新型コロナウイルスの影響により新しい生活様式が求められるようになってから、早くも一年近くが経ちました。
皆さんの身の回りでも数多くの変化があったと思われますが、やはり仕事や学業のオンライン化が進んだ方が殆どではないでしょうか。休日も含めて自宅で過ごす時間が増えており、これを「何かを新しく始める」きっかけとして、トレーニングや読書など新習慣にチャレンジしているという声も多く聞かれます。
この状況下で注目を集めているのが、自宅に居ながらにしてスキルを身に着けられる「オンラインレッスン」の存在です。自分の都合の良い時間に受けられることや、地理を気にせず好きなジャンルを選べることで、コロナ禍以前より多くの受講者を獲得しているというデータもあります。
そして、こうした「オンラインレッスン」の波はゲームやeスポーツの世界にも到来しています。今回は、これまで習い事というイメージを持たれることの少なかったゲームの世界で実際に行われているレッスンを紹介していきます。
コロナ禍以前からもオンラインで受講するケースが知られていた習い事のひとつが、英会話です。会話中心のレッスンは通話形式との相性が良く、特別な機材がなくてもチャレンジしやすい点が大きな魅力となっています。
そして、そんなオンライン英会話にゲームの要素を組み合わせた「ゲーミング英会話」というレッスンが登場しています。目的はもちろん英会話の上達であり、内容も講師と一緒にオンラインゲームをプレイしながら英語での実践的なコミュニケーションを学ぶというものです。
形式は実にシンプルですが、今や国際的な人気競技となっているeスポーツの世界では英語力も求められるスキルとなっており、選手用の英会話レッスンを行っているプロチームも存在するほどです。実際にゲームをプレイしながら専門的な用語や独特のシチュエーションに合わせた英語が学べる機会と言うのは、なかなか普通の英会話教室では得られない機会でしょう。
競技シーンを目指していないゲーマーにとっても、普段のカジュアルなプレイで外国のプレイヤーとコミュニケーションを取れることは大きなアドバンテージです。オンラインゲームではアジア圏のプレイヤー同士でも簡単な英語でコミュニケーションするケースが多く、レッスンが役立つ機会は多いと考えられます。
何より英語力向上のためにレッスンを継続して受けるには、モチベーションの意地も不可欠。ゲームをしながら英語が学べるというだけでも、ゲーマーにとっては興味深い試みではないでしょうか。
ゲームが「上手くなるため」のオンラインレッスンも存在しています。
ゲームの上達法は人それぞれであり絶対的な正解は存在しませんが、対人戦で勝つためには操作術だけでなく知識や戦術観が必要になります。そうした考え方や手順を現役のプロ選手やコーチが指導してくれるのが、eスポーツのオンラインレッスンです。
このレッスンが成立することは受講するプレイヤーにとってはもちろん、指導する選手やコーチにとっても「ゲームの技術」を価値のあるものとして示す機会になるので、非常に貴重です。
何よりも、現役のプロ選手に指導を受けられるというのはそのタイトルのファンなら間違いなく嬉しい体験であり、まだ歴史が浅いeスポーツだからこそ実現できる贅沢なシチュエーションだと言えるでしょう。
レッスン内容は受講者のプレイ動画を振り返っての反省や添削などプレイヤーに寄り添った形式で、現在の腕前に合わせたレベルで行われます。プロの指導を体験してみたい人から、真剣に上達を目指す人までを幅広く楽しめる内容であり、試合以外へとプロ選手の活動の場を広げる意味でも、今後さらに増えていくことが見込まれます。
eスポーツという競技的な側面からは少し外れますが、世相を反映して増加しているのがゲームを用いてコンピュータープログラミングの技術を学ぶレッスンです。
プログラミングは今や中学校の授業でも必修科目となっており、社会でも今後求められることが多くなると予想されるスキルですが、実際の所はまだまだ馴染みがないという方も多いかと思われます。
ゲームを用いたプログラミングは「実際にゲームを作ってみる」という体験が実践的かつ親しみやすいことから相性が良いと考えられており、オンラインだけでなく高性能なPCを備えたeスポーツ施設でプログラミング教室が開かれているというケースもよく聞かれます。
現在は小中学生を対象にプログラミング学習の入門や学校の授業を補完する位置づけで行われることが多くなっていますが、今回紹介したレッスンの中でも今後ニーズが高まっていく可能性が高いと考えられる内容です。
近年は通信制講座などを通じたスキルアップも「大人の習い事」と呼ばれてお馴染みになってきていますが、こうした「ゲームを使ったスキル」が定番となり、ひいてはゲームのスキルそのものも認められるようになっていけば、eスポーツ界にとっても追い風となるのではないでしょうか。