eスポーツは展示ジャンルとして存在感

3年ぶりに東京ゲームショウがリアル開催!

#eスポーツ

2022年9月15日から4日間、幕張メッセで国内最大のゲーム展示市「東京ゲームショウ」が開催されました。

 

1996年の開催以来、20年以上に渡り、毎年開催続けられてきた東京ゲームショウですが、2020年はオンライン開催となり、2021年もビジネスデーのみの開催でした。一般来場者も参加できる形式での開催は3年ぶりとなりました。

 

ここ3年の間に「巣ごもり需要」などの恩恵を受けたゲーム業界は好況が続いていると見られており、対戦競技「eスポーツ」を取り巻く環境も大きく変化しています。3年ぶりのリアル開催となった東京ゲームショウを現地からのレポートと関連する数字で振り返ります。

 

規模、来場者ともに最盛期までは復活せず

 

公式発表によると今年の東京ゲームショウへの出展社は605社。過去最多だった2018年の668社には及ばないものの、ビジネスデーのみだった昨年の339社と比較するとかなりの増加となりました。

 

ゲームショウの出展社数を振り返ると、モバイルゲームが盛況となり始めた2010年代から増加傾向にあり、VRやARなどの新ジャンルやインディーズの台頭、そして日本国外からの出展など多ジャンル化の影響もあり、2016年からの4年間は600社を超す出展が続いていました。

 

今年も出展社数では600を超えましたが、会場全体の規模で見ると3年前までは全11ホールを使用しての展示になっていたものが、今年は8ホールに収まっており、展示面積は単純計算で75%程度に縮小したとみられます。最小単位のブースの広さを表す「小間」で見ても、今年は605社で1,881小間の展示であったのに対し、コロナ禍以前の2019年が655社で2,417小間と、全体的に小規模な面積を使っての展示が増えたと言える数字になりました。

 

△2019年のソニーブースの様子。今年はソニーが出展を行わなかったことも縮小の一因に。

 

一般公開日については入場制限が設けられており、従来のように当日券の販売は行われず、事前に入場券を購入した方のみ入場可能になっていました。名物のひとつでもあった来場者によるコスプレコーナーやキッズ向けエリアも今年は設けられず、小学生以下は保護者同伴であっても入場不可となっていました。

 

そうした制限の影響もあってか4日間での総来場者数は13万8192人と、想定された15万人という数字には届きませんでしたが、会場内には新作ゲームだけでなくデバイスや関連技術についての展示が数多く並び、開催期間の4日間で、多くのゲームファンが3年ぶりの祭典を楽しんでいました。各ブースでは著名な配信者らインフルエンサーがゲストとして登場する姿も目立ち、会場を盛り上げていました。

 

eスポーツイベントは減少も、新たな展示ジャンルとして確立

 

東京ゲームショウにおいて、「eスポーツ」は年々存在感を高めており、毎年各ブースで、プロ選手を招いてのエキシビションマッチなどが行われています。2017年からは3年間「e-Sports X(イースポーツクロス)」という競技大会が公式プログラムの一環として実施され、一般公開日には特設ステージで行われる複数のタイトルの大会を、多くの来場者が見守っていました。

 

しかし、今年は「e-Sports X」の開催はなく、会場全体で見てもブースにてeスポーツイベントを実施している出展社もあまり見られませんでした。今年は感染症対策の観点で来場者がブース前に集まって観覧するステージイベントが実施しづらい情勢であったため、大規模なeスポーツ大会の開催は難しかったと言えるでしょう。

 

 

△今年の東京ゲームショウは入場制限が行われ、展示も密を避ける方向性に

 

しかし会場からeスポーツの要素が無くなった訳ではなく、ビジネスデーの隣接会場にて行われたセミナーでは一般社団法人日本 e スポーツ連合のパネルディスカッションが開かれ、一般公開日にも各ブースでプロ選手を招いてのデモンストレーションなど小規模なeスポーツイベントが行われていました。

 

また、今回から出展社を分類するジャンルのひとつに「e-Sports」が設定されたことは大きな変化と言えます。600を超える出展社の中で14社と決して数は多くありませんでしたが、会場の一角にプロeスポーツチームやデバイスメーカーなどがブースを構えており、物販コーナーでユニフォームなどチームグッズ販売を行う形式での出展も見られました。

 

△家具メーカーや通信サービス事業社など、ゲームメーカー以外の出展が多いのも近年の傾向

 

3年前と比較するとやや小規模ではあったものの、久しぶりのリアル開催となった東京ゲームショウ。今年はVR空間での展示が楽しめるオリジナルコンテンツ「TGS VR 2022」が展開されるなど時勢を考慮した企画に力が入っており、その中でeスポーツに関連する展示も新たな形で存在感を示したと言えるでしょう。

 

既に来年の「東京ゲームショウ 2023」の開催日程も発表されており、いよいよ3年前の規模まで復活するのかどうか、注目が集まっています。今年eスポーツ関連の展示がジャンルとして独立したことで新たな事業者の出展にも期待が持て、再び大会形式のイベントが復活しながらブース展示も増加していけば、eスポーツがゲームショウの中で存在感を強めていく可能性も高いのではないでしょうか。

 

 

 

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