7年目を迎えた“都が主体”のバラエティ豊かなeスポーツイベント

「東京eスポーツフェスタ 2026」現地レポート

#eスポーツ

2026年1月9日(金)から11日にかけて、東京ビッグサイトにて大規模eスポーツイベント「東京eスポーツフェスタ」が開催されました。

 

 

本イベントは2020年1月に初回が行われており、2021年はコロナ禍を受けて完全オンライン開催となりましたが、その後も毎年開催が続き今年が7回目。

 

イベントを主催する「東京eスポーツフェスタ実行委員会」は東京都や日本eスポーツ協会などによって構成されており、「東京都が主体となって開催している」とも言えるeスポーツイベントです。

 

開催にあたっては「eスポーツの普及と関連産業の振興」が掲げられており、さまざまなタイトルで一般参加の競技大会が開催されているだけでなく、関連セミナーや事業者による展示も行われている複合的な内容も特徴です。

 

今回は東京都という自治体が主体となって継続開催されている、全国的に見ても非常に珍しいイベントの模様をレポートします。

 

多彩な講演・ディスカッションでeスポーツの多様性が再確認されたビジネスデー

 

東京eスポーツフェスタは東京ビッグサイトの南1・2ホールで開催。初回から続けて使用されており、お馴染みの会場となっています。3日間の会期のうち初日は「ビジネスDay」に設定されており、eスポーツを社内活用したい企業の担当者同士の交流会が行われるなど、業界向けの内容が展開されていました。

 

場内の展示ブースはeスポーツ関連サービスや製品を紹介する内容だけでなく、eスポーツチームによるブースや、実際に最新のタイトルや専用のデバイスが必要な「体験型タイトル」をプレイできるコーナー、そしてPC組み立て体験など、趣向を凝らしたバリエーション豊かなものに。

 

 

特にビジネスDayでは現在eスポーツを取り入れている、あるいは参画している企業に加え、これからのeスポーツ参入・導入を考えている企業に向けたアピールの場として盛んにコミュニケーションが行われており、会場の至る所で名刺交換の光景も見られました。

 

 

△eスポーツの歴史や文化、そしてアジア競技大会の日本代表チームのユニフォームなどの展示も

 

そして、ビジネスDayでは場内には設置された2つのステージでeスポーツにまつわる講演やパネルディスカッションを実施。そのテーマは「eスポーツを活用した高齢者福祉」や「地域活性化」、「教育的・社会的価値」「アンチドーピング」など、身近な活用事例からグローバルな視点での最新動向まで多岐に渡っており、eスポーツの競技的な側面だけでなく、文化・カルチャーとしての側面にもスポットを当てた内容に至るまで、さまざまな情報や考え方に触れる機会となっていました。

 

ビジネスDayは来場登録をすれば一般来場者も参加可能なため、完全に業界内に向けたものではなく、比較的オープンな仕組みに。場内の「コミュニティブース」では人気ストリーマーユニット「げまげま」のファンミーティングが行われるなど、一般層の来場も見込んだスケジュールが組まれていました。

 

△パブリックDayにはプロチーム「CAG OSAKA」の『ストリートファイター6』部門など、多数のファンミーティングも実施されていた

 

eスポーツを長期的なカルチャーとして育成するための施策も

 

2日目と3日目は入場無料の「パブリックDay」に。一般来場者が参加する競技大会が開催され、定番となっている『ぷよぷよeスポーツ』や、昨年から採用された『ストリートファイター6』、そして一般部門と小学生部門の2大会が実施された『太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル』など計6タイトルのトーナメントが実施されました。

 

優勝者には「東京都知事杯」が贈呈されるというのも本イベントならではのポイントで、一部タイトルには特別招待選手としてプロプレイヤーも出場して好成績を収めており、オープン大会ながらレベルの高い試合が繰り広げられました。

 

 

△『太鼓の達人』小学生部門のステージの様子

 

