eスポーツを部活動でやるのはアリなのか?

#eスポーツ

2018年秋からオンライン予選が開催されていた「第1回全国高校生eスポーツ選手権」(主催:毎日新聞社、共催:サードウェーブ)の決勝戦が、2019年3月23日と24日、幕張メッセを舞台に行われました。筆者も動画配信プラットフォームにて決勝の模様を見ていましたが、高校生選手の熱気と会場の盛り上がりが画面越しにはっきり伝わってきて、大成功の大会だったように思いました。

 

一方で、時期を同じくして「中学高校でのeスポーツの部活取り入れ」に関する議論がネット上で盛り上がりました。「eスポーツに賛否 部活取り入れの動きも根強い反対」という産経新聞の記事によると、eスポーツを部活動で取り入れることについて「教員らの間では反対意見も根強く、教育現場は揺れている」そうです。

 

個人的には、ゲームに対する「なんとなくのネガティブイメージ」を持っていて反対している方には「高校生eスポーツ選手権」のハイライト映像を見てもらえば、見方を変える人が結構いるのではないかという気もします。

 

 

そもそも、部活動とは何なのでしょうか? 文部科学省が公表している高等学校の学習指導要領にその方針が記されています。

 

生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動については,スポーツや文化,科学等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵養等,学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり,学校教育の一環として,教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際,学校や地域の実態に応じ,地域の人々の協力,社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行い,持続可能な運営体制が整えられるようにするものとする。

 

中学校の学習指導要領にも同じく部活動に関する記述がありますが、内容はほぼ同じです。

 

あえて分解すれば

(1)スポーツや文化,科学等に親しませる

(2) 学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵養等,学校教育が目指す資質・能力の育成に資する

(3)教育課程との関連が図られる

(4)地域の人々の協力,社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などによって持続可能な運営体制が整えられる

という4点が「部活として成り立つ」条件のようです。eスポーツはこれらの条件を満たしているのでしょうか。

 

さて、これに照らし合わせて「部活動でeスポーツに取り組む」ことはアリだといえるのでしょうか? 一点ずつ考えて見ましょう。

 

(1)スポーツや文化,科学等に親しませる

「eスポーツはスポーツか」を議論し始めると収集がつかなくなるので立ち入りませんが、少なくとも、適度な運動をすることは継続的にeスポーツに取り組むうえでの必須条件とみなされており、プロレベルだと各チームが練習に身体運動を取り入れています。部活としてのeスポーツも、高いパフォーマンスを目指す部であれば適度な運動が取り入れられることでしょう。

 

また、ゲームは文化のひとつとして既に定着したといえます。ゲームは文化庁が推し進める「メディア芸術の振興」における一分野になっていますし、 「日本ゲーム大賞」も経済産業省が後押ししているため、少なくとも国はゲームを立派な文化として認めているといえます。

 

また、ゲームは科学、特にコンピューターサイエンスと相性が良いものだといえます。これについては後述します。

 

(2) 学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵養等,学校教育が目指す資質・能力の育成に資する

「高校生eスポーツ選手権」やプロのeスポーツの試合を観たことがある方には納得していただけると思いますが、「責任感や連帯感の涵養」という点は、eスポーツで求められるチームワークや、チームへ貢献する意識は従来のスポーツにまったく劣りません。eスポーツというと格闘ゲームで1対1の対戦をするというイメージを持っている方も多いと思いますが、近頃の格闘ゲームシーンでは3対3や5対5の団体戦もよく行われています。また、世界的なeスポーツの主流であるMOBAやFPSでは1チーム3~5人が同じフィールドで戦うため、高度な連携が求められます。

 

そして「学習意欲の向上」「学校教育が目指す資質・能力の育成」という点では、日本ではまだあまりそういう認識がないかもしれませんが、アメリカではゲーム、特にeスポーツタイトルになるようなハードコアなゲームのプレイヤーは、高給な仕事と結びつきやすいSTEM(科学Science、技術Technology、工学Engineering、数学Mathematicsの頭文字)系学科との相性がよいことがメディアで頻繁に取り上げられており、ゲームをプレイすることがSTEM系学科への関心を高め、学力を向上させる可能性についても注目されています。

 

(3)教育課程との関連が図られる

ゲームと教育課程の関連について、あまりピンとこない方も多いかもしれません。しかし、国内でも本格的になりつつあるプログラミング教育は、ゲームと非常に相性がいいことが知られています。ゲームそのものがプログラミングによってできているものですし、ゲームの上達がプログラミング的な思考の向上につながる部分もあります。

 

ちょうど今月(2019年3月)、小学校で2020年度から使われる、プログラミングを盛り込んだ教科書が発表されました。次の時代の教育を象徴する教科書ですが、eスポーツとの関連性は大きいといえます。

 

 

(4)地域や教育団体との連携などによって持続可能な運営体制が整えられる

eスポーツは統括団体や大手ゲーム企業の主導のみによって推進されているわけではありません。すでに各地の自治体や、地域の大小さまざまな規模の団体が、eスポーツによる地域振興や教育への活用に取り組んでいます。また、日本eスポーツ連合も北海道や山形、富山など、2019年1月の時点で11の支部を設けており、eスポーツのローカルな盛り上がりを後押ししています。

 

これらの団体の中には、eスポーツの部活動運営に協力し、学校といっしょになって盛り上げてくれるところが少なくないと思われます。

 

以上、学習指導要領の部活動に関する記載に基づいて、「eスポーツを部活動でやるのはアリなのか?」を考えてみました。当然ながら学習指導要領が全てではないので、さまざまな観点から、さまざまな意見が出てくるべきだと思います。しかし、筆者が見た「高校生eスポーツ選手権」には、まぎれもなくそこに真剣勝負があり、チームワークがあり、青春があったということだけはお伝えしたいと思います。

 

【参考資料】

第1回全国高校eスポーツ選手権

高等学校学習指導要領 

文化庁 メディア芸術データベース

 

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