「ウルトラマン」のウルトラ怪獣、アントニオ猪木VSマサ斎藤の「巌流島決戦」、パンクロックバンド「INU」からお笑い芸人「錦鯉」まで……。
マニア心をくすぐるモチーフをパンキッシュにデザインしたTシャツで、サブカルファンに絶大な人気を誇るアパレルブランド「ハードコアチョコレート」。Tシャツやジャケットといったアパレルに加え、「コアチョコ映画祭」などのイベント開催、東中野のバー「BAR バレンタイン」の運営など、幅広い活動が熱狂的な支持を集めています。
そんなハードコアチョコレートが今回、エクストリームがIPを保有する「超兄貴」とまさかのコラボレーション!「超兄貴」オリジナルデザインTシャツが発売されました。
今回はコラボを記念し、ハードコアチョコレート代表のMUNE様に特別インタビューを実施しました。今も自らデザインを手がけるMUNE様に、ハードコアチョコレートのデザインに込められた想い、そして「超兄貴」とのコラボについてお聞きしました。
▲ハードコアチョコレート代表・MUNE様
▲インタビューはMUNE様が経営する「BAR バレンタイン」で行われました。
– ハードコアチョコレートの設立背景についてお聞かせください。
学生時代から面白いTシャツを集めることが大好きでした。自宅があった墨田区から上野や渋谷、原宿あたりに繰り出して、珍しいTシャツを探していましたね。25歳くらいの時にTシャツを自分で作れると知って、好きなモチーフを手刷りしてオリジナルのTシャツを作り始めました。そのころは完全に趣味ですけどね。
– その後、1999年にブランドを立ち上げられました。
別の仕事をしながら空き時間にデザインしていたので、最初は「趣味としてできればいいな」という感覚でした。でもやっぱり、Tシャツ作りが面白くて。段々と売上も上がっていったことから、本格的に事業として意識するようになりました。
– インパクト抜群のデザインが魅力ですが、デザインで心掛けているポイントはありますか。
きちんと作品に向き合うことですね。例えば漫画とコラボする際は、すでに知っている作品でも必ず読み直します。作品の世界観だけでなく、作品が生まれた時代の空気感もデザインに落とし込むように意識しています。
– デザインは今もご自身で行っているのですか。
そうですね。年間100枚ほど、2日に1本以上のペースでデザインしていますが、他人に任せる部分はほぼありません。大変ではありますが、デザイン作業が楽しいんですよね。他のデザイナーに依頼するとしても、その方がコラボ対象の作品について知らなければ、最高のデザインは生まれないと思うんです。「自分のセンスで勝負したい」という想いは、ブランド立ち上げ当時から変わりません。
– 現在、様々なジャンルと横断的にコラボ商品を展開しています。コラボレーションのアイデアはどのように生み出しているのでしょうか。
基本的には僕が小さい頃から好きだったものを一つひとつ取り上げています。ゲームでも映画でも漫画でも、全て僕自身が体験してきたものなので、モチーフは無限大ですね。
– 1970〜1980年代のマニアックな作品など、独自のチョイスがハードコアチョコレートの魅力と言われていますが。
王道に対してアンチな姿勢を取りたいわけではなくて、自然に選んでしまうんですよ。昔からアカレンジャーよりアオレンジャー、読売ジャイアンツより阪神タイガース、ウルトラマンなら「ウルトラセブン」より「ウルトラマンレオ」を選ぶタイプの子どもだったので(笑)
▲確かに店内には「ウルトラマンレオ」の姿が……!
-「アントニオ猪木よりマサ斎藤」みたいな感じでしょうか?
いや、僕にとって猪木は「ジャイアント馬場に対しての猪木」なんですよ!王道に対して対抗心を燃やしていた猪木の姿勢に惚れるんです!……って、伝わりますかね、この感じ?(笑)
– 伝わってます!(笑)そういった子ども時代に養った審美眼が、そのまま「コアチョコらしさ」としてアイテムに現れているわけですね。
単純に自分が好きなものなので、独自のチョイスをしてやろうと意識しているわけではないんです。メジャーな作品も大好きですし。ただ、昔から「王道から一歩踏み込んだ作品」を好んでいたので、それがモチーフに反映されているのかな、と思います。
– 今回「超兄貴」とコラボレーションを行いましたが、経緯について教えてください。
実は、以前から構想自体はあったんです。店舗でお客さんと話すと「あの作品とコラボしてほしい」とお願いされるケースが多いのですが(笑)「超兄貴」も昔から言われていた作品のひとつでした。
– そうだったんですね!MUNE様は「超兄貴」に対してどのような印象を持っていましたか?