TOPPAN株式会社による社会人向けeスポーツ大会「AFTER 6 LEAGUE」のブースでは複数のタイトルでトーナメントが行われており、体験ブースでは「ゲームを使ったプログラミング体験」「推し活うちわづくり」など、より幅広い一般層の来場者を巻き込む形でイベントが数多く企画されました。

 

eスポーツイベントではゲーム開発会社が自社の対戦型タイトルを展示するケースもあり、今回もインディーゲームにまつわる展示が行われました。さらに対戦型タイトルの開発コンテスト「Tokyo esports Game Development Contest」も実施。

 

このコンテストは小規模な開発会社やインディーゲームクリエイターを対象とする「プロ部門」と、学生が対象の「学生部門」の2部門で応募作品が展示され、来場者が気に入ったタイトルに投票する仕組みに。大賞作品には開発・販売奨励金として300万円が贈られるという手厚いサポートが魅力で、既存の人気タイトルだけでなく新たなヒット作の誕生を後押ししていくことで、eスポーツが長期的に親しまれるカルチャーとなることを支援しています。

 

 

 

また、10日には『ストリートファイター6』を用いて「パラeスポーツプレーヤー」によるエキシビションマッチステージを開催。難病を抱えながら顎で操作する特殊なデバイスで競技大会に出場しているJeni選手、全盲プレイヤーのNAOYA選手が登壇し、一般公募プレイヤーやゲストと対戦しました。

 

同タイトルは多彩なデバイスで操作できるためハンデキャップを持つプレイヤーでも問題なく対戦が楽しめるだけでなく、相手の位置などの視覚情報を音で伝える「サウンドアクセシビリティ」機能が搭載されており、ゲストプレイヤーが目隠しでプレイし、その機能と難しさを体験するシーンも。場内にはパラeスポーツにまつわる展示・紹介を行うブースが設けられていました。

 

△ステージの模様。写真左下のモニターには壇上の出演者の発言が自動文字起こしで表示されており、幅広く楽しめるように

 

なお、10日にはサウジアラビアeスポーツ連盟の会長であるファイサル王子がステージ登壇のため来場し、視察に訪れた小池百合子東京都知事と場内を巡る一幕も。両氏はステージの観覧だけでなくブースで来場者との対戦など交流も行い、eスポーツ分野での日本とサウジアラビアの友好関係をアピールしました。

 

 

 

ゲームやeスポーツをテーマとするイベントとしては展示会や競技大会、カンファレンスなど多岐に渡りますが、東京eスポーツフェスタはそれらを全て内包するイベントに。事業者から学生まで幅広い出展者のもと、プロプレイヤーから小学生プレイヤー、そして自分ではプレイしないというファン層までが参加できる、タイトルの通り「お祭り」のような会場となっていました。

 

自治体や行政とeスポーツの関わりとしては地域振興や高齢者福祉のために取り入れられるケースが多く見られますが、これだけ多角的な取り組みを一堂に集められるのはまさに東京都ならではと言える魅力で、2020年という早い段階から続けてきたからこそeスポーツファンにも広く浸透しており、新しい試みへのチャレンジも可能になっていると感じられました。

 

老若男女問わず参加できる環境づくりの一環としては、『ストリートファイター6』の大会において「女性キャラクターの水着コスチュームの使用を制限する」という独自のルールが設けられました。これは露出の多い表現を控えることで小学生やその保護者でも安心して参加できるよう意図したものと考えられており、ファンであれば見慣れたコスチュームであっても、他のイベントやタイトルを目的に来場した人にとって「どう見えるか」に配慮することの必要性を考えさせられる施策でした。

 

1月初旬と年明け間もないスケジュールながら会場は多くの来場者で賑わいましたが、スペースを見ると多少の余地も見受けられ、さらなる拡大の可能性も秘めています。2027年以降も末永く続き、より濃密なイベントへと成長していくことを期待したいと感じました。

 

 

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