コロナ禍でも、より身近に

『3年目のeBASEBALLは「毎日配信」へ』

#eスポーツ

新型コロナウイルス感染症の影響で様々なeスポーツリーグが開催方式の変更を迫られた2020年。『パワプロ』シリーズを使用したプロリーグとして今年で3季目を迎える「eBASEBALL プロリーグ」もそのひとつです。

 

今年は事前収録形式となり、平日を含め約1か月の間ほぼ毎日公式戦を配信中。毎週末に観客を入れてのライブ配信を行っていた過去2シーズンから大胆な方針転換となりました。

 

同リーグを主催するコナミデジタルエンタテインメント(以下、KONAMI)と、日本野球機構(以下、NPB)はどのような狙いを持って今シーズンに望んでいるのか。今回はKONAMIからプロモーション企画本部の戸部浩史氏、そしてNPBより事業推進部の妻木彩奈氏にお話を伺いました。

 

──まず今年は上半期からプロ野球が開幕を延期せざるを得ない状況下で、『パワプロ』を用いた「バーチャル開幕戦」などのイベントがありました。実施背景などを簡単に振り返っていただけますか。

 

戸部浩史氏(以下、戸部):大前提として、今年は新型コロナウイルス流行の影響もあり、eBASEBALLについてゼロベースでの見直しを迫られる年になりました。

eBASEBALLには理念として初年度から掲げている「もうひとつのプロ野球」というアイデンティティがあります。実際のプロ野球が開幕が延期になったことでeBASEBALLに出来ることはないかと考えた結果、『パワプロ』で現実のプロ野球に基づいたイベントを行う「バーチャル開幕戦」や「eオールスター2020」に繋がったと思います。

 

有難いことにNPB様、12球団の方々、そしてパートナーやスポンサーの皆様にもご賛同とサポートを頂き、その取り組みを実現できた。というのが今年の前半ですね。

 

妻木彩奈氏(以下、妻木): NPBとしましても、プロ野球ファンの方の「早く野球が見たい」という気持ちは感じておりました。その中でオンラインを通じて実施が可能なeBASEBALLの取り組みで、少しでもネガティブさが払しょくされれば、そして「またプロ野球が始まる」という空気を作ることが出来ればと考えておりました。

 

▲NPBの妻木彩奈氏

──そうしたイベントではプロリーグでの試合と違った選手起用法なども見られ、新しい角度の楽しみが増えました。

 

戸部 :「夢を与える」という点では良いことが出来たのかなと感じています。一連の配信は再生回数では150万回を超えており、述べ視聴者でも50万人以上の方々にご覧いただきました。野球ファンの皆さんの球場へ足を運べない寂しさに対して、別な角度から楽しみを届けられたと思います。

 

▲eオールスター2020の模様

 

──そして夏ごろからは3年目のプロリーグが始動しましたが、完全にオンラインでプロテストを進めていくなど、例年と違った形式でのスタートになりました。

 

戸部先ほどもありましたように「全て再考する」という段階にはなりましたが、プロリーグをやらないという選択肢はありませんでした。それなら、逆にどのような形式なら今の状況でも実施出来るかを考えた結果、予選もドラフトもすべてオンラインで。という所で決定に至りました。

 

ただネガティブな状況下での判断だったという訳ではなく、全世界的にeスポーツの注目度が高まっていることがひとつの判断材料になりました。プロスポーツ選手がeスポーツに挑戦するニュースなども話題になっていましたし、スポーツファンの皆さんに対する配信コンテンツとして、eスポーツに確かなニーズがあることが把握できていました。

 

オンラインで進めていくこともフィジカルスポーツに比べるとハードルが低いですし、そうしたニュースに背中を押されたという背景もありましたね。

 

──それぞれのお立場からオンラインで進めていくことにどのような難しさを感じていらっしゃいましたか?

 

妻木NPBよりも球団の視点にはなるのですが、選手選考の段階では移動などが制限され、候補者に直接会えない状況下で所属する選手の指名を検討しなければいけませんでした。

 

ですから選手のゲームプレイだけでなく、普段の立ち居振る舞いなどに関する情報についても出来るだけ提供できるようにいたしました。そこが一番難しさを感じたポイントです。

 

 

戸部そうですね。オフラインでのプロリーグを実施してきた例年とは違った難しさはありましたが、これまでのスタイルを見つめなおす良い機会にはなったかなと思います。

 

その中で、今年はひとつチャレンジングな要素として試合の模様を事前収録し、1日数試合ずつに分けてほぼ毎日配信いたします。今シーズンに向けて、やはり「観客を入れるか、無観客でやるか」というのは非常に重要なポイントだったのですが、今年は「配信コンテンツとして勝負しよう」と無観客開催の方向へすんなりと舵を切ることが出来ましたね。ただそれが正解だったかは、また今年が終わった後に判断しなければならないことだと思います。

 

逆に、本番の対戦も含めて完全なオンライン形式の配信というのはまだチャレンジ出来ていないので、今後の課題なのかなと思っています。対戦の収録から配信まで全てリモートでやり切ることが出来れば、接触のリスクは最も少ないですよね。

 

──オンラインでプロテストが進み、今年のプロプレイヤーを選抜するeドラフト会議もリモート形式で行われました。こちらはどのような手応えや反響がありましたか?

