メリット・デメリットと今後の展望

ノーコード開発・ローコード開発とは?

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システムやアプリケーションの開発に、プログラミング言語を全く必要としない「ノーコード開発」と、最小限のソースコードで柔軟な開発が可能になる「ローコード開発」が注目されています。

 

現在は、多くのノーコード開発・ローコード開発用のツール・サービスが生まれ、MicrosoftやAmazon、Googleなども参入していますが、なぜ、今そこまで注目を集めるのでしょうか。ここでは、ノーコード開発・ローコード開発が生まれた背景や需要を解説するとともに、開発ツール・サービスの紹介や今後の展望についてみていきます。

 

ノーコード開発・ローコード開発とは

 

ノーコード開発

ノーコード開発とは、プログラミング言語を使ったコーディングを全く行わずにアプリケーションなどを開発することを指します。

 

開発には専用のツールを用います。テンプレートのように利用できる機能が決まっていて、それ以上に機能を拡張することは基本的にできません。そのため、機能が比較的シンプルなアプリケーションの開発に向いた手法です。

 

ローコード開発

ローコード開発とは、従来よりも大幅に少ないコーディングでアプリケーションなどの開発を行う手法のことを指します。

 

ノーコードとは違い、一定のプログラミングを必要としますが、そのぶん拡張性が高く、柔軟なアプリケーションの開発が可能になります。クラウド環境での利用もできるほか、外部のソフトウェアとの統合も可能なため、ノーコード開発よりも広い範囲のアプリケーション開発に用いることができます。

 

ノーコード/ローコード開発が生まれた背景

現代のビジネスシーンは、以前とは比べものにならないほど進化のスピードが早くなっています。DX推進に代表されるように、急速に変化していくビジネス要件に、迅速かつ柔軟に対応していかなくてはなりません。ノーコード開発、ローコード開発は、そうしたスピードアップに適しています。

 

ノーコード開発は、開発期間が短くできます。早ければ、数日~数週間で開発も可能です。専門的な知識がなくても開発できるため、開発を依頼せず、アプリケーションを利用する人自身が開発することもできるようになります。専門部署や外注先とのコミュニケーションコストがなくなるため、その点でもスピーディです。

 

ローコード開発は専門的な知識が必要ですが、従来の開発手法よりずっと短い時間で開発できる上、ノーコード開発よりも広い範囲で活用できます。例えば、既存のシステムをローコード開発で再構築することで、レガシーシステムの刷新が短期間かつローコストで可能になり、特に日本国内においては「2025年の壁」を回避するための手段としても期待されています。

 

代表的なノーコード/ローコード開発ツール・サービス

 

 

ノーコード開発用ツール・サービス

ノーコード開発ツールには、業務システムなどの開発に用いられるシステム/アプリケーション開発ツールのほかに、個人や小規模ビジネスで利用されるWebサイト開発ツールもあります。さらに最近では、スマホアプリやゲームを開発するためのツールも登場しています。

【システム/アプリケーション系】

・Microsoft PowerApps ★

・Amazon Honeycode ★

・Glide ★

・Bubble 

・AppSheet

 

ノーコードでのシステム/アプリケーション開発ツールは、「スプレッドシート型(★マーク)」とドラッグ&ドロップなどで操作する「GUI型」に分かれます。スプレッドシート型はExcelなどを用いる業務の自動化に向き、GUI型は直感的に使えるメリットがあります。

 

Webサイト系】

・Shopify

・Wix

・Webflow

 

WebサイトやECサイトが直感的に作れるサービスです。特にShopifyは、米国のシェアではAmazonに次ぐ2位となっており、米国内のかなり多くのECサイトで利用されていることがわかります。

 

【スマホアプリ・ゲーム系】

・Yappli

・buildbox

 

Yappliはスマホアプリ開発用のサービスで、buildboxは2D/3Dゲームが開発できるサービスです。どちらもドラッグ&ドロップによる、直感的でわかりやすい開発が可能です。

 

 

ローコード開発用ツール・サービス

ローコード開発は、一定のプログラミングが必要になる代わりに、さまざまなシステム、アプリケーション、データベースなどの開発が可能です。

 

【代表的なローコード開発用ツール・サービス】

・Microsoft PowerApps

・Salesforce Lightning Platform

・サイボウズ Kintone

・intra-mart

・Notes/Domino

Magic xpa Application Platform

 

これらのツール・サービスの利用にかかる費用はまちまちですが、企業で利用されることを前提としており、初期費用・月額費用ともにノーコード開発ツール・サービスよりも高額です。なお、Microsoft PowerAppsは、ノーコードとローコード両対応のツールです。

 

ノーコード開発のメリットとデメリット

 

メリット

ノーコード開発を行うメリットは、大きく3つあります。

 

開発にかかる時間の大幅な短縮

ノーコード開発では、「Excelでやっているこの業務を自動化したい!」など、思い立ったことをサッと実行に移せるようになります。また、ソースコードを書いての開発と違い、基本的にバグも起こりません。

 

開発コストの抑制

今までの開発手法では、システムやアプリケーション開発は外注されることも多く、多額の予算が必要でした。しかし、ノーコード開発では、予算の都合で実現できていなかった業務効率化が可能になります。

 

