今こそ娯楽として定着を

eスポーツが配信コンテンツとして広がる可能性

#eスポーツ

動画の配信サイトやストリーミングサービスで楽しむコンテンツと言えば、やはりドラマや映画などの映像作品を思い浮かぶのではないでしょうか。あるいは、スポーツファンの方々は国内外のスポーツ中継が見られる専用サイトに登録しているという方も多いでしょう。

 

その「配信コンテンツ」を取り巻く環境は2020年、大きく変化しました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、これまであまり「オンライン」のイメージが持たれていなかったアーティストによるライブや演劇なども無観客での配信を行うようになり、その競争は激化していると言わざるを得ません。

 

そして、こうした「配信コンテンツ」の変化の波はeスポーツ界にも押し寄せています。かつてない「娯楽が選べる時代」である今、eスポーツの配信コンテンツとしての未来を考えます。

 

 

「eスポーツは、以前から配信で見ることが多かったのではないか?」という認識の方もいるかもしれません。確かにeスポーツ大会はオフラインで開催されるという前提はありつつも、その内容は動画配信サイト上で無料で見られることが殆どでした。

 

同じくゲームというコンテンツを用いた「ゲーム実況動画・配信」という文化が根付いていることもありゲームファンは動画視聴へのハードルが低く、eスポーツと配信は近しい関係を築いてきたと言えます。

 

それはあくまでも、オフラインでの大会やイベント、試合の開催・運営が可能な状況下で発展した文化です。中には有料での限定配信など実験的な取り組みを行うeスポーツ大会も出現しており、eスポーツの配信は新たな局面を迎えています。

 

これからさらに魅力あるコンテンツとして成長していく上では、これまでとは異なる工夫や発展が求められるのではないでしょうか。具体的なポイントとしては、以下の2つです。

 

競技性を保ちながらライブ感を損なわないコンテンツに

 

当然のことながらeスポーツは対戦競技であり真剣勝負です。今では「たかがゲーム」とも言われることは少なくなり、プレイヤーが難しい技術を駆使しながら高度な駆け引きを行っていることが広く知られ始めている段階です。

 

これはもちろん数あるスポーツも同じことであり、その真剣さが伝わっているからこそ、視聴者は配信であっても「ライブ感」を味わうことが可能なのでしょう。しかし、配信をしていくうえで、eスポーツは他のスポーツとは様々な違いが生まれます。

 

例えば、バージョンの違い。ゲームでは定期的に内容のアップデートが行われますが、これは現実のスポーツにおけるルール改定よりも遥かに頻繁です。久しぶりに競技シーンを見てみると以前とはすっかり戦術が変わってしまったというケースも珍しくなく、ライト層にとっては少しハードルに感じる面かも知れません。

 

しかし、だからと言ってアップデートの回数を減らしてしまえば同じチームや戦術ばかりが勝ってしまうマンネリにも繋がります。配信でいつでも見られる気軽さと真剣勝負のバランスはひとつの課題と言えるでしょう。

 

加えて、このリモート環境下で事前収録形式も増えているeスポーツの配信では「ネタバレ」にも配慮が必要です。事前に結末が分かってしまうと視聴へのモチベーションが下がってしまう、というのはスポーツファンの一人として私もよく経験する出来事ではありますが、これは簡単には解決しない難しい課題です。

 

スポーツ専用のストリーミングサイトでは、途中から視聴した場合でも試合の最初から再生される機能や、すぐにスコア速報が表示されない機能などで配慮しているケースも増えており、将来的にはeスポーツにもこのようなサポートが充実することが理想のひとつかも知れません。

 

魅せるコンテンツとしてのeスポーツ

 

今後はさらに競技性だけでなく、いかにエンターテインメントとして魅力あるコンテンツにしていくか、という側面も重要になると考えられます。

 

昨今、オンライン上で配信されることの増えた音楽ライブなどのエンターテインメントに特化したコンテンツは、言ってみればファンにとって「ある程度の満足感が保証されている」状態と言えます。

 

程度に差はあっても、視聴者にとってそのアーティストやタレントが好きで視聴している以上は「外れがない」と言い換えることも出来るかと思います。

 

しかし、eスポーツが完全にこれらのコンテンツと競合している訳ではありません。eスポーツ大会やタイトルそのもののファンになってもらうことで、勝敗や試合内容に依存しない魅力を創生していける可能性があると考えます。

 

 

もちろん「元々そのゲームのファンだから」というのが数多くの視聴者の根底にある動機だと考えられますが、そこから一歩踏み込んで選手やチーム、あるいは実況キャスターのファンを生み出していくことがひとつの理想になるのではないでしょうか。

 

昨今はプロeスポーツチームも選手選考の段階で、実力だけでなくプロとして責任ある発信活動が出来る人物像かどうか、という面を重視している姿も目立ちます。日頃から勝利のために、そして応援してもらうために努力を惜しまない選手たちの事をよく知ってもらうマネジメントが、eスポーツチームにとってもコンテンツとしても重要になってきます。

 

真剣勝負である以上はどうしても「配信映え」しない試合内容や展開になることもあり、その中でも数ある娯楽からeスポーツを選んでもらうために、まだまだ出来ることは沢山ありそうです。

 

全くゲームを知らない人にもリーチしていくチャンスに

 

これまでのeスポーツ界の努力と、昨今の社会情勢を受けて「オフライン大会の配信」として親しまれてきたeスポーツの配信が「オンラインでの配信コンテンツ」という側面を強めている今、これまで以上に広い層へとリーチするチャンスと考えることも出来るのではないでしょうか。

 

しかし、一般の層にも広く知られ始めたという事は、今までよりも幅広い層に向けた配信を想定しなければいけないことを意味します。同時に、オンラインで楽しめるエンターテインメントが増えつつある現状は、今まで以上に娯楽としての競合が激しくなることも予想されます。

 

「eスポーツ」という言葉はすっかり浸透しましたが、最終的には全くルールを知らないスポーツでもテレビ中継や配信を通じてファンになる人がいるように、全くゲームを知らない人もeスポーツのファンとして定着する未来を追い求めたいと思います。

 

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