 

妻木:eドラフト会議では各球団や候補選手など、全国約60か所を結んでの実施となりました。やはり一番のハードルとなるのは回線の問題だったのですが、大きなトラブルなくやり遂げられたのが非常に良かったと思います。

 

12球団の中には室内練習場から中継を繋いだ広島東洋カープだったり、球場が見えるE・ZO FUKUOKAという施設からpepper君と一緒にご登場いただいた福岡ソフトバンクホークスだったり、オンラインならではの球団カラーが感じられる要素も、見ている方にもお楽しみいただけたのではないでしょうか。

 

▲eドラフト会議では候補者だけでなく12球団もリモートでの参加に

 

戸部中継元となったのは当社の施設内にある「esports銀座studio」というスタジオなのですが、この施設はeスポーツ専用に作られており、通常のオフィスビルに比べてかなり強い回線を引いています。この施設を持っていることで安定した配信に大きな効果がありました。今後も活用していける要素だと感じましたね。

 

ドラフト会議らしい重複指名によるクジ引きも、展開として面白かったですね。あとは事前の予想がドラフトの面白いポイントですので、候補者の認知や理解をもっと深めることが出来れば、更に楽しんでいただけるのではないかなと。

 

──いよいよ開幕を迎えたプロリーグは事前収録形式となり、約1ヵ月間、月曜日以外は連日配信されます。この日程や形式に決まった背景や狙いはどのようなものだったのでしょうか。

 

妻木日程に関してはやはりプロ野球のオフシーズン中に実施するという前提があり、12月の開幕となりました。当初は年末年始やクリスマスといった時期にも配信を毎日続けるべきか、という点について議論はありましたが、コロナ禍でビジネスとして拡大することが難しい状況の中で「発展的に出来ることを」という目的で連日配信を決めました。

 

例年は週末に大きな箱を借りて実施していたものを、今年は月曜日以外毎日の配信とすることで現実のプロ野球のように視聴習慣を根付かせたいという意図もあります。

 

戸部:これまでで一番短期集中型になるので、それをどう受け入れて頂けるかというのもポイントですね。

 

──少し話変わりまして、パワプロは国体の文化プログラムや中高生大会という「プロリーグ以外」のeBASEBALLについても取り組みが続いています。

 

妻木NPBとしては大会には携わっておりませんが、昨年は中高生大会からプロリーグへとステップアップするプレイヤーがいました。こうした流れが更に普及して、現実の野球のようにステップを踏んでプロの方へと挑戦していくようになっていけばという期待があります。

 

戸部野球を含め、あらゆるスポーツで一番大事にしなければいけないのは裾野の拡大、競技人口の拡大だと考えています。有難いことにゲームソフトは50万本以上売れていますが、プレイ人口の面では野球人口に近づけていくことが課題です。一方で、今後はプロリーグをより体系立てて行くことが重要と考えております。

 

今は言ってみればピラミッドの一番上にプロリーグがありますが、その下の段を広げていく方策が中高生大会や国体の文化プログラムになってくると考えています。残念ながら、今年は、国体が開催中止となってしまい、eスポーツは「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2020 KAGOSHIMA」としての開催となります。いずれにしても、上手い人が競技シーンに入っていく入口を分かりやすくしたり、あるいは地方のプレイヤーも参加しやすい体系づくりですね。

 

──今年のプロテストでも、年齢や地域がひとつのハードルとなって挑戦を断念されたプレイヤーもいらっしゃったと思います。

 

戸部そういう意味では、各都道府県を代表して出場する国体のような全国大会という舞台は非常に分かりやすく、良いキッカケになるのではないかと思います。学業との兼ね合いという観点でも、他のスポーツのように大会に参加するための遠征や移動時間が必要ないので、オンラインならではのメリットになるかも知れませんね。

 

──ありがとうございます。それでは最後に、今シーズンに向けて展望をお願いいたします。

 

妻木やはりほぼ毎日配信するという所で、まずプロ野球ファンの方に見ていただきたいなというのがあります。無観客というのは残念な所ではありますが、スタジオでの撮影として「eBASEBALLバーチャルボールパーク」という演出を取り入れてますので、是非注目していただきたいところです。

 

私も先日、収録現場で選手の試合を拝見したのですが、選手がヘッドセットを着用してのボイスチャットで意見を交換しており、その会話内容が非常に興味深いものでした。その内容も配信上で拾ってお届けできるのではないかと思っていますのでお楽しみください。

 

 

そして、今シーズンのプロ野球を無事に最後まで実施できたのも、医療従事者の方々のご協力があってのことだと思います。NPBでは「ありがとう!リストバンド」として青いリストバンドを選手が着用し、チャリティーを行っています。eBASEBALLでもその取り組みに絡めて、プロプレイヤーの方にもリストバンドを着用していただいています。

 

ファンの方にプロ野球とeBASEBALLを少しでも身近なところに感じていただけるよう、今シーズンも取り組んでいきたいと思います。

 

戸部繰り返しになりますが、オフシーズンにしか見られない「もうひとつのプロ野球」というのがeBASEBALLプロリーグの存在意義だと思っています。今年は例年にない短期集中の配信になりますので、その魅力をキチンとファンの方に届けて面白さを感じて頂けたら嬉しいと、ただそれだけですね。

 

──本日はありがとうございました。

 

戸部・妻木 ありがとうございました。

 

<eBASEBALL プロリーグ 公式サイト>:https://e-baseball.konami.net/pawa_proleague/

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