eスポーツ界のアマチュア事情

拡大する学生シーン。社会人eスポーツリーグも始動

#eスポーツ

ゲームを用いた対戦競技である「eスポーツ」。

 

海外を中心に発展したeスポーツ文化も徐々に日本へと浸透し、2018年には新語流行語大賞にもノミネート。ここ数年で大型の国内大会やイベントの開催も増え、一過性のブームから競技として定着していく兆しを見せています。

 

競技として受け入れられることで「ゲームの上手さ」が社会的価値に繋がり、ライセンス制度などの整備も手伝って、今ではプロゲーマーという肩書きもひとつの職業として確立されつつあります。

 

こうしてeスポーツが普及することで影響があるのは、何もプロに限りません。今回は社会人や学生のカテゴリーで展開されている、アマチュアeスポーツ事情についてご紹介します。

 

社会人eスポーツによる業界拡大を目指して

 

2020年10月、企業に勤める社会人アマチュアeスポーツプレイヤーを対象とした社会人eスポーツリーグ「AFTER 6 LEAGUE」が始動します。年間を通じてオンラインでの対戦が予定されており、採用タイトルはPCゲームからコンシューマ、モバイルまで幅広く5部門に。

 

リーグ理念として「企業間交流の促進」と「企業eスポーツ活動の支援」を掲げており、単に勝敗を決するだけでなく本リーグを通じて社会人eスポーツが活発になることを目指しています。

 

企業にとってはリーグへ参加することでeスポーツファン層へのアピール効果が考えられ、方向性を同じくする企業同士での交流も生まれることによる更なる業界の発展も見込まれます。

 

 

加えて、「AFTER 6 LEAGUE」では全て複数人によるチーム戦タイトルが採用されているのも大きなポイント。チーム練習などの機会によって社内コミュニケーションの活発化に繋がることも効果として期待できるでしょう。

 

今でこそeスポーツは一般的になり専業のプロ選手が数多く誕生していますが、かつては就職を機に競技シーンから離れるプレイヤーも珍しくありませんでした。

 

今でも高いスキルがありながら長期的な安定が保障されないことでプロへの道を断念する選手も多く、華やかな表舞台とは裏腹に、将来へ向けてまだまだ発展の余地を残しているのがeスポーツ界の現状です。

 

今後、社会人eスポーツが盛んになれば、将来的にはプロスポーツにおける実業団のように「就職しながらeスポーツ選手を続けられる」という立ち位置となる可能性もあり、実力ある若いプレイヤーを競技シーンに留めたり、あるいは将来的には「eスポーツ採用」という形での就職が実現したり、という可能性も考えられるのではないでしょうか。

 

学生大会は長期的なプレイヤー層の拡大に

 

社会人よりも若く、そして大きなカテゴリでも独自のシーンを展開する動きは広がっています。それが学生eスポーツであり、数多くのタイトルで学生ナンバーワンを決する全国大会が開催されてきました。

 

昨年からeスポーツが文化プログラムとして種目に取り入れられた国民体育大会では少年の部や学生の部が設けられている他、高等学校やそれに相当する専門学校の学生が出場できる「Stage:0」や「全国高校生eスポーツ選手権」は大規模な学生大会として知られています。

 

これらの大会参加者はeスポーツを授業科目に採用している電子系の専門学生から公立高校のeスポーツ部員、あるいは大会のために友人を誘ったというチームまで実に多彩。同じ学校から複数チーム出場するケースや大会のために授業で採用タイトルを練習する学校もあり、学生プレイヤーにとってひとつの大きな目標になっています。

 

学生同士の対戦は他のスポーツ同様に不思議とフレッシュな魅力がありますが、選手にとっても同年代の相手と対戦することは普段のオンライン対戦とは違った刺激にもなるでしょう。

 

高校生大会と同様に盛んな学生シーンが、大学生カテゴリー。こちらに目を向けると学校単位で参加する大会は中々ありませんが、より自主性の高い交流大会を主催するケースが多く見受けられます。

 

自分たちで大会や交流を行うことで運営や配信のノウハウを学ぶ機会にもなっており、eスポーツ業界を具体的な進路として考えている学生の実践の場としても活かされています。

 

また、世界的なeスポーツタイトル『League of Legends』を運営するRiot Gamesは「LeagueU」という学生支援プログラムも行っています。例年『League of Legends』の大会を実施しており、今年は新作FPSタイトルである『VALORANT』を加えた2タイトルで学生対抗戦を開催しました。

 

 

イベントへの賞品提供や大会用の機材貸し出しも行っており、PC販売サイトと連携して大会に参加する学校へゲーミングPCのレンタルを行うなど、手厚いサポートでコミュニティに尽力し、裾野の拡大のために取り組んでいます。ゲームを運営する側からしても若くして競技と真剣に向き合うプレイヤーは貴重ということの表れではないでしょうか。

 

未来のためにも裾野の拡大を

 

昨今は小学生の憧れの職業のひとつにも上げられる「プロゲーマー」ですが、現状は具体的にプロゲーマーになるための道のりが示されているとは言い難い段階です。

 

ここ数年は学生大会で結果を残した選手がプロシーンに挑戦するケースも徐々に見られるようになっており、アマチュアの舞台がプロゲーマーを目指すためのステップとして確立されて行くことで、より「プロゲーマー」という将来像が描きやすくなるでしょう。

 

また、アマチュアシーンが学校や企業と結びつくことで社会参加を促す効果も期待出来ます。例え最終的にプロの世界へ辿り着かなかったり、プロを目指していないという場合でも、参加したカテゴリーでの努力が自己実現に繋がることでしょう。

 

野球やサッカーなど学校での部活動が社会人になっても活きると言われるように、eスポーツに打ち込む経験が長期的にその人に還元されるような社会を目指して、アマチュアプレイヤーと、彼らを後押しするための取り組みが動き出しています。

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