プログラミングの知識がいらなくなる

ノーコード開発では、技術者に要件を伝えて開発してもらうのではなく、業務システムを利用する人が使いやすいものを作れるようにもなります。自社で簡単に開発できるようになることはもちろん、ユーザーとエンジニアの間で起こる業務要件の相違も避けられます。

 

デメリット

ツール・サービスの選定に労力がかかる

ノーコード開発ツールは、基本的にシンプルなアプリやシステムの開発に特化したもので、なんでも作れるわけではありません。そのため、開発したいアプリケーションは、どのツール・サービスを使えばよいのかを調べるのに時間と労力が必要になります。

 

大規模な開発には向かない

ノーコード開発は、シンプルなアプリやシステムの開発に特化したものなので、なにができるかは利用するツールに完全に依存します。また、他のシステムと組み合わせることも基本的にできません。

 

ノーコード開発は、あくまで業務改善のための小さなシステム開発をスピーディに行ったり、開発サービスの範囲で収まるWebサイトなどを作るのに向いています。

 

ローコード開発のメリット・デメリット

 

メリット

開発にかかる時間・コストが節約できる

ノーコード開発に比べて、大幅に柔軟な開発が可能でありながら、従来の開発手法と比較すると、開発にかかる時間もコストも大幅に節約することができることが、ローコード開発のメリットです。システムの開発には長い時間がかかるというイメージが払拭されることでしょう。

 

人員の確保がしやすくなり、ユーザー主体の開発も可能になる

システムを0から開発するのに比べて技術的なハードルが下がるため、人員の確保がしやすくなります。また、自力でプログラミングを行う部分が少ないため、ミスが少なくなり、バグの修正にかかる時間とコストを圧縮できます。

 

さらに言えば、エンジニア主体の開発ではなく、ユーザー主体の開発も可能になります。最低限のプログラミングの知識は必要になりますが、ユーザーとエンジニア間で要件の相違が起こらなくなるため、よりユーザー目線にたった高品質なシステムを構築できる可能性を秘めています。

 

セキュリティにかかるコストを低減できる

忘れてはいけないのは、セキュリティ面でのメリットです。昨今のサイバー攻撃の増加により、企業システムのセキュリティは喫緊の課題ですが、ローコード開発ではツール・サービス提供元がセキュリティ対策を行って提供されていることがほとんどのため、セキュリティにかかるコストを大幅に低減できます。

 

デメリット

ツールによる制約がある

ノーコード開発に比べて柔軟なローコード開発ですが、ツールによる制約はあります。ローコード開発は、ツール・サービスが提供するツールを実装していくため、デザインなどの制限は多少なりとも出てきます。そのため、ユーザーに強いこだわりや希望がある場合、完全に要望に添うことができないケースも考えられます。

 

ツールの使い方習得に一定の時間が必要

また、ツールの使い方を習得するためのコストがかかります。新たな言語を習得するより早くエンジニアの育成が可能ではあるものの、ローコード開発のメリットをフルに生かすには、ツールの特性を熟知した上で使いこなす必要があり、それには一定の時間がかかります。

 

今後のノーコード/ローコード開発の展望

 

 

日本におけるノーコード開発/ローコード開発の普及は、海外に比べるとまだ遅れが生じていると言われています。しかし、老朽化・ブラックボックス化した既存システムが引き起こす「2025年の壁」問題までに残された時間は短く、その後のDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進においても、ノーコード開発・ローコード開発は大きな期待を寄せられています。

 

高度なシステムやアプリケーション開発を0から進められるエンジニアは限られており、慢性的な人材不足が続いています。予算も体力ある大企業ならともかく、それ以外の企業には厳しい状況です。そんなとき、ノーコード開発・ローコード開発を活用することで、最低限の人材確保と、最初の予算で既存システムから脱却できる可能性があります。

 

今後のノーコード開発・ローコード開発の理想的な展望は、ユーザーが開発者になれる状況が作り出されることでしょう。そうなることで、システムを構築する技術ではなく、業務プロセスをどのように改善するかに重点が置かれるようになり、ユーザー主導のDXが実現される可能性があります。また、トップダウンではなく、ユーザーからのボトムアップによる開発になることで「自分ごと」として意識も変わり、業務の改善意識が高まる期待も持てます。

 

まとめ

 

ここでは、ノーコード開発・ローコード開発が生まれた背景や、代表的なサービス、メリット・デメリットなどをみてきました。

 

かつて、WordPressが登場する以前、WebサイトはHTMLやCSSの技術を持ったエンジニアの手によって0から作られていました。しかし、現在では世界中の多くのウェブサイトがWordPressによって作られています。WordPressを使うことで、技術者でなくてもある程度のウェブサイトが作れるようになり、技術者がWebサイトを構築する場合は大幅に効率的になりました。

 

同じことがノーコード開発・ローコード開発の世界でも起ころうとしています。今後はさまざまな人がシステムやアプリケーションの開発を行えるようになり、極めて単純なシステムの開発をエンジニアが行う機会は減っていくでしょう。そして、多くの人がノーコード/ローコードにより「開発」を経験することで、そこから新たにエンジニアを目指す可能性も出てくるはずです。

 

ノーコード開発・ローコード開発の普及により、多くのエンジニアの仕事は効率化されますが、ツールで補える技術に関してはエンジニアには求められなくなっていくでしょう。そうした未来を見据えて、エンジニアはより高度な技術を習得していく必要があると考えられます。

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