作業しており、同じチームで働いていて非常に気持ちよくプロジェクトを進められたと話していました。今回のTOKYOトイレマップのプロジェクトは技術的な難易度が高く、開発期間も短かったため安心してお願いできるところを探していました。その時に“エクストリームさんはどうだろうか”と意見が挙がり、ご相談させていただきました」

- 人と人とのつながりを大切にされているバカン様の社風を感じますね。

「私は中途入社して2年半ほどになるのですが、弊社の魅力として“人の良さ”を感じています。建設的な議論を重視するカルチャーがあり、強く否定しない。協力会社様との関係でも、今回のような良いご縁を大切にする面があるのかもしれないですね」

- 今後、バカン様の展望を教えてください。

「今回リリースするTOKYOトイレマップは掲載範囲が渋谷区のみになっているので、次は東京、そして日本全国、さらには世界中に拡大したいという想いがあります。またVACAN Mapsに関しても、複数の地方自治体からVACAN Mapsを活用した防災系システムの開発や投票所の可視化など様々なご相談をいただいています。サービスの質・規模共にブラッシュアップしていきたいので、ぜひまた、エクストリームさんのチームとご一緒できればと考えております」

≪エクストリーム 担当者より≫
飯田様、貴重なお話をありがとうございました。官民連携でサービス拡大に取り組むバカン様の挑戦に対し、今後も魅力的なサービスを共に作り上げられれば幸いです。

*本インタビューは2022年10月14日に実施されました。

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