5Gとクラウドゲーミングはeスポーツをどう変えるのか

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2019年4月、海外で待望の「5G」つまり第五世代移動通信システムの商用サービス提供が開始されました。5Gでは、いま私たちが使っている4Gの何百倍もの大容量の通信を、1平方キローメートルあたり100万デバイス以上という多接続を行いながら、低遅延で可能にするといわれています。2時間の映画を数秒でダウンロードでき、遠隔地にいるロボットの操作を遅延ゼロで、つまり完全に同期した状態で行えるようになります。

 

そして5Gの普及により、本格的な「クラウドゲーミング」の利用が可能になると考えられます。クラウドゲーミングとは、ローカルデバイス上でゲームソフトの処理を行うのではなく、クラウドでそれを行いローカルデバイスにストリーミングを行うというサービスです。先日Googleの発表したSTADIAが今後クラウドゲーミングの代表的なサービスになりそうです。クラウドゲーミングは現状の通信ではまだまだ遅延、つまり「プレイヤーが入力を行ってからそれが反映されるまでの時間」が大きく、ストレスなくゲームができる環境になかなかなっていませんでしたが、5Gの普及によって問題が解決するといわれています。

 

 

さて、5Gは、通信技術と密接な関係にあるeスポーツの世界にとっても当然重要な関心ごとです。むしろ、現状では「普及をけん引する決め手のコンテンツに乏しい」(日本経済新聞の昨年9月の記事)といわれる5Gにとって、eスポーツこそ普及のカギを握るコンテンツであるとさえいえるのです。つい先日5Gのサービスを開始した韓国の通信大手KTが、訴求の目玉として提供を始めたのも「e-sports live」というeスポーツの観戦アプリです。このアプリを使えば、スマートフォンの画面を5分割して5人の選手がそれぞれ見ているプレイ画面を同時に表示することができます。

 

5Gとクラウドゲーミングはeスポーツにどのような影響を与えるのか、3点ほど見ていきましょう。

 

大会開催が簡単に

現在、eスポーツの大会を開く上で最大の困難は「機材のセッティング」です。機材トラブルとして特に多いのが「通信の不安定さ」と「デバイスのトラブル」でしょう。これらのトラブルを起きないようにセッティングする、また起きたとしてもスムーズに解決できるように、eスポーツの大会開催には専門家の手助けが不可欠です。

 

5Gが普及しても、専門家の手がいらなくなるということはありませんが、トラブルはかなり減ると見込まれます。eスポーツ大会の会場では、特に多数のモバイルデバイスを無線でつなぐ場合などは、通信が不安定になることがよくあります。しかしこれまでとは比較にならないほどの同時多接続が可能な5Gでは、通信が大幅に安定すると見込まれます。

 

また、PCやコンソールなどのゲームデバイスは、大会会場ではバージョンを統一したり、セキュリティソフトなどとの競合が起こらないようにしたりと非常に細やかな設定が必要になります。そのためゲームデバイスのトラブルで何時間も中断するeスポーツイベントは決して珍しくありません。

 

クラウドゲーミングにより、現在ローカルなデバイス上で行っている多数の処理がクラウドでできるようになると、デバイスのセッティングに必要な知識や工数は大幅に減ることになるでしょう。

 

デバイスのモバイル化

5Gによって大容量・低遅延の通信が実現し、さらにゲームをクラウド上で処理することができるようになると、スマートフォンでもこれまでPCやコンソールでしか表現できなかったような高度なゲーム性とグラフィクスが可能になります。

 

モバイルeスポーツは、わざわざイベントの主催者がデバイスを用意しなくても人が気軽に集まって遊べるのが強みですが、これがeスポーツの主流にならないのはやはりPCやコンソールのゲームに比べて「物足りない」と感じるプレイヤーが多いからでしょう。しかし5Gによって、プレイできるゲームの違いがPC・コンソールとモバイルとの間でなくなり、モバイル(それがスマホなのか、ニンテンドースイッチのような専用ゲーム機なのかわかりませんが)デバイスでのeスポーツが主流になることが見込まれます。

 

 

プレイヤーの「平等」が実現に近づく

多くのeスポーツプレイヤーは単に勝ちたいのではなく、「フェアプレイをした上で勝ちたい」と思っています。頑張って勝利したときに、相手が使っていたPCのスペックが自分のものよりはるかに劣り、通信環境も悪いことを知ってしまったら、少しがっかりしてしまうプレイヤーは少なくありません。対戦相手ならまだしも、チームメイトにそういう人に来てほしくないと、口に出さないまでも本音のところでは思わずにいられないプレイヤーが多数派です。

 

5Gが普及して通信環境の差異が小さくなり、ゲームのクラウド化が進めば、「高遅延のユーザー」「低スペックマシンのユーザー」など、環境の制約でプレイに不利を背負うユーザーが多くいる現在の状況が変化し、参加するすべてのプレイヤーが「平等」に近い環境でプレイすることができます。スポーツマンシップに則って正々堂々相手に勝ちたいプレイヤーにとっては、理想的な環境に近づくといえるでしょう。

 

以上、見てきたとおりeスポーツにとって5Gとクラウドゲーミングは巨大なインパクトがあります。また、5Gの側も普及の決め手をeスポーツと考えている関係者が多いようです。

 

【参考記事】

How 5G will level-up gaming and esports

Korea set for 5G, ready to enter other worlds

 

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