eスポーツの最新スポンサー動向

自動車、飲料、そしてアパレル――。北米地域のeスポーツ界隈でスポンサーとしての参入が最近目立つ3つの業界です。eスポーツのスポンサーといえば、PCや周辺機器、ゲーミングチェアのメーカーや、よりよいオンライン環境をうたう通信会社など、ゲームと直接的に関係のある業界が中心でした。それがeスポーツによるブランディングの広がりにより、ゲームとは直接的には結びつかない業界のスポンサーが急増しています。

 

自動車メーカーは最近特にeスポーツのスポンサーとして存在感を増しています。2019年に入ってからアメリカのeスポーツチームと新たなスポンサー契約を結んだ自動車会社だけでも、アウディ、BMW、起亜、ホンダ、日産とそうそうたるメンツが並びます。他にもダイムラー、ヒュンダイなどがすでにeスポーツの大手スポンサーとして知られています。

 

ホンダ、日産はもちろん日本の会社ですが、まだ日本国内では目立ったeスポーツへのスポンサーシップがないなか、米国の有力eスポーツチームとスポンサー契約を締結したことが話題になっています。ホンダがスポンサーとなったチーム・リキッド(Team Liquid)は、先月の「リーグ・オブ・レジェンド」世界大会で米国代表として史上最高の成績となる準優勝を成し遂げた超有名チームです。日産がスポンサーとなったフェイズ・クラン(FaZe Clan)とオプティック・ゲーミング(Optic Gaming)も、日本のeスポーツファンでも名前くらいは聞いたことがある人が多いでしょう。日本を代表する企業がアメリカではeスポーツチームをブランディングの軸の一つにしているというのは興味深いかもしれません。

 

飲料においては、コカ・コーラがオーバーウォッチ・リーグのオフィシャルスポンサーとなり、レッドブルも引き続きいくつもの大会やチームのスポンサーになっています。コカ・コーラは日本でも、この夏に行われる高校生の大規模eスポーツ大会「Coca-Cola STAGE:0 eSPORTS High-School Championship 2019」という大会のメインスポンサーとなったり、Sengoku Gamingなどチームのスポンサーになったりと盛んにスポンサー活動をしています。レッドブルも東京・中野にRed bull gaming sphere Tokyoを運営するなどeスポーツへのコミットが大きい企業として知られます。

 

 

また、日本だとあまり知られていませんがteaRIOTやSneakといった大手飲料ブランド(いずれもエナジードリンク)も近頃eスポーツチームとの大規模契約を結びました。ほかにもMonster Energy、eNgageなども有力なスポンサーです。

 

アパレルでは、Champion、Puma、New Era、Nikeなどが活発にeスポーツ大会やチームとの契約を締結したり更新したりしています。お気づきかと思いますが、どれも「スポーツ」のアパレルブランドの有名どころです。体を動かさないeスポーツでは、わざわざ「スポーツウェア」を着る必要はありません。プレイ中も、eスポーツでは選手の顔はたびたび大写しになりますが、服や靴はフィジカル・スポーツほどには画面に映りません。にもかかわらず、スポーツのアパレルブランドがこぞってeスポーツをブランディングに活用しているというのは興味深いといえます。

 

主に北米で、自動車、飲料(特にエナジードリンク)そしてアパレル(特にスポーツウェア)の3つの業界のeスポーツによるブランディングが顕著なのはなぜでしょうか。さまざまな側面がありますが、大きいのは「主要顧客が若者」ということでしょう。

 

その若者へのブランディングは、主にテレビを通じて、野球やバスケットボールなどのスポーツで行うというのが「王道」でした。eスポーツへのスポンサー広がりは、この「王道」にeスポーツが迫りつつあることを示しているのかもしれません。

 

少し前まではeスポーツの中心顧客は「ゲーマー」という限られた層だと考えられていたため、ゲームデバイス関連業界がスポンサーの中心でした。それが最近になって、より広く「若者」一般を顧客とし、大きな影響力を持つようになったということを、スポンサーの動向から読み取ることができます。

 

【参考記事】

https://esportsobserver.com/non-endemic-sponsors-q12019/

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