新型ゲームハードの発売が話題となる昨今ですが、現在ではゲームを遊ぶ環境もユーザーの好みによって様々に選べる時代になりました。
こだわるポイントは人それぞれですが、中でも多様な商品が存在しているのがヘッドホンやキーボードなどのデバイス分野。昨今のeスポーツブームも相まって市場は大きくなっており、デザインや性能、汎用性などユーザーのスタイルに合わせた幅広いモデルが展開されています。
そんなゲーミングデバイス分野に登場した新ブランド「ARESPEAR」を手がけるのは、これまでお馴染みだった既存のデバイスメーカーではなく、アーケードゲーム事業で知られるコナミアミューズメント。
数多くのタイトル開発で知られ、近年はeスポーツの分野にも力を入れているコナミグループが新たに展開するeスポーツデバイスの狙いとは何か。
今回はコナミアミューズメント商品PR部にメール取材で対応頂き、新たに開発された「ARESPEAR」のデバイスの特徴と、その取り組みや背景について伺いました。
まず伺ったのは「ゲーミングデバイスの分野へ踏み出した経緯はどのようなものだったのか?」という点について。
『eスポーツの舞台がより白熱をする事を期待し、弊社が参入することで更に盛り上げて参りたいという考えのもと参入いたしました。』と、eスポーツ界への明るい展望を込めた回答を頂きました。
ゲーミングデバイスは趣味としてゲームやPCを楽しむライトユーザーから競技シーンを意識してプレイするハイエンドユーザーまで、幅広い層が利用するもの。コナミアミューズメントによる「ARESPEAR」は、その中でもeスポーツとしてゲームをプレイする層が大きなターゲットとなっているようです。
『最高のプレーを追及するためのデバイスとして、ブラックやグレーという落ち着いたカラーを基調とし、アクセントにブルーを使用することでスタイリッシュな高級感を表現しています。』と、デザインにもその狙いがハッキリと表れています。
ギリシア神話に登場する“戦を司る神”アレスと、アレスの代表的な武器である槍(SPEAR)を組み合わせた「ARESPEAR」というブランド名もまた、このデバイスが戦うための武器であるというカラーを強くしています。
取り扱われるデバイスはキーボードとヘッドホン、そしてゲーミングPC本体。いずれも競技シーンでの使用も想定された高水準なデバイスでありながら、多機能さを備えた万能なモデル。高級感あるビジュアルに違わない快適なゲーム体験を実現しています。
中でも注目したいのがサウンド面。「ARESPEAR」のゲーミングPCは3つのモデルが発売されますが、そのいずれも音質を高めるためのサウンドカードというパーツが搭載されており、最大7.1chの臨場感あるサウンドが楽しめる設計になっており、またキーボードは高音質なサウンドを妨げない静音性が大きな魅力となっています。
特にオーディオ機器の一つであるヘッドホンへのこだわりは強く、同社の看板と言えるアーケード音楽ゲーム「BEMANI」シリーズのサウンドチームが監修を手がけ、実際の制作現場でも導入されているほどバランスの良い高性能な逸品。
『beatmania』や『pop’n music』などのタイトルで愛される「BEMANI」シリーズこそ、コナミアミューズメントとeスポーツとを繋ぐ大きなジャンルと言えるでしょう。「ARESPEAR」のゲーミングPCはアミューズメント機『beatmania ⅡDX』最新バージョンのプレー環境が再現できるスペックとなっており、一般家庭でも競技シーンと同等の状況でプレイが可能であることも見逃せません。
この点についても『サウンド面や120FPS対応のスペックは『beatmaniaIIDX』を始め、音楽ゲームの競技性に活かせると考えています。』と、やはり音楽ゲームユーザーに向けて大きなPRポイントとなっているようです。
音楽ゲームにeスポーツというイメージを持っていない方も多いかも知れませんが、これまでもコミュニティ規模から公式大会「KONAMI Arcade Championship」まで、その技術を競う文化は存在していました。
しかしアーケードゲーム筐体はプレイ出来る場所がゲームセンターに限られることもあり、大会やイベントを展開する上で制約が多かったのもまた事実。こうして一般家庭でも同等の環境を再現できるデバイスが生み出されることで、更なる競技シーンの発展も見えてくるでしょう。
加えて、『例えばFPSのジャンルでは周囲の音を正確に聞き分ける必要があるように、数多くのゲームで音は重要な情報です。その中でARESPEARシリーズは信頼性の高い音を提供できると考えております。』と、独自の強みを幅広いジャンルにも活かしていくことも見据えています。
新型コロナウイルスの影響もあり、当初の予定より延期となりましたが、来年にはアーケードゲームの「BEMANI」シリーズを使用した初めての本格的なプロリーグ「BEMANI PRO LEAGUE」がスタートする予定です。
今年もデモンストレーションとして、有力プレイヤーが3チームにドラフトされ激突する「BEMANI PRO LEAGUE ZERO」が始動しており、これからの音楽ゲームeスポーツの盛り上がりを予感させます。
最後に、音楽ゲームとeスポーツの将来についてもお聞きしました。
『これまではKAC(KONAMI Arcade Championship)として幅広いユーザーが参加できる大会を開催して参りましたが、この度の「BEMANI」シリーズのプロリーグ化によってアミューズメントを軸足とするeスポーツへの取り組みを加速させていきます。国内にとどまらず、海外も含めたトーナメントやプロリーグも視野に入れて、様々な取り組みの”幅”を縦にも横にも拡張していきたいと考えております。』
コナミグループのeスポーツへの取り組みでは銀座に「esports 銀座 school」という施設も開校されていますが、こちらで「BEAMANI」シリーズに関するワンショットの特別講義も予定中。
将来的にレギュラー化されるかは未定とのことですが、これまで音楽ゲームへと情熱を注いできたユーザーにとっては嬉しいニュースと言えるでしょう。
今回は音楽ゲームという一大ジャンルを牽引するコナミアミューズメントの、デバイス開発の取り組みにフォーカスして紹介しました。
ゲームセンターから、ゲーミングデバイス、そしてeスポーツの分野へ。ゲームでノーツが繋がるように、ここから新しい展開へと繋がっていくことが期待されます。
掲載日:2020年10月20