第2回大会は大阪府が優勝

全国都道府県対抗eスポーツ選手権を知っていますか?

#eスポーツ

2020年12月末、「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2020 KAGOSHIMA」が開催されました。

 

「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」は2019年に茨城県で初開催され、今回で2回目の開催となります。2019年の初開催では「いきいき茨城ゆめ国体」の文化プログラムとして実施され、正式種目ではないものの「国体にeスポーツ採用」という事実が話題を呼んだのも記憶に新しいところです。

 

2回目となる2020年も当初は鹿児島で「燃ゆる感動かごしま国体」が予定されており、この選手権も前年同様に鹿児島県に出場者が集まってのオフライン大会が計画されていましたが、2020年6月に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け国体は延期となりました。

 

eスポーツ選手権についても開催が危ぶまれましたが、ゲームならではの「オンラインで対戦可能」というメリットを生かす形へ開催方式を大きく変更し、当初の10月予定から12月にずれ込んだものの、多くの関係者の尽力によって年内の開催が実現しました。

 

今回は、「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2020 KAGOSHIMA」の結果を振り返りながらeスポーツ選手権について紹介します。

 

大阪府が総合優勝 開催地の鹿児島県も6位に

 

大会の開幕は12月20日。開会式では主催者挨拶に始まり、代理ではありましたが昨年の総合優勝だった茨城県から優勝旗の返還、そして開催地である鹿児島県代表の選手による選手宣誓と式典が続きました。

 

 

やはり「国体」と共に行われる大会であるという背景もあり、こうしたスポーツや武道の大会では定番のセレモニーとなっています。普段開催されているeスポーツのプロリーグや大型大会では派手な演出や選手紹介はあっても、このような形式は殆ど見られないので、新鮮さが感じられる要素のひとつです。

 

同日には他タイトルに先駆けてに一足早く「eBASEBALLパワフルプロ野球2020」の本選が実施され、学生の部と一般の部の2部門で事前のオンライン大会を勝ち抜いた代表選手によるトーナメント戦が行われました。

 

大会は翌週の12月26日と27日に引き継がれ、「eFootball ウイニングイレブン」、「グランツーリスモSPORT」、「パズドラ」、「ぷよぷよeスポーツ」の4タイトル6部門の試合を実施。それぞれの部門で代表選手による熱戦が繰り広げられ、熱戦の模様は鹿児島県のMBC南日本放送を拠点に複数のチャンネルで配信されました。

 

各タイトルのプロ選手も参戦するなどハイレベルで争われた大会を制し、見事2020年大会の総合優勝に輝いたのは大阪府。総合2位には僅差で東京都が続き、同率3位は福島県と埼玉県。5位には神奈川県が入り、以下、広島県、鹿児島県、京都府と続きました。

 

今大会の本選出場に向けては各タイトル別にオンラインでの予選が行われました。多くのタイトルが地方別に「地域代表」を選出する形式を採用していたため、各都道府県から均等に代表選手が登場したという訳ではありません。

 

大会結果を見るとやはり上位勢には首都圏、あるいは人口の多い都道府県が並んでいますが、これは単純な競技人口の多さに加えて都市部を拠点とするプロ選手が多いことも関係していると思われます。

 

地元の鹿児島県は開催地枠として全てのタイトルに代表選手の出場枠が設けられていましたが、それを加味しても総合6位は見事な戦績です。昨年も地元の茨城県が総合優勝を飾っており、開催地が強さを見せるシーンと言うのも都道府県対抗戦ならではの要素と言えるでしょう。

 

プロシーンとは異なるアングルの大会として発展中

 

冒頭でも紹介したように大会はオンライン上での対戦となりましたが、配信では試合後にオンラインでインタビューを実施したり、対戦中の参加者の映像を中継したりと、リモート環境下でも「出場者全員が大会に参加している」という雰囲気を損なわない工夫が見られました。

 

本大会には普段からオンライン大会への出場経験が多いプロ選手だけでなく、学生や一般のプレイヤーも数多く出場していました。それでも大きなトラブルもなく大会の進行を完全にやり切ることができたことは、改めて「eスポーツの大会はオンラインで参加して楽しめる」というメリットを全国規模で示したと言えるのではないでしょうか。

 

大会の知名度としてはeスポーツファンにもまだまだ浸透していく余地を大きく残していますが、初開催だった1年目から採用タイトル数が増え、参加者も発表では83,000人と初開催の5倍以上に増加しました。これは実際に会場に足を運ぶ形式よりもオンライン予選の方が参加へのハードルが低いと感じた方が多かったのではないか、ということも推測される数字です。

 

通常、大会というのは敗退してしまうとそれで終わりですが、都道府県対抗戦という形式では「自分の地区の代表選手を応援する」という新たな楽しさが生まれます。実際に本大会の配信上でも「地元だから」という理由で代表選手へエールを送るコメントが多く見受けられました。

 

▲ 2019年大阪予選会場の様子

 

今や日常的に数多く行われているeスポーツの大会は、ハイレベルな真剣勝負が繰り広げられるプロシーンのものか、あるいはゲームそのものや対戦協力プレイなどでプレイヤー同士の交流を楽しむいわゆる「エンジョイ」を目的としたコミュニティ大会が殆どです。

 

その点、この「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」は真剣勝負でありながら、年齢によるカテゴリ分けや都道府県対抗による「団体戦」という背景によって、誰でも参加しやすく盛り上がれる独自の大会として発展していく可能性があるのではないかと感じられます。

 

実施タイトルについても現時点ではスポーツゲームが複数採用されており、まさにスポーツと文化プログラムが共存している国民体育大会のイメージそのままに参加できる大会になっているのではないでしょうか。日頃の練習の成果を発揮する場として、プロアマ問わず国内のゲームプレイヤーなら誰もが目指す大会のひとつになっていくと嬉しいと思います。

 

2021年は10月に三重県での開催を予定

 

「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」の第3回目となる大会は、2021年10月に三重県で開催予定と発表されています。

 

日程は10月16日(土)、17日(日)。同時期に開催を予定している「三重とこわか国体・三重とこわか大会」の文化プログラムとしての実施を目指しており、新型コロナウイルスの感染拡大は未だ予断を許さない状況ではありますが、初年度と同様のオフラインでの大会開催が検討されています。

 

採用タイトルについても「モンスターストライク」を加えて6タイトルを予定しており、更なる規模の拡大が見込まれます。

 

初年度と同様であれば春から初夏には予選が開始されることが予想されますが、地域やタイトルによっては今からでも代表選手として出場を狙える可能性もあるでしょう。

皆さんも2021年の目標に「eスポーツで国体出場」を掲げてみる、というのは如何でしょうか。

 

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