「超兄貴」は、僕にとって「ザ・PCエンジン(初代「超兄貴」リリース当時の家庭用ゲーム機)」な存在なんです。初めてPCエンジンのゲームで遊んだ時は、グラフィックの美しさに感動しました。また、PCエンジンは「カトちゃんケンちゃん」「邪聖剣ネクロマンサー」などの尖った作品が多い点も魅力です。そういった意味で「超兄貴」は、特に「PCエンジンらしさ」を突き詰めた存在だと思うので(笑)コアチョコがコラボするべきだと考えていました。
– 発売後の反響はいかがですか。
とても良いですよ。やっぱりみんな「超兄貴」が好きだったんだな、と(笑)。ゲーム系のコラボは「シーマン」「シェンムー」「たけしの挑戦状」など、コアチョコの世界観と親和性が高い作品は反響が大きいんです。その意味でも「超兄貴」とコラボできて良かったと思います。
– 「超兄貴」Tシャツのデザインに関して、改めてポイントを解説するとしたらいかがでしょうか。
ただの「筋肉質なキャラクターのTシャツ」ではダメで、シューティングゲームだと伝わるデザインを意識しました。アドンとサムソンの間に「メンズビーム」を配置したり、ゲームに合わせて背景を宇宙風にしたりして世界観を盛り込みました。作品にインスピレーションを得るため、ずっと「超兄貴」のBGMを聞きながらデザインしていましたよ。
– 「超兄貴」はシューティングゲームとしてのゲーム性も魅力ですが、その点もデザインに取り込んでいただいたわけですね。
最近のコアチョコは「ゲーセンミカド」「怒首領蜂」シリーズなど、レトロゲームやシューティングゲームとのコラボが続いていました。ゲームファンから注目が集まっている中でリリースできたことも、売上に反映されたんじゃないかと思います。
– 過去のインタビューでは海外進出を視野に入れていると話されていました。
色々と世界情勢が厳しくなっているので詳細は断定できないのですが、以前から計画しています。目標はアメリカですね。
– アメリカといえば、有名映画監督のクエンティン・タランティーノがコアチョコのTシャツを着ていたとか。
そうなんですよ!以前、イーライ・ロスというホラー系の映画監督とコラボした際にサンプルを送ったら、イーライから手渡してくれたようなんです。とある映画のプレミア上映会でタランティーノがコアチョコのTシャツを着ている様子が報道されていて、それを見たときはとても嬉しかったです。
– 最後に、今後の展望についてお聞かせください。
コアチョコの購買層は40代が圧倒的に多いのですが、あまり懐古主義になりすぎてもいけないと考えています。機会さえあれば、なるべく新しい作品ともコラボしていきたいですね。例えば2022年にアニメ「オッドタクシー」とのコラボ商品をリリースしたのですが、SNSで若い世代から大きな反響がありました。
– 一方で、今やダウンロードやストリーミングで良くも悪くも手軽にコンテンツと出会える時代です。カルチャー愛をコンセプトにしたコアチョコにとっては、若い世代に対して複雑な思いもあるのでは。
そうですね……我々の世代って、一度好きになったらずっと好きじゃないですか。50歳でもスーパーファミコンをやり続けていたり(笑)同じように今、20代の若者が10年後、20年後も愛している作品はあるのだろうか?とよく考えます。
– 作品に対する熱量の違いはありそうですね。
若い世代の人たちも、自分にとって大切な作品を見つけてくれれば嬉しいですね。僕が「たけしの挑戦状」について今も熱く語っているように(笑)その点で言うと、若い世代のコアチョコファンにとってはTシャツが名作と出会うきっかけになっているみたいなんですよ。「新作Tシャツのあの映画、見ました!」「コラボしたあのレトロゲーム、面白かったです!」と声をかけてもらうことも多くて。そういった声を聞いた時はとても嬉しく思います。
MUNE様、貴重なお話をありがとうございました!
「超兄貴」コラボTシャツはオンラインストア、店頭にて絶賛発売中です!
在庫には限りがありますので、ぜひお早めにお買い求めください!
【取材協力】
ハードコアチョコレートヘッドショップ:〒164-0003 東京都中野区東中野4丁目10−16 クレールOSY 1F
BAR バレンタイン:〒164-0003 東京都中野区東中野4丁目2-1 帆苅ビル 3F
※記事内の情報は2022年4月時点のものです。